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“マルハンイズム”の浸透で会社全体の意識が変化 パチンコ業界をリードする「マルハン」が実施した働き方改革

ダイバーシティ推進課と人事課にて

2019年3月、パチンコホール、ボウリング場、アミューズメント施設等の経営を行うマルハンが、「ホワイト企業認定」を取得した(ホワイト財団/一般財団法人日本次世代企業普及機構 主催)。

従業員がもっと「マルハンで働いている」ということに誇りをもってほしいーー。そんな思いから、ホワイト企業認定の取得に踏み切ったという。その具体的な取り組み内容について、お話を聞いた。

漫画でわかる「マルハンイズム」を全従業員に配布

イズムの芽のエピソードについて朝礼で共有する様子

イズムの芽のエピソードについて朝礼で共有する様子

――ホワイト企業認定の取得に至った具体的な取り組みについて教えてください。

「7つの習慣」の浸透です。マルハンイズムという、他社で言うクレドやウェイのようなものが当社にもあります。

従業員数が増えゆく中、イズムへの理解が希薄化しているのではないか?という疑念も一方で浮かびあがってきました。イズムは1997年当時企業の急拡大に対応すべく出店をストップさせ、当時の従業員全員で550日間かけてつくりあげてきたものですが、制定から約20年が経ち、当時を知る従業員が少数となり、原点を知らないスタッフが増えてきたことも事実でした。そこで、全社でマルハンイズムの軸となった「7つの習慣」を学び直すこととしました。

もともと社内にいた7つの習慣社内ファシリテーター約40名に加え、エリア長(約10店舗を統括する役職)以上を中心に7つの習慣認定社内ファシリテーターを追加で約50名創出し、全社全従業員に伝えられるファシリテーターを育てることから始めました。3本部37エリアにて営業本部長・エリア長から店長へ、店長からマネージャーへ、マネージャーから一般スタッフへ伝えることをベースラインとし、さらに全社で行われる朝礼の場も活用しました。

合計約100名の社内ファシリテーターは、Fコビー社においても、日本一の社内ファシリテーター数を誇るそうです。また、教材も、7つの習慣事務局と連携をとり、「マルハン版7つの習慣」へと改良したプログラムを作成しました。

さらに、従業員により身近なものと感じてもらうため、今期中に漫画で分かるマルハンイズムと7つの習慣をテーマにした「HAPPY AMUSEMENT」もPHPエディターズグループより発刊し、全店へ配布し、幹部層からアルバイトスタッフまで、それぞれにあった形で7つの習慣に触れられるよう推進しました。

――こうした取り組みを行ったことで、実際にどのような影響があったのでしょうか。

マルハンイズムの中にあるビジョン「あらゆるサービス業の中でトップクラスのサービスを提供する」に基づき、接客サービスの向上施策を定期的に実施することで、従業員にマルハンで働いているということにもっと誇りをもっていただきたいと思い、大規模な接客コンテストを年1回開催しています。

店舗にて、店舗の中で優れた接客のスペシャリストを選抜し、その後、各地域ごとでの選抜を経て、代表者が全国から一同に集まり全国大会を開催。最終的には、従業員12,000人のトップを決める大会としました。選抜された従業員には特別なインセンティブを付与することで、会社からの承認と賞賛と行いました。

もともと社内で大切にしている「接客」をテーマとしたことで、多くのスタッフに関与していただくことが出来、勝ち負けは出るものの、新たな接客スタイルの発見や、他の地域のスタッフと話すことのないアルバイトスタッフにとっては特に特別な機会となっています。この取組みも3年目を迎えており、回を重ねるごとに企画内容も進化させ、日頃の仕事の質とモチベーションの向上につなげることが出来ています。

また、2015年より、接客サービス業では難しいのではないか?という疑念もあった中、働き方見直しプログラムも愚直に実施しています。

働き方見直しプログラムは、WLB社の「朝夜メール」「カエル会議」「定例会」「報告会」の仕組みをマルハン流に推進したものです。1年目は3チーム、2年目は22チーム、3年目は89チーム、4年目は全本部での展開を行っています。展開につながっているのは、店舗店舗にあった解決策を、店舗メンバーの手で見つけ、実行するサイクルの中に一筋の光を感じたためです。

この取組みをきっかけに、自分たちのありたい姿を今一度描くことを前提に、小さなことでもまずは行動してみよう、どうせ無理と諦めるのではなくまずは声に出して見ようといった、マルハンイズムを具体的に体現することはたのしい!ということを改めて体感出来たのではないかいと感じています。

