「ママ起業」ネットワークの光と闇 安易なタダ働きを要求し、断ると追放…
「女性が輝くニッポン!」を政府が推進しているとかで、最近女性による「プチ起業」「ママ起業」の話をよく聞きます。私自身もフリーランスの女性PCサポーターとして様々な会社とお仕事をしていますので、この路線にいると言えば言えるのかもしれません(笑)。
ただし私は、自分の生業としてPCサポーターをしており、これで稼ぐことで家族が食べていけるという側面があります。一方、「ママ起業」はお金に困っていない主婦が片手間でやることもあり、私たちフリーランスには一種の脅威でもあるのです。
女性は「横のネットワーク」で助け合うべき?
以前、女性起業家の「B先生」から、彼女が主催する女性起業家ネットワーク主催の「パソコン講座」の講師を依頼する連絡が入りました。条件を聞くと、ギャラが出ないどころか、なんと参加費を支払ってくれというのです。
B先生が言うには、「領収書を発行してるから、経費計上できるでしょ?」とのこと。女性の参加者が大勢集まっているので、あなたが役立てられるネットワークもできるし、これも女性が輝く社会になるために必要な「助けあい」だというのです。
彼女は女性起業家を育成し、バックアップすることを生業としています。口癖は、
「女性は『横のネットワーク』で助け合って生きていけるのが利点」
というもの。確かに言葉は美しいのですが、結局は会を主催する胴元の自分だけが、おカネを集めるしくみになっています。参加者たちは「小額の出費でつながりが持てるなら、まあいいかな」と思っているようですが。
それに、このB先生の主張は、ちょっと危ない内容を含んでいます。
「主婦ならば103万円までの利益は、扶養範囲内でご主人様の扶養扱いでいられるのですよ。しかも、自宅で起業をすれば、自宅のローンや車の保険、ガソリン代なども一部経費として認められるのです。これがイマドキの賢い主婦の生き方なのです!」
なぜか「なんで無料でやってくれないの?」に発展
確かに、少しでも税金を浮かせようと思えば、そんなやり方もあるでしょう。知っている人と知らない人では、差も大きくなります。でも、どこか脱法的なやり方が気になります。旦那さんの少ない収入を、主婦がやりくりするのも大変なのでしょうが…。
もっと問題なのは、「ママ起業」を「103万円までの利益」でやられることです。要するに、それ以上稼ぐのは馬鹿みたいなことを言ってるワケですが、それを真に受けた人たちは、扶養内を守るために安いおカネで仕事を引き受ける傾向があるのです。
そういうのが当たり前になると、価格崩壊を起こして、業界そのものが滅びてしまうリスクがあることまでは、考えが及ばないようです。
そのうえ、主婦さんたちは「安くていいものを!」という言葉が大好き。起業家ネットワーク内ではいいものを安く提供するのが素晴らしい、という信仰があり、何かを頼まれてやる際に代金の話をすると、こんなことを平気で言い出します。
「え、なんでこのくらい無料でやってくれないのよ!」
「あなた自分でできるんだから、もっと安くやってくれてもいいじゃん!」
「じゃあ自分でやれよ」と心の中で毒づいたことも数知れません。
横のつながりが「排除の縄張り」になる
ただ、女性が助け合って生きていく「横のネットワーク」は、逆に強力な排除の縄張りにもなります。その後の請求トラブルで、B先生や周辺の主婦たちと縁を切ることになった私ですが、彼女のネットワークから追放されたおかげで、仕事がやりにくくなったのは事実だったりします。
それにしても、私が無償で作成させられたWebサイトを、その女性起業家ネットワークの会が今でも使い続けているのが、ちょっと癪なのですがね…。
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