スクールカーストが高い生徒は、コミュニケーション能力、身体能力などが「高い」と、クラスメイトから高評価されているため、プライドも高くなりがちです。この「カースト」と同じ基準を、クラス外の人にも当てはめて、態度を変える生徒も少なくありません。
一緒だと思いたくも、思われたくもないからです。
たとえば、いったん「こいつ、クラスにいるあの陰キャと同じか」などと評価され、低カーストだとみなされると、まともに話も聞いてもらえなくなる。ひとことでいうと、「なめられてしまう」のです。
だから、個別指導塾を運営する際には、担当する講師が「なめられない」ように、コミュニケーション方法や性格などが、生徒と合っているかどうかに気を遣いました。もちろん、カーストが高くても人を上下で見ない生徒もいますが、全体的には多い印象を持ちます。
その2.「高カーストフリ」は一番危険
そうなると、教える側としては「なめられない」ために、頑張りたくなるものですが、実は無理に上位カーストであるかのように振る舞うのが、一番危険です。
生徒は「高カーストっぽさ」を、単に話す内容だけでなく、醸し出す雰囲気、言葉の選択など、さまざまな要素から判断します。誰かが無理をして「高カースト」を演じようとしていると、「なめてるのか?(そんなので騙せると思っているのか?)」という反応になります。
スクールカーストが「上」の生徒は、会話力だけでなく、洞察力など、人間関係で優位に立つ力を身につけているものです。教える側にとっても、彼らを出し抜くのは大変です。
その3.伝え方も大事
もうひとつの注意点が、勉強しないとダメ、ルールは守るべき、など「正攻法の会話」が通じにくい点です。
カーストの高い生徒は、「勉強しないとダメ」「ルールは守るべき」などと正面から言っても、素直に聞かないことが多いです。
「マジメ=カッコ悪い」と思っていたり、仲間内でダサいやつと思われないように、悪ぶった振る舞いが染みついてしまっているケースもあります。。
こうした場合、どのように話すかが重要になってきます。
たとえば、「宿題ちゃんとやってきてね」と言うと、「真面目にやるのは、カッコ悪い」などと反発された。
そんな生徒には、「宿題やりたくないのは分かるけど、今回は重要だからやって欲しいよー」などと”真面目じゃないことは分かってるよ”と伝えながらも”お願い”する。これだと生徒の側も「お願いされたからやった」という言い訳が立つので、やってくれる可能性が高まります。
その4.結局は教える側の「人間性」
もちろん、カーストが高くなかった講師にも、生徒から尊敬してもらえるチャンスはあります。
ひとつは、勉強への意識がある生徒なら、勉強で尊敬の念を持ってもらうこと。「この人について行けば、志望校に入れそうだ」「勉強ができるようになりそうだ」などと思ってもらえれば、しめたものです。
生徒によっては、勉強への意識が薄く、まずは勉強への動機付けから始める必要もあります。そういう場合も、上から押さえつけようとしたり、決めつけたり、下に見るような姿勢は反発されます。
結局のところ、全ては「どのような姿勢で生徒と向き合うか」にかかっています。
生徒を見下したり、バカにしたりせず、見せかけではなく、「心の底から向き合うこと」が重要です。ようは、教える側の「人間的な部分」がすごく大切になっているのです。
これが教育の大変なところですが、だからこそ面白く、重要なポイントだと思っています。少しでも何かの参考になれば幸いです。
【筆者プロフィール】】株式会社STORY CAREER取締役 妻鹿潤(めがじゅん)
関西学院大学法学部卒。塾コンサルタント・キャリアコンサルタント・プロ家庭教師などを通してのべ1500人以上の小中高生、保護者へ指導・学習アドバイスを行う。
大手教育会社時代は携わった教室が10か月で100人以上の生徒が入会する塾に。しかし志望校合格がゴールの既存教育に限界を感じ、「社会で生き抜く力」を身につける学習塾を起業。40~50点の大幅な点数アップを実現し、生徒のやる気を引き出すメソッドを確立。入塾待ちの塾となる。
現在はキャリアコンサルタントとして企業の採用支援、大学生・社会人のキャリア支援を行う。ほかにも塾コンサルティング、プロ家庭教師、不登校・発達障害の生徒の個別指導なども行っている。