「ゆるキャラグランプリ実行委員会」西秀一郎会長インタビュー タイムチケットと「ゆるキャラ・ライバー育成」新プロジェクト立ち上げの背景 | キャリコネニュース - Page 2
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「ゆるキャラグランプリ実行委員会」西秀一郎会長インタビュー タイムチケットと「ゆるキャラ・ライバー育成」新プロジェクト立ち上げの背景

地域や企業の魅力を発信し、多くの人々に親しまれているゆるキャラ。しかし、その活動現場では、自治体や団体、キャラクター運営者たちがさまざまな課題に直面しているようだ。今回は「ゆるバース」の立ち上げに携わり、ゆるキャラ文化の発展を見守ってきた西秀一郎氏に2026年夏からタイムチケットと共に取り組んでいる「ゆるキャラライバー育成」について、これまでを振り返りながら、お話いただいた。

ゆるきゃらライバー育成への挑戦

――「ゆるきゃらライバー育成プロジェクト」について教えてください。

ゆるキャラたちの周辺の方々、自治体や企業の担当者さんたちは、とにかくみなさん忙しい人が多いです。そんな中、ゆるキャラのSNSでの活動は大事だと分かっていても、そこまで手が回らないケースも多いのが現状です。そこで私たち「ゆるキャラグランプリ実行委員会」では、TikTokライブエージェンシーのタイムチケットと協力して、TikTokを利用してゆるキャラたちが自力で活動資金を作っていけるような収益獲得方法を提案していこうと考え、今回の「ゆるキャラライバー育成プロジェクト」を立ち上げました。

――確かに、ゆるキャラたちがライブ配信を行えば、新しいファンも増え、宣伝にもなりそうです。

そうですね。すでにライブ配信に進出して人気者になったゆるキャラライバーも複数いますが、まだまだ少数派といった状況です。私たちがライバーになるのをサポートすることで、ゆるキャラたちが、ライブ配信での収益を得ることが一般的になり、活動資金調達の一つの手段になっていけばいいなと考えます。

ゆるキャラに出会うまで

――ところで西さんはゆるキャラに出会うまではどのようなキャリアを歩まれましたか?

私は1989年に26歳で東芝EMI(現ユニバーサルミュージック)に入社しました。音楽畑出身というわけではなく、当時、映画評論家の淀川長治さんのカセットブックを制作したのですが、それがヒットして、東芝EMIから「うちでも同じような企画をやってくれないか」と声をかけてもらったのがきっかけで社員になりました。東芝EMIには「ビートルズ」がいましたから、ビートルズ好きの僕にとっては何よりの魅力でしたね。

――東芝EMIではどのような仕事をされましたか?

学芸部に配属なって、吹奏楽の教材や落語、幼児向けダンス教材、子ども向けコンテンツなどを制作していました。みんなが思うような、ヒットチャートを追い掛ける世界とは少し違う仕事を中心にやってきました。そして、その仕事を通して「ゆるキャラ」の生みの親のみうらじゅんさんと一緒にCDを制作するようになったんです。

――イラストレーターのみうらじゅんさんが「ゆるキャラ」の生みの親だったんですね。

そうですね。当時みうらじゅんさんと安齋肇さんがやっていた「勝手に観光協会」というプロジェクトあって、そこから「ゆるキャラ」という呼び名が誕生しました。元々は雑誌連載だったのですが、私が参画し、テレビ番組化が実現しました。旅番組だったのですが、2人とも運転免許を持っておらず、運転手として私が同行することになったんです。結局47都道府県2周くらいしましたね。

ゆるキャラグランプリが誕生!

――そして「ゆるキャラグランプリ」がスタートするわけですね。

2011年の東日本大震災の年に、日本一のゆるキャラを決定するインターネット投票型の「ゆるキャラグランプリ」が始まりました。最初は私は、みうらじゅんさんの代理人のような立ち位置でイベントに関わっていましたが、2012年から正式に実行委員会会長を務めることになりました。

――当時からイベントは盛り上がっていたと振り返ります。

大人気でしたね。ただ、途中から過熱しすぎてしまいました。最初は「ゆるく応援する」というカルチャーだったはずが、回を重ねるごとにゆるキャラらしからぬ組織票や誹謗中傷、強制投票のような問題も噴出してきたりして、私たちが大事にしてきた「ゆるさ」から少しずつ離れてしまっているような状態が続きました。そして、コロナ禍がやってきて、東京オリンピックを1つの区切りとして、2020年の盛岡大会を最後に一度は終了することを決めました。

――そこから「ゆるキャラグランプリ」を再開したきっかけは?

イベントがなくなった後もゆるキャラ人気は続いていましたし、新しくキャラクターを作った方々から「どこで発表すればいいの?」という問い合わせをたくさんいだだき、もう一度メタバースなどを取り入れた別のやり方で「ゆるキャラグランプリ」をやってみようかとなりました。また、以前はご当地キャラクターが中心でしたが、現在は企業、学校、自衛隊など、さまざまな組織のゆるキャラが参加できるようになっています。開始当初は100件程度だったエントリーも、現在は450件近くまで増えています。

「ゆるさ」を基礎に文化を醸成

――現在の「ゆるキャラ文化」をどう見ていますか?

みんな思い思いに自由にやってほしいなと考えています。そもそも、ゆるキャラに明確なルールはないからです。人間は誰でも何かに所属しています。ゆるキャラそのものが持つ「ゆるさ」をみんなで大切にしていければいいですね。

――西さんが考える「ゆるさ」とは、どんなところにありますか?

物事にはグラデーションがあると思っています。白か黒だとか、右か左かだけではない。私はそのグラデーションを「そんなもんだよね」と認めることが「ゆるさ」だと思っています。だから、このプロジェクトでは、人にもゆるく接していきたい。イベントを運営するといろいろな課題が生じますが、運営側として「右向け右」と言うつもりはまったくありませんし、それぞれが自分で「ゆるさ」を意識しながら行動できるコミュニティを作っていければいいですね。

15周年記念イベントを予定!

――10月のイベントについて教えてください。

2026年はイベント15周年を記念し、10月3日、4日に「さいたま新都心GMOアリーナさいたま けやきひろば」で決選投票を行います。会場にはたくさんのゆるキャラたちが集まり、それぞれがブースやステージでPRを行う予定です。また、私たちは有名キャラクターを集めることを目的にはしていません。社員10人の会社が作ったキャラクターも、ゆるキャラファンの方々にその存在を「知ってもらうこと」が大事だと考えていますので、参加したい意気込みを重視して募集しています。ゆるキャラファンのみなさんにキャラクターの存在を知ってもらうことによって、地域や企業の広報にもつながればいいなと思っています。

――本日は、貴重なお話をありがとうございました。

ゆるキャラグランプリ実行委員会

〇プロフィール 西秀一郎(にし・しゅういちろう)1963年東京生まれ。1989年東芝EMI入社。学芸部で活躍後、退社し、ゆるバース代表に。現在、ゆるキャラグランプリ実行委員会会長。