コロナ対応もスピーディに!経営理念の共有で“企業力”を向上させた秘策 | キャリコネニュース - Page 2
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コロナ対応もスピーディに!経営理念の共有で“企業力”を向上させた秘策

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工場で使われる特殊ブラシを設計開発・販売する株式会社バーテック様。創業者、先代社長から三代続くオーナー企業で、先代からの経営理念、価値観を入れた「バーテックフィロソフィ」を制定し、定期的に全従業員へ浸透させる取り組みを実施。

理念共有を根強く続けた結果、社員自身が主体性を発揮して理念の実行に取り組むようになったそうです。

2019年ホワイト企業認定取得と共に、第4回ホワイト企業アワード「理念共有部門」受賞。近年はダイバーシティ&インクルージョン経営や働きがい向上を社内外に宣言し推進しています。

インタビューは代表取締役社長の末松様、経営管理部の山田様に、お話を伺いました。

日頃の理念共有が活きた、スピーディなコロナ対応

ーーまず御社が注力していらっしゃる理念共有について教えてください

当社は従業員一人ひとりが主体性を発揮して仕事に取り組めるよう、理念共有を大切にしており、経営理念と行動指針を示した「バーテックフィロソフィ」を冊子として全従業員へ配布しています。フィロソフィを社内の共通言語として深く定着させるために、週に1度のグループ勉強会では従業員がどのように日々の業務でフィロソフィを実践しているか共有する場を設けています。

また、経営面では相互の信頼を強固にするため「ガラス張り経営ミーティング」を実施しています。会社の数字を全て共有し、従業員が自分の貢献度を実際の数字で認識することが狙いです。

両者の取り組みに共通することは、どちらも理念や経営方針といったビジョンを全社員に周知し、価値観とベクトルを合わせ、主体性を発揮して仕事に取り組み働きがいを向上させることです。

全従業員が持っている冊子「バーテックフィロソフィ」

全従業員が持っている冊子「バーテックフィロソフィ」

ーーコロナ禍に伴い全従業員を在宅勤務にした際には、この理念共有が活かされたそうですね

そうですね。弊社ではコロナ禍対策として、全員在宅体制を取りましたが、理念やフィロソフィの共有、多様な働き方の推進、情報システムの準備など前々から準備していたことが機能し、スピーディな対応につながりました。

大きな環境の変化でしたが、社員からは不平不満ではなく、感謝の声が多く聞かれ、今回の危機により、改めて社内での信頼関係に気づきました。

在宅勤務体制が長期化する中で、心身両方への負担が気になるので、健康経営でのサポートにより一層力をいれているところです。

多様なユーザーの立場や背景を理解し、商品やサービスを開発・改善していくためにダイバーシティ&インクルージョン経営を推進

ーー近年注力されているダイバーシティ&インクルージョン経営について教えてください

弊社では「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に 人類・社会の、心と技術における進化発展に貢献する」と理念として掲げており、全従業員とは、性別、年齢、人種等に関わらない現在、未来の多様な社員を指しており、それぞれの個性や強みを活かし、ビジョン実現に向けてイキイキと働くことができる会社を目指しています。

また多様性の定義としても性別、国籍という分かりやすい多様性だけでなく、キャリア・経験、働き方などの多様性も含めあらゆる属性を持つ従業員を対象としています。

弊社のブラシをご利用いただく多種多様な製造業においては、実際にブラシを使用される人も年齢、性別が多様であり、人手不足という背景から外国人労働者の方も増加しています。

多様なユーザーの立場や背景を理解し、商品やサービスを開発し、改善していくためには、弊社で働く人材が多様であり、その多様性を尊重すること、活かすことが欠かせないと経営戦略上考え、ダイバーシティ&インクルージョン経営を推進するようになりました。

ーー具体的にどのような事をしているんですか?

まず、相手の文化的背景を理解し、それに合わせてコミュニケーションをする能力について異文化感受性発達理論というものがあることを知り、活用しました。具体的な取り組みは、Intercultural Development Inventory (IDI) 認定セミナーインストラクター資格を有した専門家にアメリカからお越し頂き、全社員対象の1日のワークショップを開催しました。また、経営者、管理職向け研修として、組織の異文化感受性を高めていくためにはトップの影響力が大きいということで、経営者、部門のトップという意味で部門長を対象に一年間で、半日ほどの研修を2度実施しました。

さらに、取り組みの効果を検証していくために、組織としての異文化感受性の発達度合いを客観的に評価し、継続的に改善していくため先述のIDIというアセスメントを導入し、全社員対象に定期的に実施しています。

