「妊婦が自ら社内制度を整備」「時短で働くママさん広報」 ベンチャー企業で活躍する女性たちをご紹介
国内最大級のクラウドソーシングサービス「CROWD」を運営するリアルワールド(東京・六本木)では、約60名の社員のうち4割が女性。サブマネージャー6人中5人が女性社員で、それぞれチームを率いて活躍をしています。
現在入社5年目の堂下亜希さん(27)もそのうちの一人。現在、お得な情報を発信するお買い物サービス「げん玉」や「REALWORLD」の広告営業を担当し、営業・事務の3人で、年間数億円規模の売上をあげています。
学生時代からベンチャー企業で働くことに興味があったという堂下さん。リアルワールドに入社を決めた理由についてこう話します。
「私は福井出身なのですが、遠方からの就職活動ということもあって、なかなかいい企業に出会えませんでした。そんなとき、偶然ネットでリアルワールドを見つけたんです。採用ページで、若い人が活躍している様子が紹介されていて『ここなら私も頑張れる』と強く思い、応募しました」
入社数年は先輩の下で新規代理店の開拓営業をこなし、2年前にサブマネージャーに任命されました。クライアントに最適なプランを提案するため、苦心することもありますが、「メールをすぐに返信したり、言葉遣いに気をつけたりといった、当たり前のことを当たり前にやることを心掛けています」と語ります。
サブマネージャーに女性が多いことについては、堂下さんも「男性社員の方が多いのに、社外の方から『リアルワールドは女性が多いですね』ってよく言われます。それだけ女性の活躍が目立つのだと思います」とコメント。
リアルワールドでは、一人ひとりの裁量が大きく、また目標に対する成果が重視されます。自分なりのやり方で、仕事をした時間ではなく成果で評価してもらえるため、結婚や出産などで制約ができる女性でも活躍できる、という点があるようです。
また、「CROWD」を始め、リアルワールドのサービスではユーザーの半分以上が女性のため、運営側に女性の視点も欠かせません。同じくサブマネージャーとして、「げん玉」のWEBデザイナーとして活躍している金子小雪さん(28)も、こう語っていました。
「主婦のユーザーさんが多いのですが、そうした方々が求めているものを想像しやすいのは、女性ならではの強みかもしれません。スマートフォンの操作を考えるときも、女性の細い指と男性の太い指ではタップの感覚も違います。女性だからこそ、こういった男女の違いも意識してサービスをデザインしています」
リアルワールドでは、こうした女性社員の活躍が、会社が成長する大きな原動力にもなっています。では次に、女性が結婚や出産後も働き続けられるよう、実際に自分で制度を作ってしまった女性に話を聞いてみました。
たった1人の人事が妊娠! 自身の経験を活かし、ルール作りに挑む
マーケティング支援サービスを提供しているベンチャー、マーケティングアプリケーションズ(MApps 東京・新宿)では昨年秋、たった1人の人事として働いている女性が妊娠するという出来事がありました。
創業以来初の妊婦となった池田真実さん(33)。MAppsでは、これまでも産休や介護休業に関する就業規定はありましたが、実際に正社員の妊婦がいたことが過去になかったため、人事の池田さん自らが実態に即したルールを新しく作る必要がありました。
「9月に妊娠が分かって以降、安定期に入るまでは、つわりや急な体調変化で自己管理が大変でした。産休制度はもちろんありましたが、休みに入るまでの妊婦を守る仕組みがなく、このままでは私と赤ちゃんだけでなく、未来の女性社員にとってもよくないと思いました」
そこで、産前産後に活用できる在宅規定を策定。産前の場合には、妊娠5週目~16週目まで週5日在宅で働けるようにしました。
「在宅の良い点は、朝起きて朝食を食べたらすぐに業務に取り掛かれる点と、通勤ラッシュの電車でもみくちゃにされないことですね。これは妊婦にとっては重要です」
在宅だけではなく時短で働ける規定も作り、どちらが働きやすいか、各自で選択ができるようにもしました。根底には、社員一人一人が責任を持ち、目標を達成しながらライフイベントにも対応できるようにしたい、という考えがあります。
池田さんは、実際に在宅で働き始めてみると、色々と工夫が必要なことにも気付きました。
「オフィスで問題なくできていたことが、在宅だと意外とスムーズにいかないことがありました。そこで、いつどこにいてもクオリティとスピードを下げずに業務を進めるため、あらゆる面を効率化しました」
例えば、全ての書類をストレージ上に保管することで、会社のデスクでなくても参照可能にしました。また、顔を合わせての打ち合わせは出社できる日に限られるため、1回でどこまで進められるかがカギになってきます。あらかじめゴールを設定し、アジェンダをどこまで共有するか、打ち合わせ時の各自のタスクはどうするかなどを徹底的に管理するようにしました。
在宅勤務は世間で賛否が分かれる点ではありますが、主体的に仕事をしている人にとっては業務の無駄を削減し、より効率的に仕事をできるきっかけになるかもしれません。
「当社では前例がありませんが、産後も職場には復帰するつもりです。採用面接などで女性の方とお話する機会があるのですが、最近は出産前後に関する規定や事例を気にされる方も少なくありません。これからも自身の経験を活かし、女性が積極的に働き続けられるルール・運用作りをこれからも進めていきます」
少人数ベンチャーで働くママ広報の働き方、限られた時間を徹底的に有効活用!
