「ノー残業デー」「時短正社員制度の導入」充実した制度整備で女性が長く働ける職場へ
関東エリアにまつげエクステ・ネイルサロンを展開し、女性の美を追求する株式会社ネクストリンク様。同社は創業以来、常に新しいことへの挑戦を実現するために、社員のモチベーション向上施策の展開や技術スタッフの人材育成、ライフイベントによって変化する働き方に対応できる制度を展開しています。雇用環境に厳しいイメージのある美容業界の改善を図るべく、制度や職場環境などの整備を実施。2020年8月ホワイト企業認定取得。これまでの同社の取り組みについて、管理本部の山中様にお話を伺いました。
毎月、働く仲間へ感謝を伝える「サンクスメッセージ」
――自社の特徴的な取り組み・制度の概要を教えてください。
弊社では毎月2種類(実名・匿名)の社内アンケートを相談・提案などの内容によって使い分けており、社員の心身の状態チェックや働きやすい制度作り、サービス改善に役立てています。その中で独自の特徴的な設問事項として「サンクスメッセージ」を設けています。
サンクスメッセージは、働く仲間へ感謝を伝えよう、というコンセプトでメッセージを書いてもらい、社内報で紹介をしたり、本社で手紙を作成して該当者へ届ける取り組みをしています。最近ではメール、アプリで同じような取り組みもありますが、当社としては感謝の想いがより伝わるよう、手紙形式で直接渡すことに拘っています。
また、「社長直行便」という項目には、業務やサービス、制度改善を誰でも自由に記述することができ、新入社員からも意見を出せる工夫をしています。
――「社長直行便」によって誕生した制度やサービスはありますか?
最近ではインフルエンザ予防接種費用補助を制度として新設しました。また、お客様満足向上・サービス向上のために、外部コンテストに参加できる機会を作り、実際に表彰される社員も出ています。
さらに、残業削減につながった意見もあります。美容業界ではWEB予約が一般的で、どうしても予約状況にバラつきが発生し、夕方以降に予約が重なり残業が増えてしまう等の問題もありました。「ご来店時に特典付きの次回予約を徹底する」事で、翌月以降の予約確保やお客様に合わせた施術時間の調整、空き時間が発生しない予約のコントロールが可能となり、無駄のないシフト調整・人員確保に役立ち残業削減にも繋がっています。
――最近新たな評価制度を導入されたそうですね。
弊社は美容店舗を展開する企業ですので、店舗の技術スタッフを対象にランク制度を導入し、より明確に昇給の基準を設定しました。年2回技術テストを実施し、指名数を含め、評価制度に反映しています。2020年10月に新しく改良し、まだ導入段階ではありますが、仕事へのモチベーションや接客向上につながっています。
――導入時に苦労された点や、実際感じられた効果はありましたか?
社内アンケートで苦労した点については、最初回答率が6割程度だったので、全社員への周知・理解を深めるために何度も発信をし、現在では9割弱の回答が得られるようになりました。アンケート内容で導入可能な案件については対応していく事、導入・検討が難しい案件についてはしっかりと理由をフィードバックし全社員の基準を揃え、認識のズレをなくすことも重要です。実際に、提案や意見内容が、店舗でのメニューや物販商品に活かされるなど、良い活用ができていると感じています。
サンクスメッセージの効果については、業績数字には見えづらい取り組みや仕事への貢献度の見える化になり、社内のチームワークが強まったと感じています。また評価制度については、評価ランクを向上するための教育環境など、現在進行形で試行錯誤整備しております。
ライフイベントに伴う働き方の変化に対応できる「時短正社員制度」を導入
――女性が多く活躍する美容関連企業として長く働ける制度やワーク・ライフバランスを促進させる制度にも力を入れていらっしゃるそうですね。
弊社では、ライフイベントによって変化する働き方に対応できるよう「時短正社員制度」を導入しています。一般的に美容・サービス業界において、ライフイベントに伴い労働時間に制約がある場合には、雇用形態をパート・アルバイトに切り替える場合も多々あります。「時短正社員制度」は待遇面が安定した状態で家庭と仕事を両立することが可能です。
また、弊社独自の「ノー残業デー」を設けております。一般的なノー残業デーは、曜日が決まっていますが、弊社のノー残業デーは、社員が自ら最大月4日分のノー残業デーを申請する事が可能です。サービス業ですと、どうしても予約状況により、残業が発生してしまう場合がありますが、この制度で定時退社日を確保する事が可能となり、社員の仕事後のプライベート時間の充実に役立っています。
――ホワイト企業認定の取得を目指した目的を教えてください。
美容業界の労働環境に対して、あまり良くないイメージがありますが、実際は改善されている場合が多々あります。しかし、なかなか世の中に浸透されていないため、弊社が先陣をきって広げていきたいなという思いがありました。また、採用面でも母集団形成が難しかったため、ホワイト企業の認定取得による効果に期待をしていたことも目的になります。
――ホワイト企業認定取得後に社内外から得られた効果はありましたか?
新卒採用活動の際に、専門学校への採用広報時に信頼いただける企業としての認識が徐々についてきたような感触はありました。
――コロナ禍で新設した制度や取り組みと今後の課題を教えてください。
新たに展開した取り組みとしては、限定した部門での在宅ワークの導入やオンライン研修、会議を実施しました。また、クラスターや感染者発生時の対応マニュアルも作成致しました。
今後の課題としては、全社員で集まる機会が減ったことによる、会社の理念・カルチャーの周知、理解の広がりづらさを感じています。
――最後にホワイト化を目指す企業様へ一言お願い致します。
環境整備の検討は難しいこともあるかと思います。当社も最初は対応していくうえで、時間的な労務コストなどが少なからず掛かり厳しい面もありましたが、導入後の効果を考えた際に、今となっては導入したメリットが多いと感じています。制度策定にあたっては、まずはトライ&エラーを繰り返して、自社にあった制度を取捨選択し、更新し、従業員にとって価値のある制度を考えることが大切です。また、シンプルな制度でないと周知・浸透に苦戦するため、いかにわかりやすい制度を作るかが大事ですし、当社も引き続き試行錯誤しながらアップデートを行っています。