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“営業はクロージング力を上げれば売れる”はもう古い 消費者のニーズが多様化する現代に求められるスキル

これから必要なスキルとは?

これから必要なスキルとは?

顧客の欲するモノやサービスが多様化する昨今、営業成績が昔のように上がっていかない、上げられないメンバーに頭を抱える人も多いのではないでしょうか。

原因を聞いても、返ってくるのは的を射ない答えや言い訳ばかり……。こうした状況で、メンバーの営業スキルを上げ、成果を出していくために管理職はどうすればいいのでしょうか。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

顧客の“見る目”に厳しさが増し、ニーズが多様化する現在

営業の成績向上のために、これまではクロージングスキルをいかに磨くかに焦点が当てられてきました。例えば「今だけの限定お値引きがございます」「お客様だけへの限定のサービスをお付けします」といった客側がなかなか断わることができないものです。しかし、今はこれでは通用しなくなってきています。必要とされるのは、客側から断られない信頼関係の構築スキルです。

人口が増え続けたひと昔前までは、増えた人口が消費者に回るため、作れば売れる時代が続いていました。この時代は、消費者はモノ、サービスをそもそも欲しているので、クロージング力を磨けば売り上げ目標を達成することが出来ていたのです。

しかし、人口減少が進む現在は、一人ひとりのモノやサービスへの見る目に厳しさが増し、そのニーズも多様化しています。この厳しい目や多様化するニーズに対応していくためには、客側の本音を聞き出すスキルが欠かせません。本音を聞き出すための信頼関係が必要です。

つい本音を語ってしまう人間の心理、鍵は「ペットの行動」

セブン&アイ・ホールディングスの元代表取締役会長の鈴木敏文さんは、以前、次のように語っていました。

「もの不足の売り手市場の時代には、消費は経済学で考えれば良かったが、今は心理学で捉えなければならない。今の時代は顧客の心理を読まなくてはならない」

つまり、顧客の本音をしっかりつかむことが必要ということです。

人の本音を導き出す際に、参考になるのがペットの行動です。ペットは何も言わず、飼い主の目を見て、好奇心だけを示してくれる。そんな時に人は、自分を受けとめてくれているペットに心を許します。中にはペットに悩みを語り掛けている人もいるでしょう。そう、本音を語っているのです。

ペットを飼い、その行動を観察すれば、どのような行動が人の本音を導き出すのかが分かってきます。ペットは飼い主に関心を示し、飼い主の自己重要感を満たしてくれます。自己重要感とは、人は自分自身のことを大切な存在と認めたいし、人からも認められたいという思いのことです。自己重要感が満たされた時、人は目の前の存在に心を許します。

では、人間である皆さんの部下は、顧客の自己重要感を満たすために何をしていけばいいのでしょうか。私がお伝えする信頼関係構築スキルの中では、顧客の自己重要感を満たす会話のポイントとして、次の3つをお伝えしています。

ポイント(1):頷きと相槌をしっかり打つ

ポイント(2):相手の言った言葉を繰り返す

ポイント(3):相手の話を要約していく

中でも大切なのは、ポイント(3)の要約です。しっかりと客の話を聞き、間違いのない要約ができれば、客は営業パーソンに対して「この方はしっかり私に関心を持ってくれていて、自分を受けとめてくれている」と、ペットに感じたものと同様な感覚を抱きます。

そして、本音を語ってくれるようになります。その後は、本音から見出された課題を満たすための商品やサービスを分かりやすく説明していけばいいのです。商品やサービスが自分のためのものであると理解できれば、クロージングで断られることはないでしょう。

皆さんのメンバーにも、顧客の自己重要感を満たすためのスキルを養ってもらいましょう。難しいことはありません。顧客のこれまでの人生の紆余曲折を上記3つのポイントを意識しながら、聞いていくだけです。話の中から顧客が大切にしている思いを理解し、その大切な思いを満たすことができる商品やサービスさえあれば、必ず成約に結びついていきます。

今回は、チームの営業成績が上手く上がっていかないという課題に対して、メンバーにどのような力を養っていけばいいのかについて話を進めてきました。目先の数字に一喜一憂するのではなく、物事の本質に目を向けられる力をメンバーと一緒に養っていきましょう。

筆者近影

筆者近影

【著者プロフィール】田岡 英明

働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント

1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。

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