異文化感受性研修の様子

異文化感受性研修の様子

ーーダイバーシティ&インクルージョン経営で成果がでるよう工夫された点を教えてください

人的リソースの確保については、取り組む主体を社内の人材だけにこだわらず、外部講師や外部サービスを積極的に活用しました。

社内だけで完結するのではなく、強みをもった企業、専門家と連携をとりながら活動を進めています。具体的な外部リソースの活用例は以下の通りです。

・ダイバーシティ&インクルージョン経営の推進については異文化感受性向上のコンサルタントの活用
・多様な働き方の制度作りについては社労士の活用
・美点凝視(共に働く仲間の違う点や共通点を見つけ出し、良いところに目を向ける)を重視し、多様性を活用する企業文化づくりに、木鶏会という勉強会の導入、活用
・働きがい向上のための第三者機関の調査の活用や、専門家によるコンサルティングの活用
・経営者や、管理職の個性や、強みを伸ばすための外部コーチの活用

ーー取り組みの結果、社内でどのような変化がありましたか?

ダイバーシティ&インクルージョンについて、外部調査機関を利用したアンケート結果が大きく向上しました。

<外部調査機関を利用したアンケート結果>
・この会社では年齢に関係なく正当に扱われている
 前年比5%向上 (2018年:76% 2019年:78% 2020年:83%)
・この会社では性別に関係なく正当に扱われている
 前年比7%向上 (2018年:92% 2019年:85% 2020年:93%)
・私はこの会社で自分らしくいられる
 前年比20%向上 (2018年:56% 2019年:59% 2020年:79%)

その他の効果として、多様な人材が活躍できる環境を作った結果、ライフイベント理由の退職が無くなりました。

直近1年間における従業員のライフイベントは、出産2名、配偶者の出産1名、育休復帰後の育児と仕事の両立、病気(がん)の治療と仕事の両立がありましたが、すべての社員が退職せず、産休(女性社員2名)、育休(男性社員1名の2カ月の育休取得)、多様な働き方(育児1名、治療1名の在宅勤務・時短勤務)の活用により、働き続けることができました。

退職による新たな採用や教育訓練を考えると数百万円単位での経済的な効果があったと考えています。

従業員を活かして伸ばす「強みマップ」を作成して全員へ共有

ーー従業員の強みを活かせるよう、御社独自の取り組みもありますね

弊社では、全従業員の強みを活かす、強みを伸ばすという経営方針があり、全社員がGALLUP社のストレングスファインダーというWEBテストを利用し、それぞれが持つ5つの資質(強み)を特定し、社内で強みマップという資料で共有しています。例えばプロジェクトチームでの役割分担や、仕事を依頼するときにはメンバーや相手の強みを意識して取り組んでもらいます。

また、一人一人の従業員が自ら強みを活かす工夫として、金曜の朝礼時、次週どのように自分の強みを活かして成果を出すかをペアになりアウトプットしております。

さらに、強みを伸ばす工夫として、個人の年間目標管理シートの中でA目標(業績目標)、B目標(能力開発や、育成についての目標)、C目標(習慣化目標)がありますが、B目標の中で全社員が一つは自分の強みをどのように伸ばすか自ら目標を立て実施しています。

ダイバーシティ&インクルージョン経営推進のためには、社員間で優劣をつけるのではなく、それぞれが持つ強みに焦点をあて、いかに強みを活かしあえるかという視点が大切だと考え、継続的に実施しています。

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ーーホワイト企業認定を取得した目的を教えてください

弊社は、理念として全従業員の物心両面の幸福の追求を掲げています。

認定審査に取り組むことで、自社の課題や取り組むべきことを客観的に知り、理念の実現度合いを高めたいと考えました。また取り組みを第三者から認めていただくことで、社員や社員の家族が自社に誇りや自信を持てることも認定審査に取り組んだ大きな要因です。

ーーホワイト企業認定取得後に、社内外から得られた効果はありましたか?

認定取得と共に2019年 第4回ホワイト企業アワードの理念共有部門を受賞できたことは、社員一人ひとりの努力が実を結んだ最たる証拠であると考えています。

従業員から喜びの声もありましたし、これから入社する内定者や、ご両親への安心感に繋がっていると実感しています、各所でも評価をしていただいています。

ーー最後にホワイト化を目指す企業様へ一言お願いします

ホワイト化は外部にある仕組みやマニュアルを取り入れ簡単に実現できるものではありません。現在社内で頑張って働いてもらっている従業員の幸せを第一に考え、絶え間ない、忍耐力のいる対話により実現できるものだと実感しています。この取り組みに終わりはありませんが、継続的に取り組む強い意志と、仕組みが出来たときに、永続的に発展する企業の一つの要素を手に入れることができるのではないかと考えています。共に切磋琢磨し、ホワイト化に取り組んでいきましょう!

<ホワイト財団のインタビューページ>

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