一歩目のアシストで苦戦。成功事例が少ないなか、働き方改革を推し進めた施策とは

働き方改革についてのミーティングを繰り広げる店舗

働き方改革についてのミーティングを繰り広げる店舗

――これまでの取り組みのなかで、苦労した部分もあったのでしょうか。

どの取組みについても、真面目にしっかりやれば効果は必ず着いてきます。ただ、適当にやってしまうと時間だけが奪われてしまい、効果は出ません。はじめての取り組みはどうしても時間や工数がかかってしまうので、それでもやりたいと思ってもらえるように理解を促し、気持ちよくキックオフをきることが大変でした。

特に、働き方見直しの取り組みは、当初接客サービス業での成功事例は少なく、イメージをなかなか膨らませることが出来ませんでした。どうしても成果が見えずに、質問攻めに合うこともありましたが、無関心よりは関心が高い証拠ですので、一緒になってもっとよい取り組みにするにはどうすればいいかを当時の店長や役職者の皆さまと一緒に考えました。

一緒に悩みを共有できたことで、今では一番の理解者かつ全社の中でも指折りの推進者として全社を引っ張っていただいています。もともとの素晴らしい仕組みをマルハン流にアレンジしていくことが出来たのも、店長役職者の声があったからこそです。

――ホワイト企業に認定されたことでメリットを感じていることはありますか。

社内においては、従業員のモチベーションの向上やマルハンで働くことへのエンゲージメント向上につながったのではないかと考えています。

ホワイト企業アワードにて賞をいただいたことを社内表彰でも取り上げていただいたことから、知名度はぐっと上がりました。長年取り組んできたことを表彰頂く機会はめったにないので、従業員一同とても喜んでおります。また社外においては、社長自身も同業他社の経営者から「おめでとうございます!」と声をかけてもらえたと聞きました。

中でも一番の効果は、採用シーンであると感じています。新卒採用の場面において、当社の取組等を紹介する際にホワイト企業アワードのロゴと共に紹介することで学生の皆様から、より取り組みに興味を持ってくださっています。「ホワイト」という言葉からも企業への信頼度が高まっているように感じます。

業界全体をポジティブに変容。ダイバーシティの推進でハッピーな道を生み出せる企業へ

――今後の取り組みや目標について教えてください。

今後は「イノベーション」お客様へ従業員へ新たな価値を届ける取り組みを、さらに積極的に推進していく必要があると考えています。社内においては、ダイバーシティ推進の要である“女性活躍推進の目標達成”を第一ステップとし、第二ステージへと歩を進めていく段階に来ています。

これからはより意識をして、社内にてイノベーションが起こるよう異分子を重要なポジションやプロジェクトに必要人材を投入できるよう働きかけていく必要があると考えています。ホワイト化の取り組みの元にあるのは、大多数の方の活躍だけではなく、少数派の方々がいかに多数派に押しつぶされることなく異分子のポテンシャルを発揮できるかどうかであるとも捉えているからです。

8割以上が所属する営業本部においては、このダイバーシティの考え方が約4年の年月を経て、少しずつ浸透してきている状態です。土台が少しずつ整い始めてはいますが、価値発揮を推進していくにはまだまだ意識的な推進が必要です。まだまだ弊社にもモノカルチャーな部分が残っていたり、些細な場面での助け合いすらかなわなかったりするのも事実です。

それでもなお、誰かがほんの少しの勇気で意見を言いたいと言える風土を作っていくことで、いつの日か、全従業員が心の中の思いのたけを素直に伝えあえ受け止め合える、そんな風土をつくっていきたいです。また、違った価値観をもつ意見がぶつかり合うことで、イノベーションが生まれるよう働きかけていきたいです。

また、業界をリードできるよう、ホワイト化にこだわり様々な施策を推進していくことで、業界のイメージを少しでもポジティブなものへ変容させ、パチンコ業界でもしっかりと取り組めるということを他業界の方々にも知っていただきたいです。

私達の活動が、推進に躊躇していたり、悩みの渦中にいたりする企業様にとって、なにかしらの勇気や活力に繋がれば、これ以上の幸せはございません。性別・業界・働き方・様々な違いを超えて、積極的に手と手を取り合い、互いにハッピーな道を生み出すことが出来るよう、これからも精一杯推進します!

※本記事は、認定当時(2019年3月)のインタビューをもとに作成しています
 ホワイト財団のインタビューページ

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