車から鞄へ。本田技研から「土屋鞄製造所」を選んだマーケターの覚悟 | キャリコネニュース
おかげさまで10周年 メルマガ読者数
65万人以上!

車から鞄へ。本田技研から「土屋鞄製造所」を選んだマーケターの覚悟

▲土屋鞄のデジタルマーケティング業務を担当する福知

▲土屋鞄のデジタルマーケティング業務を担当する福知

2019年現在土屋鞄製造所にて、国内海外でのデジタルマーケ業務を担当する福知。世界的に知名度もあるホンダから、決して大きくはない老舗の土屋鞄に、なぜ転職を決めたのか。転職の背景には、マーケティングを通した「日本発のものづくりへの想い」がありました。【talentbookで読む】

26歳、“会社に依存したキャリアアップ”ではない道へ

幼少期にアメリカに住んでいた経験から、「日本発のものづくりを通してグローバルに仕事をしたい」と考えて、新卒で大手自動車メーカーの本田技研工業に入社しました。約3年半働きましたね。

最初は、修理サービスなどのアフターセールスマーケットに配属され、市場・エリアセールス分析を1年半担当しました。実は、アフターサービスを受けている人ほど、2台目、3台目と次の車も買ってくださるので、車業界では新車を売るよりもアフターサービスの方が利益率が高いんです。そんな中で、どうしたら他のブランドではなくホンダの車を買ってもらえるのか、一生懸命考えて働いていました。

その後、社内異動となり、中古車部門にてWebマーケティング・宣伝販促・事業企画を担当することに。それを機に、Webメディアのマーケティングに夢中になったんです。ただ当初は、知識ゼロの状態でした。しかし、独学で勉強したり、取引先の方に教えてもらったりして、どんどん知識を増やしていきました。とくに、社内ではWebマーケティングに詳しい人が少なかったので、自分の発言の影響力は増していき、おもしろかったです。

そんな中で、Webマーケティング起点でキャリアアップを目指したいな、と思うようになりました。しかし同時に、若手である自分には、規模の大きな会社の中で領域を広げて案件を進める難しさもあったんです。年間に会社が着手できる案件は限られていて、これでは打ち手が少なすぎましたね。

しかし、Web業界は、すごいスピードで進んでいきますよね。たとえば、Amazonが4年でこんなに普及するとは、多くの人は思っていなかったはず。そんなスピーディな業界の中で、「この会社のスピードの中にいて良いんだろうか」という疑問が出てきて……。希望する仕事をずっと任せてもらえるかもわからない。一度きりの人生だし、どこかで踏ん切りをつけないといけないな、と思うようになりました。

世界を代表するブランドへ──決め手は、社長のビジョンとキャリアアップ

▲「デジタルマーケティング」×「製造業」という軸でキャリアアップを目指した福知

▲「デジタルマーケティング」×「製造業」という軸でキャリアアップを目指した福知

転機は、2017年の1月に訪れました。

年が明け、人員配置の都合でWebマーケティング業務から担当を外れることになったのです。のめり込んでいた仕事に取り組めなくなってしまった。もう、会社に依存したキャリアアップではなく、Webマーケティング領域の市場の中でキャリアアップしよう──。

2017年4月、発想を転換して、本格的な転職活動を始めることにしました。

また、同時に、転職を後押ししてくれたことがあります。それは、コピーライターの阿部 広太郎さんが主催している「企画でメシを食っていく(通称:企画メシ)」という講座。20代のうちに吸収できるものは吸収したかったので、2016年5月から10月まで、業務時間外に隔週で参加していました。

するとそこには、私が普段関わらないような、キラキラと活躍している同年代の人たちがたくさんいました。会社の看板で頑張っているのではなくて、自分の名前で頑張っている人たち。彼らと一緒に企画を出したり、飲み会に行ったりするうちに、なんだか“今の自分は恥ずかしい”と感じるようになっていったんです。

だから、看板を捨てる覚悟が生まれた。25歳、良い機会に恵まれたと、今でも思いますね。

土屋鞄のことは、転職エージェントに紹介してもらいました。実は、自分で求人情報を探している中では、あまり数多くの求人情報は出てこなかったのです。なぜなら、当時私が指定していた転職の要件は、「デジタルマーケティング」✖︎「製造業」。

