小手先の就活ノウハウよりも、ずっと強力に採用担当者の心をつかむ方法がある
先日、イベントで知り合った就活生から内定の報告をもらいました。中堅大学に通う男子学生で、彼は食品メーカーの企画営業職を志望していました。
意欲ある学生さんなので、あわよくばうちの会社にと思っていたのですが、今回は残念ながらご縁がなかったようです。相談を受けながらずっと彼に話していたのは、「就活の勉強なんかせずに、ビジネスの勉強をした方が意味あるよ」ということでした。(文:河合浩司)
面接に「新商品の企画書」を持って行った学生
就活というと「伝わる自己PR」や「面接の必勝法」「適職が見つかる自己分析」などに偏りがちですが、これらは大して役に立ちません。そんなことよりも、仕事に興味関心を持ち、調べてくる学生さんと会いたいと常々思っています。
この学生さんも当初は「どんな自己PR文だと評価が高いですか?」などと質問してきていました。私は「そんな小手先のノウハウより、仕事自体について考えた方がいい」と言って企画営業職の仕事内容を説明すると、すぐに強い関心を示していきました。
それから彼は、転職サイトなども活用して仕事内容を調べ、ただ営業で訪問してまわるだけでなく、商品企画を考えながら営業もするという仕事の存在を知りました。これこそ、まさに彼がやりたかった仕事だそうです。
そこで彼に「どんな商品企画がしたいの?」と尋ねると、初めは「まだ分かりませんよ。入社してから考えます」と言っていたので、「入社を待つ必要なんかないさ。先に『例えば』を考えてしまえば、向こうから誘ってくれるようになるよ」という話をしました。
今は情報が溢れています。志望している会社がどんなビジネスモデルなのか、そこにはどんな事業環境の変化があり、どんなチャンスと課題があるのか。新聞や雑誌の記事、関連書籍やネットの情報など、使えるものはたくさんあります。
これらを総動員して、彼はその会社で売り出すべき新商品の企画書を作り、面接に持っていきました。すると一次面接の終了後に、次の選考を飛ばして最終面接に進めることになったそうです。
「志望企業のビジネスモデル」を調べ、課題を考える
これは当然の流れだと思います。企業は日々の経営に力を貸してくれる人を探し求めています。そこに「例えば、こんな方法はいかがですか?」という学生さんが来たら、ぜひ一緒にやってくださいと言いたくなるでしょう。たとえ多少アイデアが未熟でも可能性を感じるので、期待したくなります。
これは、転職の時にも通用します。先日、大手通販会社に転職した社会人5年目の男性から話を聞きました。もともと彼が就活生の時に出会い、当社とは縁がなかったのですが、社会人になってからも年に数回会っていました。
彼が転職を希望し始めた時に、相談を受けていたのですが、話した内容は冒頭の就活生に伝えたことと同じです。
「志望企業のビジネスモデルを調べて、課題を見つけ、解決策の例を考える」
簡単に言えば、ただこれだけなのです。採用担当者としても、「例えばこんな解決策は効果ありませんか?」とアイデアを持ってきてもらえたら、「ぜひうちで一緒にやってください」と言いたくなるものですよ。
私が大学の就職課にいたら、必ずこのような指導をします。目の前の就職だけでなく、卒業後にも役に立つことを伝えてあげられたら、意義があると思いませんか?
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