そして次は、実際にママとして働く女性の体験談です。カップル専用アプリ「Between」を運営するVCNCは、韓国に本社があるグローバル企業なのですが、その日本支社VCNC Japan(東京・渋谷)は正社員数が3人という超少人数ベンチャー。そこで広報を担当しているのが、私、一児の母である岸田洋子(26)です。
2014年10月に長男を出産、生後8ヶ月になった2015年6月の時点で職場復帰をしました。現在、時短制度をとっているため、勤務時間は10時~16時と、普通の正社員より3時間短いのですが、その中で「働くママ」として工夫している2点をご紹介します。
その1:今行っている仕事が全員に分かるようにする
時短勤務だからこそ時間の管理が大事になってきます。そこで行うのが社内でのタスクの共有です。まず、業務時間の30分前に出社し、週間タスクの確認とその日のタスクを紙に書き出します。
その後、全体で共有するカレンダーに作業スケジュールを記入し、全員が進捗状況を確認できるようにします。働くママさんが陥りやすいのが、「大して仕事が進んでいないのに早く退社して罪悪感を持つこと」ですが、タスクや進行状況の可視化し、徹底的に時間管理することによって、それを軽減することができます。
その2:ランチタイムの活用
子供がいると、以前よりも夜の会食には参加しづらくなります。特に広報は社内外とのリレーションが命なので「夜に飲み会に行けないと辛くない?」と聞かれることも多いです。
いやいや、夜が無理なら昼があります!ランチタイムは、基本週に1回社内全員でコミュニケーションを取る日を設け、それ以外は社外の人や記者の方と積極的にランチに行っています。社内メンバーが少ないからこそ社外でのリレーションも重要。休憩時間も有効的に活用しています。
よく「働くママって大変でしょ?」と言われますが、工夫の仕方は色々あると感じました。私の場合は、時短勤務という時間のメリハリがあるからこそ、限られた時間に集中して向き合えるようになりました。
また、産後は子どもに合わせて早寝早起きのサイクルができたので、身体も健康になり、業務中に眠くなることも全くなく、集中して効率よく過ごせるようになったと感じます(妊娠前はやたらとコーヒーを飲んで日中過ごしていました……)。
復帰直後は思うように仕事が進まず、子供を寝かしつけた後や、子供預けて土日に仕事していた時期もありました。ですが,試行錯誤のすえ、自分のできる作業量を把握し、できないことは早い段階でヘルプを求め、無駄のない仕事の仕方を見出すことができたと思います。
以上、3社の女性たちの様子をお伝えしました! 職種は色々ですが、生き生きと働く女性社員が会社の成長に欠かせないファクターになっているのかと思います。働く女性の参考になれば幸いです♪
次回は、渋谷にオフィスを構えるベンチャー企業の広報が「渋谷の会社あるある」をご紹介します。お楽しみに!
【平成広報女子会】
広報担当者養成機関「東京PRアカデミー」参加者らによって結成された「平成生まれの女性広報担当者」の集い。現在、ITベンチャーを中心に41社から42人が参加している。次の時代を担う広報担当者になるべく日々勉強中。
あわせてよみたい:新人研修で「わらしべ長者」を実践!