2回目の「緊急事態宣言」は、就職・転職活動にどれだけ影響を与えるのか? | キャリコネニュース
おかげさまで10周年 メルマガ読者数
65万人以上!

2回目の「緊急事態宣言」は、就職・転職活動にどれだけ影響を与えるのか?

緊急事態宣言の再発令でも企業の採用は止まらない

緊急事態宣言の再発令でも企業の採用は止まらない

1都3県を対象に、2021年1月8日~2月7日(31日間)を期間として2回目の緊急事態宣言が発令されました。就職活動学生や転職希望者にとってみれば、昨年に引き続き活動シーズンを直撃する形となり、またもや混乱が起こるのではと不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

昨年は社会的にも初めての経験ということもあり、緊急事態宣言が解除されるまで企業の採用活動はいったんストップしました。今年も同じようなことが起こるのでしょうか。(人材研究所代表・曽和利光)

オンライン面接の精度は向上している

今回の緊急事態宣言は、昨年と違い、これまでのコロナ感染症の実態検証を踏まえて、やや限定的なものになっています。

特に言われているのは、主に飲食店での会食を想定した20時以降の外出の自粛です。イベントの人数制限などはありますし、会社員の通勤も「出勤者数の7割削減」と目安は掲げられてはいますが、中止するよう要請されているわけではありません。

学校に関しては、むしろ一斉休校は要請しないと言っており、就職活動などの人生にとって重要なものについては同様と考えてよい、つまり慎重にコロナ対策をしながらであれば行ってもよいと考えられます。

1回目の緊急事態宣言後、企業の採用手法も変化しました。それは採用のオンライン化です。昨年もオンラインでの会社説明会や面接はありましたが、ドタバタの中で行われたために試行錯誤でスピード感を欠きました。

しかし今年は、すでにインターンシップをオンライン化したり、日頃の仕事自体がオンライン化されていたりすることもあり、昨年よりもスムーズに実施されることでしょう。

面接担当者や採用担当者向けの「オンライン面接トレーニング」なども様々なところで実施されており(私もたくさんやらせていただいています)、面接の精度も昨年より向上しています。

採用活動はコロナ下でも止まらない

昨年の採用活動は、当初は経団連が定めていた前年までのルール(3月広報解禁、6月選考解禁、10月内定解禁)より2ヶ月ほど早く進んでいました。それがコロナのために2ヶ月ほど遅れ、結局、緊急事態宣言中の中休み的期間を置いて、前年と同じような時期にピークを迎えています。

しかし今年は、緊急事態宣言の内容的にも、オンライン化の普及度的にも、同じことは起こらないのではないかと思います。つまり、宣言の影響は軽微で、企業の採用活動はほぼ止まらす、期間中もオンライン面接はつつがなく実施されるでしょう。

そう考えると、当然ですが、就職や転職活動も止めない方がよいかもしれません。もちろん可能な限り緊急事態宣言の要請に従って、コロナ感染症対策を行うことは国民としての務めだとは思います。

しかし、キャリアの問題は「不要不急」ではありません。一生がかかっているものですから、これで第一志望の会社の受験を止める必要はないということです。煽るつもりはありませんが、現実的に企業が採用活動を続けている以上、それに乗るしかありません。

就職活動や転職活動を続けるかどうかは、最終的に自己判断・自己責任ではありますが、緊急事態宣言だから採用活動は止まっているとは思わない方がよいでしょう。

転職活動は慎重に

緊急事態宣言とは「対面での人との接触」を避けろということですが、採用活動の中でも会社説明会や面接はオンライン化が済んでいますし、就職活動に関するいろいろなことがオンラインで可能です。

OB・OG訪問も、アプリやSNSなどを通じて接点を持ち、オンラインで面談をしてもらうこともできます。同じ就職活動生との情報交換も、企業クチコミサイトなどが代替となるでしょう。最終面接だけはできるだけ対面でやるでしょうが、それ以外はオンラインで済むなら緊急事態宣言は関係なくなります。

以上、「緊急事態宣言は、今年は採用活動にそれほど影響を与えないのではないか」ということを述べてきました。ただ一つ付け加えるとすれば、期間に制限のある新卒採用とは違い、制限のない転職活動は拙速に動かなくてもよいかもしれません。

それは、このような世情混乱の時には、不安心理を会社や仕事のせいにしてしまいがちだからです。実際、「コロナ転職」のような言葉も出てきています。オンラインコミュニケーションは普及したとはいえ、対面と比べて限界がありミスマッチが起こる可能性もあります。

入社後もすぐテレワークでは職場に溶け込むのもなかなか難しく、早期退職につながるおそれもあります。転職活動を行う場合には、このようなことも総合的に考えた方がよいでしょう。

sowa_book【筆者プロフィール】曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。著書に『コミュ障のための面接戦略 』 (星海社新書)、『組織論と行動科学から見た人と組織のマネジメントバイアス』(共著、ソシム)など。

■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

【PR】注目情報

関連記事

次世代バナー
次世代バナー

アーカイブ