女性の次に、副店長がエレベーターで登ってきたときのことだ。店内に入ってきた副店長から不思議なことを聞かれた。

「副店長から、『エレベーターに誰か乗ってなかった？』と聞かれました。私はひとりで乗ってきたのでそう答えました。副店長が1階でエレベーターに乗った時、上から降りてきたエレベーターに女の人が乗っていたそうなのですが、その人は1階で降りることなく乗り続けて、副店長と一緒に7階まで来たそうです」

副店長によるとその女性はピンク色のワンピースを着ており、「目が飛び出そうなくらいぎょろっとしていた」という。そして7階に着くまで、副店長を凝視していたそうだ。

「私は副店長がエレベーターを降りる瞬間を見ていなかったので、その女の人の姿は見ていません。ただ、副店長と一緒に7階まで登ってきて、今お店にいないのであれば、その女性はエレベーターに乗ったまま、また1階に降りていったことになります」

7階で降りていれば店内にいるはずの女性。しかし姿は見えない。ということは、下りのエレベーターに再び乗っていることになる。なんとも奇妙な女性の行動に、気味悪さが漂った。

昔はラブホテルだったビル「亡くなった方が気まぐれに現れたのかな」

副店長とその女性について話しているうちに、1階に着いたエレベーターが再び7階に上がってきた。もしかしたら、またその女性が乗っているかもしれない。

「副店長と2人で身構えていたのですが、扉が開いて乗っていたのは、納品の業者さんひとりだけでした。後から他の店員に、『そのビルは昔ラブホテルで、亡くなった人がいる』というような話を聞きました。その亡くなった方が気まぐれに現れたのかな、と思っています」

ピンク色のワンピースの女性が実在する人間なのか、どこか他の階で降りて行ってしまったのかはわからない。しかし２人ともが違和感を抱いたということは、この世の者ではなかった可能性もある。果たして……