人を的確に評価する「共通言語」の重要性 お互いの性格が理解できれば組織内のトラブルも減る | キャリコネニュース
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人を的確に評価する「共通言語」の重要性 お互いの性格が理解できれば組織内のトラブルも減る

人の集まりである職場では、お互いが他人のことをあれこれ評しています。褒めたり批判したり、愚痴をこぼしたり。その割に、評価の際に使われる言葉は人によって定義がまちまちで、そのことが職場のコミュニケーションを阻害しています。

同じ言葉を使っていても頭の中にイメージするものが違えば、コミュニケーションはちぐはぐになり、すれ違い、誤解を生み、疑心暗鬼の元となります。職場の問題のほとんどは誤解から。今回はそれを避ける一つの方法として、人を表現する「共通言語」を持つ意味について述べてみます。(文:人材研究所代表・曽和利光)

「あいつはああいうやつ」で印象が大きく変わる

相互理解は「共通言語づくり」から

相互理解は「共通言語づくり」から

私が最初に入社したリクルートは、現在採用選考において日本で最も使われている適性検査であるSPI(Synthetic Personality Inventory:総合人格検査)を作った会社です。社内では多くの人が、SPIで使われるパーソナリティ(性格や能力の総称)の語彙をおおよそマスターしていました。そして、それを使って「あいつは自責性が高いからなあ」とか「ちょっと高揚性が高すぎるんじゃないか」などと人を評していたものです。

「知るは愛に通ずる」と言いますが、人は相手の性格を知っていると親近感が湧くものです。仮に何かトラブルが起こったとしても「こんなことをするなんて、あいつは仕事をなめている」と疑心暗鬼になるのではなく、

「あいつはああいうやつだから、こうなってしまった。しかたないなあ」
「彼はこんな人なのに、こういうことをするなんて、なにかあったに違いない」

と相手に寄り添う印象になります。これは天と地との差です。職場の相互理解がこの状況にまでなれば、トラブルがトラブルでなくなることもありますし、逆に前者であれば、本当は何も問題がないのに変にトラブルになってしまうことさえあります。

当時の社員名簿「人間地図帳アトラス」にも性格の欄があり、SPIの結果の一部が載っていました。お互いのパーソナリティを可視化して見せ合うことで、異動や転職、入社などで新しい人がやってくる際にも、「今度来る人はこういうタイプの性格らしい」と心構えができて、スムーズに職場に受け入れることができたのではないかと思っています。

意識的に定義しないと「言葉」と「意味」が食い違う

このように人に関する共通言語があると、一緒に働く仲間がどんな人であるかということが大変分かりやすくなります。相互理解を深めて職場におけるトラブルを避けるためにも、人を表現する「共通の言葉」があることはとても大事なことなのです。

意識的に社内の人を表現する言葉を定義していかないと、自然にはうまくいきません。同じ状態や性格でも、職場によって評価が異なることはよくあることです。例えば「知的好奇心が旺盛」という言葉は、一般的には良い言葉として使われますが、伝統工芸や日本料理などの世界では「飽き性」とされて高い評価を得られないこともあります。

同じ言葉で、違う意味を指す混乱もあります。例えば「主体的」という言葉は、字義通りには「自分から」「自発的に」という意味ですが、トップダウンのオーナー企業で、会社の方針をよく聞く人が貴ばれる職場においては、むしろ「従順」「適応的」「素直」という意味で使われることも多々あります。

このように、自然にしていてはなかなかできない「共通言語」ですが、どのようにして作ればよいのでしょうか。一番簡単な方法は冒頭のリクルートの例でも挙げたように、「自社に合った人を表現する言葉のセット」が入っている適性検査を見つけることです。

「仕事の種類」に合わせて要素を掘り下げたものを選ぼう

具体的には、経営者や人事担当者が世にあまたある適性検査をたくさん受けて、様々に表現される人のパーソナリティを表す言葉をチェックし、その中で一番良いものを選び、浸透させることが有効です。

例えば「コミュニケーションが重要な対人関係の仕事」であれば、「共感性」や「感情安定性」などを細かく表現しわけているものを使えばよいですし、「ストレス耐性が重要な厳しい仕事」であれば「持久性」や「自己信頼性」などを深く掘っているテストを使えばよいわけです。

適性検査は、採用や育成、病理の判定、チーム編成等々、様々な目的があり、それによってどこの言葉を細かく分けているかが違いますので、実際にいろいろ受検してみることをお勧めします。

あわせて読みたい:組織の問題は「誤解」という魔物が引き起こす

 

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