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「職場の噂」など放っておけ! しかし「噂好きな社風」は元から断たなければならない

組織にとって、「噂」は危険なものです。インフォーマルな形を取る情報は、会社の経営危機や特定社員の誹謗中傷、誰それが不正を働いているなどネガティブなものが多く(そうでなければ公の場で明るく問いただせばよい)、たいていの場合、その組織のメンバーを不安にさせるものです。

「疑心、暗鬼を生む」の言葉もある通り、不安というものは、ありもしない謀略や悪意がまるで社内に本当にあるかのように人々に思わせます。せっかく組織をまとめていこうとしている経営者や管理者にとって、噂は妨害でしかありません。噂は組織にひびを入れます。(文:曽和利光)

正面から立ち向かっても無駄な努力になりがち

噂は組織にひびを入れる

噂は組織にひびを入れる

では、そういう嫌な噂が職場に蔓延していると感じたとき、どうすればよいのでしょうか。無根拠な噂なのだから、正々堂々と公の場で「こういう話があるが事実無根だ」と言えばよい、とよく言われます。確かに明白な「噂を否定できる事実」があるのであれば、そういうことも効果的かもしれません。

しかし、よく「悪魔の証明」などと呼ばれますが、何かが「ない」ことを証明するのは、実は至難の業です。何かがあることは1件でも事実が見つかれば立証できますが、ないことはすべての対象を網羅的に調べつくさなければ立証できないからです。

しかも事実無根の噂が広がるのは、「そう信じたい」人がいるからに他なりません。この会社やこの人は、表面的にはこんな風に振舞っているくせに、ひとたび裏を返せば本当はこんなにあくどい、ひどい状態なのだというイメージが、何らかの人々の心理的ニーズを満たす心地よさを持っているから広まるわけです。

例えば、人事評価が不当と思っている人は、会社の経営能力に疑問を持つことで、自分の評価が間違っていると思いたい。そこで人事評価が高い人が上司に取り入っているなどの噂(妄想)を信じたい、というようなことです。人は信じたいものしか見ない。そういう「結論ありき」の問題に立ち向かっても、無駄な努力になることでしょう。

ウソの噂は「それに飛びつく人」をあぶり出す

私のお勧めは、その噂が現実的な問題(社員の退職や顧客からの不信任、契約打ち切りなど)にすぐに結び付かないような場合には「スルーする(相手にしない)」ことです。

噂が事実無根のウソだとすれば、一見すると本当のような話であっても、曖昧な部分や矛盾した部分があって現実世界と辻褄が合わないはずです。時間が経てば経つほど、その噂が本当であったなら起こるはずのこと(会社の倒産やリストラ、特定の人物の左遷など)が起こらないことで、「やはりあの噂は事実ではなかったのか」ということになっていきます。

優秀な人から順にこういうことにどんどん気づいていき、結局、ウソの噂は雲散霧消していくことでしょう。「人の噂も七十五日」とはよく言ったものです。

さらに言うと、私が噂を放置した方がよいと思うのは、それに喜んで飛びつく人と、そうでない人を見ることで、誰が本当に組織や職場にコミットメントがあるのか、ロイヤリティがあるのかが分かるからです。組織のことを信じている人は、ネガティブな噂が耳に入ったときでも、

「いやいや、そんなことがあるはずがない。何かの間違いではないか」

と一笑に付すというものでしょう。それを、鬼の首でも取ったように率先して信じ、周囲にも吹聴するという行為は、組織や職場に対して普段から何らかの不満やうらみつらみを持っていることの証拠です。

その裏にある組織マネジメント上の問題は何か

人には「やられたことをやり返す」(返報性)という悲しい性がありますので、そういう職場へのルサンチマンを持っている人を置いておくと、ロクな事はありません。ウソの噂を信じてもらい、嫌気でもさして出て行ってくれるなら追い出す手間が省けます。

以上のように、私はバカげた噂話など無視してよいのではないかと思っていますが、それは個々の噂に対することを指しており、「噂が広まるような組織の体質」については問題だと考えています。

疑心を生むのはコミュニケーション量が足りていないため、情報不足なのかもしれませんし、組織をうらんでいる人が出るのは、人事評価制度が公平性に欠けるものなのかもしれません。そもそも噂を安易に信じてしまうようなレベルの低い人を採っている、という採用の問題かもしれません。

噂好きな社風になってしまっているな、と思った時には、個々の噂を潰しにかかることに躍起になるのではなく、その裏にある組織マネジメント上の問題が何なのかを考えてみる良い機会だと思ってはいかがでしょうか。

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