「志望動機」は適当に書いておけ! 採用担当者だって「明確な理由」が最初からあるとは思っていない
「自己PR」や「学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)」と同じくらい就活生を悩ませるのが、「志望動機」です。様々な就活指導の場面で「志望動機で内定が決まる!」と言われるので、なおのこと追い詰められていることでしょう。
就活本によっては「明確な志望動機さえあれば、内定が出る!」とまで言い切るほど。しかし就活初期に出会う学生で、そこまで明確な志望動機を持っている人は極めて稀です。レアケースを一般的な指導に当てはめることには無理があるのです。(文:河合浩司)
個人差が出ないなら「合否の判断材料」にはできない
就活を通じて就業観を醸成していく学生が多い実態を考えると、初期の段階で「志望動機」をどう書くべきか分からない人が多いはずです。私も学生からツイッターで、
「明確な志望動機を書けなかったので、ESの提出ができませんでした」
と相談された経験がありますし、「動機はカネ」と開き直る人がいるほどです。しかし採用担当者は、最初から就活生に「明確な志望動機」を求めていません。
現行の新卒一括採用では、大半の学生が就活時期にならないと企業のことを調べ始めません。採用側としても、学生さんが企業のことをつい数週間前まで(場合によっては昨日今日まで?)全く知らなかったこともよく分かっています。
BtoC(消費者向け)企業なら商品を知っているというきっかけはあるでしょうが、BtoB(法人向け)企業の場合は、たまたまナビサイトか合説で知ったか、採用を見越したTVCMで見かけた程度の認知から始まっているのが当り前くらいに思っています。
認知度の低い企業では、志望動機の内容は誰が書いても同じような内容になるものです。それもそのはず、会社説明会や採用サイトの中から共感できる箇所を見つけて書く人が多く、その材料がごく限られているからです。
そのポイントが「理念」であったり「社長の言葉」であったり、「業務内容」であったりするだけに過ぎません。別のソースで調べる人は差をつけることができますが、同じソースでは個人差が出ないのですから、志望動機を合否の材料にしたくてもできないのです。
内容ではなく、むしろ「文章の巧拙」が問題になる?
このような状況を鑑み、志望動機欄を用意していない企業も最近では出てきています。ちなみに弊社も志望動機を書かせていません。大学から学生を紹介してもらうときは、「履歴書の志望動機欄は空白にしておいてください」と、こちらから伝えるくらいです。
とはいえ、まだまだ志望動機を書かせる企業が存在するのも確か。「だったら何を書けばいいんだ!?」という就活生の怨嗟が聞こえてきそうです。しかし400字以内であれば、よくある志望動機文例のようなものを書いておけば十分です。
さらっと内容を読みながら「うちの会社のイメージは、こんな感じなのか」と確認しているに過ぎません。ここの内容で合否の差がつくことはなく、むしろ文章の巧拙が問題になってくるかもしれません。
文章が800字を超えてくると、イメージを書いているだけでは埋めきれなくなってきます。その場合は、入社後どんな仕事をしたいのかを具体的に書いていく必要が出てきます。設問は「志望動機」ですが、「入社後どんな仕事をしたいのか?」という設問に読み替えて、書く内容を考える方法もあるでしょう。
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