幸福度1位の福井県は本当に”嫁の犠牲”で成り立っている? 根強い「亭主関白文化」も女性の生きづらさを助長
福井県は、実は共働き率でも全国ランキング1位でもあります(2017年総務省・就業構造基本調査)。東京に住んでいるときは、僕の母親も含め「専業主婦です」という人が多かったですが、こちらではあまり見かけません。
福井で働き育児をする妻は「働いていないと逆に目立つ。専業主婦は”普通”ではないことなので、よくも悪くも本当に目立つ」と話していました。例えば家が10軒ある集落で、9軒が共働きなのに1軒だけ専業主婦だったら目立ちますよね。
また傾向として持家比率も高いため、共働き率に比例して、家計に余裕のある家庭が多いように感じます。さらに待機児童もゼロで三世代同居も多いので、働きやすい環境が整い、生活レベルもそれなりに高いように思います。傍からみると”幸せそう”を表す指標はクリアしています。
それでも、福井新聞の記事には県在住者の切実な声があがっています。女性が働き、女性が家事や育児を必死にする。「それでも幸せ!」と思う人ももちろんいるはずですが、実際にカウンセリングで私のところに来た女性からは「旦那は家事育児もせずに私だけ頑張ってるような感じがしてしまう」という相談がありました。
福井に残る”長男重宝”文化 男性は仕事一筋亭主関白、女性は家事育児の家庭が多い
ほかにも「好きなことをやりたいのに、家事育児仕事をこなしていると時間の制約があってなかなかできない」という声や、仕事も家事もこなしている女性は愚痴るように夫にあたったりしているという声も寄せられています。
もちろん時代の変化とともに男性の育児家事参加も増えていますが、福井は稲作農家や大工などの先祖代々的な家庭も多く、長男が重宝される文化が残っています。男性は仕事して亭主関白、女性は家事育児という家庭はまだまだ多いようです。少し年代が上の男性は家では「酒!」「おい、ごはん!」と座りながら妻に言う人もいます。
仕事と家庭の両立は、例えば子どもをシッターさんに預けるとか、お手伝いさんに任せるとかのテクニックや手法の問題ではありません。福井県の共働き文化は「これが普通」という思想のもとに成り立っているものであるからこそ、不満や「不幸度一」という言葉が出てくるのかもしれません。
この地域はどんな場所で、どんな特徴があるからダメ、というわけではない
ランキングというのはあくまでも数値的な話であって、それが一般的で幸せになれる法則というわけではありません。共働きでうまくいく家庭もあればそうじゃない家庭もあり、持家じゃなくてもいいんだという家族もあると思います。
僕にとって、福井県はとても住みやすい場所です。核家族として東京で住んだあとの移住は、待機児童も0だし、働きに出たい妻にとっては三世代同居で子育ての負担もでき働きやすい環境だし、家計の負担も分担できる。
それは僕だから住みやすいのであって、別の人にはそうではない可能性だってあります。この地域はどんな場所で、どんな特徴があるからダメとか良いとかではなく、その地域でどのように自分だけの住み方や幸福感を探していくのかが一番大切なのかもしれません。
大切なことは、それぞれがどのようにして幸せを感じるのかであって、どうやって幸福度の基準や?普通”に合わせていくのか?ではない気がするのです。
【筆者プロフィール】ちばつかさ
柔道整復師、メンタルケア心理士、元プロ野球独立リーガー。東京と福井で投げ銭制の接骨院「小道のほぐし接骨院」を経営しのべ10万人近くの体と心と向き合う。野球経験を活かし都内で”野球を教えない”野球レッスンも運営。【公式サイト】