メンバー交代制の「ダイバーシティ推進委員会」で会社全体の意識が変化 ニトリHDの徹底した働き方改革 | キャリコネニュース - Page 2
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メンバー交代制の「ダイバーシティ推進委員会」で会社全体の意識が変化 ニトリHDの徹底した働き方改革

第3回 ホワイト企業アワードで「理念共有 部門賞」を受賞

第3回 ホワイト企業アワードで「理念共有 部門賞」を受賞

2018年3月に開催された「第3回 ホワイト企業アワード」(JWS/日本次世代企業普及機構)で、ニトリホールディングス(札幌市北区)が「理念共有 部門賞」を受賞した。明確な長期計画に基づいた事業展開や具体的な運用が徹底して行われており、社員が個別事情に応じて働けるような制度を数多く用意。また、それらの周知・管理も精度高く実施されている点などが評価された。

「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」という企業理念を掲げている同社。今回の受賞理由や取り組み内容の詳細について、採用教育部の永島さんと中村さんに話を聞いた。

毎年アメリカ研修も 会長が繰り返し「ロマン」を語る

採用教育部の永島さん(左)と中村さん(右)

採用教育部の永島さん(左)と中村さん(右)

――受賞に至った理由や具体的な取り組み内容を教えてください。

弊社は、ロマン(企業理念)とビジョン(長期目標)をとても大切にしている会社で、社内だけでなく海外現地のスタッフやお取引先様に対しても、会長が直接ロマンの大切さについて語る機会を設けています。部署長で合宿をしてロマンの実現のために何をしていくか議論をしたり、社員向け研修の中でもロマンと日々の仕事のつながりを考えられるような内容を繰り返し実施して、全ての役員・従業員に理念が染み込んでいくようになっています。また、会長が昔、アメリカ視察セミナーに参加した際に受けた衝撃を従業員にも体感してもらうため、毎年アメリカ研修を行っており、これまでに11,000人以上が参加をしています。

また、社会的に少子高齢化が進んでいく中で、従業員がワーク・ライフ・バランスを充実できるかが会社の評価の対象になってきていることを踏まえ、社内だけでなく社外へのブランディングの一環を兼ねてという意味でも、経営課題の中に人事策をあげて取り組みました。

2013年にはトップダウンだけでなく、現場の社員の声を聞きボトムアップで進めていく目的で「ダイバーシティ推進委員会」を発足し、委員会から出た声を反映して、イントラネットに制度をまとめたサイトやダイバーシティブックを作成するなど、制度の見える化を進めました。そして、短時間勤務制度の見直しや、失効した年次有給休暇を120日間積み立てることができる私傷病特別有給休暇を介護準備期に使用できるようにするなど、さまざまな制度で従業員が働き続けられる環境を整えていきました。

その他にもホームタウン制度というものを設けて、一時的に転居を伴う転勤が免除される制度や、エリア限定総合職の社員群を設けるなど従業員の声から働き方の選択肢を拡大していきました。

女性活躍推進の取り組みとしては、NJ(=ニトリ女子)ミーティングを開催しております。女性同士の横のつながりづくりや抱える悩みを解決するため、女性の現場役職者を集めてキャリアセミナーを開いたり、子育てしながら働く女性社員を集めて情報共有をしたりと、女性が会社に問題提起をする場を提供し、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。

また、働きやすい会社というのは健康的に過ごせる会社だと考えて健康経営を進め、ウォーキングキャンペーンや体質改善コンテストなどのイベントや、メンタルヘルスケアの講義なども定期的に行っています(永島さん・中村さん、以下同)

地道な活動が功を奏し「昭和的な考え」は徐々に消滅

東京本部

東京本部

――こうした取り組みを行ったことで、実際にどのような影響があったのでしょうか。

やはり、意識は高くなりました。社内的に働き方改革のような動きが出る前は昭和的な考えが多かったのですが、いろいろな社内の活動があることで、「もうそんな時代じゃない」と、管理職側の認識も変わってきたという実感があります。社内報にて定期的に活動報告を配信したことで社内での認知度を上げたり、委員会のメンバーを1年ごとに入れ替えることで、1年間経験したメンバーの意識が変わり、その人自身が伝道師となり現場に広めていくなど、地道な意識改革によってどんどん輪が広がるのを感じました。

また、やむを得ない事情で退職してしまった人が復職できるジョブリターン制度は、もともとは現場から「もう一度働きたいと言っている人がいる」という声をくみ上げて制度にしたという経緯があります。こういった制度は退職した方に直接周知することはなかなか難しいとは思いますが、我が社は社員同士の繋がりが強いという風土があったため、現在では制度利用者が12名おり、戻ってきた方とお話をしたときに「戻ってこられてすごく嬉しい」と言ってもらいました。

ジョブリターンについては、ご本人にとってプラスになるだけではなく、会社としても1から教えるより、入った時からニトリのやり方が分かる人というのは、非常に貴重であり、嬉しい事だと感じています。

表彰されたことで、さらに”ホワイト化”が加速

――これまでの取り組みのなかで、苦労した部分もあったのでしょうか。

制度を整えても使いたい人が使えるような環境ができていないといけないので、管理職向けにセミナーを開いて、「こういう制度ができます」「こういう相談を受けたらこう対応をしましょう」といったことを何度も何度も繰り返し伝えていくことには注力しましたし、そこが苦労しました。ですが、こうした取り組みがやがて大きな変化をもたらすということは、会長がロマンを語り続け、従業員全員に浸透している事が証明していますので、地道に続けることができました。

――ホワイト企業アワードで表彰されたことで、メリットに感じていることはありますか。

社内の身が引き締まりました。アワードを受賞することで、ホワイト企業たるもの休暇が取りにくいなんてありえないだろう!というような抑止力になっていますし、旧態依然とした考え方で、昔みたいなことをやっていてはいけないんだというような意識付けにも役立っていると思います。

――今後の課題と感じている部分や、目標を教えてください。

まずは、社外に取り組みをもっとアピールしていこうということが一つ。あとは、台湾・アメリカ・中国に店舗を出していますが、現在はまだまだ国内出店が中心なので、海外進出をさらに拡大していこうとしています。そして、お客様にもっとロマンを伝えていきたいです。我々は利益を求めているんじゃなくて暮らしを豊かにしたい。ニトリに行けばそれが叶うんだ、と思っていただけたらいいですね。

※本記事は、受賞当時(2018年3月)のインタビューをもとに作成しています
 ホワイト財団のインタビューページ

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