マーケティングにしか興味がなかったですし、その中でも製造部門がある会社で、卸売ではなく直販をしている会社が良いと思っていました。いわゆる「DtoC」ブランドですね。それを中小企業の規模感で検索すると、そんなにヒットしなかったんですよ。

最終的に絞られたのは、土屋鞄ともう1社、DtoCブランドを自社で展開している会社でした。そして、「この会社を辞めたときに、自分のレジュメが良くなるのか」というキャリアアップの軸で、どちらを選ぶか考えました。

結局、選ばなかった方の会社は、デジタルマーケティングが強かったのですが、すでに席が埋まっていて、キャリアアップまでに時間が掛かりそうな印象を受けました。

一方、土屋鞄は、まだ整っていない部分もある感じがして、それが良かったんです。自分の介在価値が高いですし、キャリアアップの余地もあります。

加えて、社長のビジョンにも共感しました。土屋鞄は、日本国内でのものづくりを大切にしているんです。もともと「日本発のものづくり」に思い入れがあった私の気持ちにマッチしました。

また、面接の際に社長が、“ものづくりを通してカルチャーを世界に届けたい”と語っていて、すごく熱量を感じ、これから大きくなっていくだろうと思えたんですよね。

老舗企業でありながら、上層部との距離が近い自由なカルチャー

▲経営層と直接話してフィードバックをもらえる機会も多い

▲経営層と直接話してフィードバックをもらえる機会も多い

入ったからには「結果を出さないと意味がない」と思い、必死にやってきましたね。

最初はとくに、実績データを共有できる環境づくりに取り組みました。売り上げや集客、プロモーション結果の数字を整理して全社に開示。それまでは、どのデータを参照すべきかわからない状態だったので、それを整えたんです。そうすることで、経営視点で提案できる環境をつくれたらな、と思いました。

入社2年目を迎えた今は、国内事業の決裁書策定・マーケティングプランの策定と実行・自社ECサイトの運用と改善など、幅広く担当させてもらっています。成長途中の会社なので、手をつけられる案件がたくさんあるんです。

また、アウトプットが役に立っていると感じられたときは、嬉しいですね。前職のときは、見てもらえるか定かではない資料作成に時間が取られていましたし、レイヤーごとに意志や判断を仰ぐ必要もありました。

でも土屋鞄では、経営層と直接話してフィードバックをもらえます。社長とも距離が近いです。それに、土屋鞄は、50年以上前に創業した老舗の中小製造小売業でありながら、デジタルネイティブな人が多いんですよ。効率的に仕事ができて、その結果、自分が費やした作業時間分、みんなの業務改善につながっていると思うんです。

とくに今は、ECの構築や改修も担当していて、売り上げの向上やブランドに対する好感度の高まりが計測できるので、やりがいを感じますね。

あとは、2019年12月にEC関連の大型プロジェクトのプロジェクトマネージャーを任されているんですよね。これは会社にとって、とても重要なプロジェクトで、これほど大きな規模の仕事を20代で担当できるのは、とてもまれなことだなと。

「自由にやってもいいよ」というカルチャーなので、控えめに言って、すごく楽しい毎日を送っていると思います。

クリエイターの想いを世の中に伝え、利益が還元される構造をつくる

▲日本発のものづくりの価値をデジタルマーケティングで伝えていく

▲日本発のものづくりの価値をデジタルマーケティングで伝えていく

これからデジタル時代のマーケティングを、日本の製造業で確立していきたいですね。

経営の観点では、ブランドの成長戦略を練って、マーケティングを推し進めています。それは、製造を担うクリエイターたちの想いを世の中に伝えていき、利益が還元される構造をつくることだと思うんですよ。

幼少期に海外に住んでいた経験があるからこそ、より強く思うんですよね。海外製品と比べて、メイドインジャパンの品質は本当にすばらしいんです。ただ、日本では、真摯にものづくりに励んでいる方がたくさんにいるにも関わらず、十分な報酬を得られていないことがありますよね。

私としては、なぜ彼らが認められないのか疑問に感じます。だから、高い技術力や柔軟な発想力を持つ製造業に関わっている方々が、きちんと報酬を得られるしくみをつくり、日本のものづくりがグローバルでも戦えることを示していきたいですね。その想いが、社長と一致していると心底思います。

そうやって、土屋鞄でマーケティングに携わり、日本発のものづくりの価値を伝えていきたいです。

株式会社土屋鞄製造所

この会社にアクションする

アーカイブ