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視聴率では苦戦だけど…今年の大河『光る君へ』は『どうする家康』より数倍は面白いぞ!

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2024年の大河ドラマ『光る君へ』も8月4日放送回で30話となった。今週はオリンピックの影響もなく通常放送となったが、視聴率の面では苦戦しているようだ。

現時点ではこれまで放映された大河ドラマの中では視聴率も歴代ワースト2位とも言われているが、放送開始時から視聴しているファンとしては、大切なのは数字よりも展開。まだまだ放送は続くし、ドラマとしては派手さこそ欠くものの、毎回登場人物の心の機微は繊細に描写していると感じている。

その上で脚本も丁寧で、一貫して主人公、まひろ(演:吉高由里子)の出番も多いことから、恐らく既に視聴率は下げ止まりで、後はクライマックスに向けて上がるのみでは? と思わせる力がある。

そもそも今作の視聴率が低い一番の理由としては、平安時代という舞台設定に遠因があるはず。長いこと大河ドラマを視聴している立場として言わせてもらうと、やっぱりこの時代って大きな政変も戦も少ないというイメージがある。

だから、従来の血で血を洗うような展開の目白押しな大河に飢えている人ほど「なんか退屈そう」と敬遠しているきらいが見受けられる。

狭い観測範囲だが、僕の周囲にいる大河ファンも、「今年はそんなに面白くなさそう」と言って、全然チャンネルを合わせてないケースもまだまだ多い……。観てる人なら分かるんだけど、めっちゃくちゃ面白いんだけどねぇ。去年の『どうする家康』の数倍は。(文:松本ミゾレ)

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安倍晴明が相変わらず凄い陰陽師として君臨し続けているのがいい

第30話では冒頭から、干ばつによって民草が苦しむ描写が目白押しであった。まひろの住まう屋敷でも、井戸がとうとう枯れてしまうというシーンも挿入される。このシーンは今年の、雨量が乏しく連日猛暑に喘いでいる私たちの日常にもリンクするアバンタイトルとなった。

ホント、今年はマジで暑いもんね……この記事は30話放送直後に執筆してるけど、エアコンをフル稼働しているのにまだ室温は高い。猫を膝に乗せながら、額に汗して必死に書いている……!

そういう状況なので、アバンから「わかるわ~」と妙に納得してしまった。こういう実感を伴う脚本も、上手いよね。

そしてそんな大干ばつを収めるべく、既に陰陽寮から離れていた安倍晴明(演:ユースケ・サンタマリア)に祈祷を依頼したのが、もう1人の主人公である藤原道長(演:柄本祐)である。

既に左大臣にまで成り上がっていた道長に対して、向こう10年分もの寿命を差し出すのであればと祈祷を引き受ける晴明。

儀礼用の刀を抜き、祝詞のような言葉を発するとたちまちに黒雲が立ち込め……劇中では力を尽くした晴明が倒れてしまう。ただ単純に祈祷が成功しただけで終わるのでなく、代償をちゃんと映像で見せてくれるのは嬉しいよね。

安倍晴明は実際に1004年に祈祷していた

ちょっとここで僕が個人的に気になった点がある。それはこの干ばつがいつ発生したのか、というものだ。

まひろの夫となった藤原宣孝(演:佐々木蔵之介)が死去したのは1001年のこと。今週の放送では宣孝死去から3年ほど経過したってナレーションがあったと思うのだが、そうすると冒頭の干ばつは1003、4年付近ということになる。

史実では、晴明は1004年に干ばつを解消するために雨乞いを行っているので、実際に今回の放送で再現されたような儀式を行ったのだろう。ドラマのように道長に直接依頼をされたかはわからないが、干ばつ発生から1年以内に晴明が動いたのは間違いないって話なのだ。しかも、大雨を降らせたことで朝廷から褒美をもらったという。

荒唐無稽に思える描写も、実は日本の歴史の中でしっかり記録されているものだというのだから、つくづく驚くところだ。そう考えると、あんまり言うのも野暮だけど、日本って凄い国だ。

もっとも、道長から10年もの寿命を継承したとされる晴明も、1005年には死去したこととなっている。これは晴明が祈祷で力を使い果たしたのか。それとも10年の命を貰うというのはブラフで、本当は死ぬ前に何の見返りもなく最後の祈祷に挑んだのか。視聴者に判断をゆだねる形になるんだろう。特に本作の晴明は対価なしには腰を上げなかった人物なだけに、評価も揺らぎそうだ……。

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