「私には○○力があります!なぜなら…」論法に採用担当は呆れている 面接は「売り込み」の場ではない
「売り込み」を受ける企業の採用担当者は普通の人間ですから、そのようなアプローチに喜びを感じる人はいません。にもかかわらず、面接指導を受けた素直な就活生たちは、教わった通りに自分を売り込みます。
「誰にも負けない行動力が、私のアピールポイントです!」
「私には、友人たちの相談に乗り続けることで身に付けた傾聴力があります!」
「私は『スポンジ』のような人間です! 好奇心旺盛で、貪欲に知識を吸収していきます!」
自分のことをさもすごい能力や人柄を有するかのように、就活生たちは必死に話してくれます。しかし、これでは冒頭の嫌われる営業マンと同じです。「私はすごい人間なんだ!そう思え!」と迫ってくるかのようです。
多い日には1日で40人から50人の就活生の面接をしますが、その半分くらいはこのような売り込みをしてくれます。想像してみてください。20人の初対面の人から、強引な売り込みを受け続ける一日を。
本来、面接においてはこれらの大げさなキャッチコピーや「○○力」といったよく分からない表現は必要ありません。むしろこれらの言葉を自分からは使わないで、「この学生には行動力があるな」と思わせてくれるのが最高の伝え方でしょう。
「具体例」「事実」「ファクト」に語らせるのが基本
最も基本的かつ有効なのは「具体例」であり、「事実」「ファクト」です。あるとき、ワンオペで有名になった牛丼屋で3年間アルバイトを続けていた学生を面接したことがあります。彼はただ、実際に経験したことを笑いながら話してくれただけでした。
「なんとか3年間続けましたが、いやぁ、さすがに大変でした。社員がいない状態でアルバイトだけで店を回す時もよくありましたし、勤務時間も、長い時は〇時間を超えていました」
そんな話を聞きながら、私たちは勝手に「この学生は忍耐力があるだけでなく、そんな自分をおごることもない」と感心していました。もし彼が例の論法を使って、
「私には、人並み外れた忍耐力があります!なぜなら、牛丼屋のアルバイトを3年間続けてきたからです!」
と押し売りを始めたら、「いやいや、仕事はどこでも大変だから。それで忍耐と言われても」と感じたかもしれません。
就活生のみなさんが有する様々な力は、具体例が代わりに伝えてくれますから、変に力んで売り込もうとする必要は全くありません。自分らしいエピソードの具体例を話せば、良さは自然と伝わるものですよ。
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