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『光る君へ』俳優陣の演技がいい! 芸人の起用もアクセントに

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今年の大河ドラマ『光る君へ』がとても面白い。日本だけでなく、世界最古の長編小説と言われる『源氏物語』を上梓したまひろこと、紫式部(演:吉高由里子)を主役とした、平安時代のお話だ。

なかなか大河の舞台としてはそう多く用いられることがなかっただけに、正直僕もこの時代のことはそう詳しくない。せいぜい清涼殿に落雷が落ちてしまったことがあるとか、その程度の話を断片的に知る程度だ。

紫式部のことも、正直つい最近まで一切興味もなかった。そういう人って多いんじゃないかな。ところが蓋を開けたら本作は、1月7日の放送開始以来多くの視聴者の目をくぎ付けにしている。

丁寧な脚本と、綺麗な衣装とセット。今の時代の人にとっては良く分からない風習についても、説明過多にならない程度の解説がそれとなくナレーションで入ってくる。このナレーションを聞き逃すと人物の相関関係の説明も聞き逃すこととなるので、図らずも視聴にも身が入る形となっているのも面白い。意外と、さらりと大切なことを言うのだ。

登場人物の多くは、史料で性格面が事細かに記録されているものでもないので、当然脚色も多々ある。が、この脚色がドラマの魅力と面白さをいい具合に増幅させていて、なおかつ架空の出来事が描かれても気にならないのだ。

たとえば第1話終盤で、まひろの母であるちやは(演:国仲涼子)が藤原道兼(演:玉置玲央)に刺殺されてしまうシーンも衝撃だったし、道兼が実際にあそこまで野蛮な振る舞いをした記録みたいなものはないんだけど、不思議と嘘くさくない。

むしろこの道兼の蛮行が、彼の弟である三郎(演:柄本祐)の素朴でまっすぐな性質との対比になっていて、一緒の画面に映っているだけで緊張感をおぼえるのである。まだ放送開始から時間も経っていないが、とにかく現段階で言えることは“キャストがいい”である。

キャストが(子役含めて)しっかりお芝居をできて、ちゃんと違和感がない演技をしてくれているから、「はぁ?」と素に戻ってしまうような事態が、今のところ訪れない。残念なことに昨年の大河は、この「はぁ?」が何度もあった。理由の一つには脚本もあったんだけども。

ところが『光る君へ』はそもそも昨年の舞台となった戦国時代と比較しても知名度が低い時代背景なので、必然と脚色が多いシーンがあっても「え?」と思わないのだ。さらには芝居が上手い役者さんも本当に多いので「は?」と素に返ることもないのである。

はんにゃ金田の演技、凄くなかった?

中でも僕が驚いたのが、藤原斉信役の、お笑いコンビはんにゃ金田哲の演技である。この藤原斉信は公卿であり歌人としても名を残した人物で、清少納言との交友のあった人物とされる。本作でも清少納言はファーストサマーウイカが演じることが決まっているので後々絡みもあると予想するが、この金田の目線を含めての、自然で雅な演技の上手さに釘付けになった。

そもそも彼が公家顔ということもあるが、そこに加えてセリフ回しも涼やかで場を乱さない。考えてみれば芸人としてコントをやっているときも、この人憑依型だったなぁ。そりゃ演技も上手なはずだ。

でも、普通ならこういった役には、芸人はなかなか選ばないよなぁ。キャスティングの時点で凄い先見性のある人が動いてたんだろうなぁ。

大河ドラマにはたびたび、お笑い芸人が登場することがあるが、本作も金田哲に加えて、まひろの従者・乙丸役の矢部太郎。政治の中枢で実務に励む藤原実資役にロバート・秋山竜次も登場している。

秋山に関しては色黒過ぎるのが笑いを誘うんだけど、そもそもコントで鍛えた演技力は折り紙付き。女房衆に陰口を叩かれるシーンで見せた目線を用いる動揺の芝居も傑作だった。
お笑い芸人だからできる、少しだけコミカルなシーンを世界観の破綻を招かずに演じているのは流石である。

でもやっぱり金田かな! 普段のキャラクターとまるで違う印象の演技ができるということを、不勉強な僕は知らなかったので正直大きな衝撃だった。

魅力的な登場人物の中で誰を推すか!

他にも本作には、素晴らしい演技を見せる役者さんが大勢登場する。まだ1クール目なので、この先もどんどんキャストが追加されていく。大河の宿命として、途中で退場する人物もまたいるんだけども、大河ドラマを楽しむ上では、自分のお気に入りの登場人物を追いかけておくのもモチベーションになる。今風に言うと、推しを見つけておく、とでも例えるべきか。

僕で言えば古くは『独眼竜政宗』ではいかりや長介演じる鬼庭左月が。最近に関しては『鎌倉殿の13人』から善児役の梶原善が好きだった。自分のお気に入りのキャストに目星をつけておくと、より感情移入して物語に没頭することができる。

今作に関しても、主人公のまひろを既に応援している人というのはきっと大勢いるはず。後は三郎もまたもう1人の主人公だし、今はまだ明らかに頼りないので見守っている視聴者も多いことだろう。

他にも大勢、魅力のあるキャラがいるので、NHKの公式サイトの人物相関図を見ながら、放送を目にして「あ、この人気になってた」という人物にアタリを付けるのも楽しいかもしれないぞ!

ちなみに『光る君へ』で現状僕が注目しているのが、橋爪淳演じる藤原頼忠。声がか細くて枯れたおじいさんみたいな関白である。この人は第1話から登場していたんだけど、イイ感じに影が薄くてあんまり目立たないが、気付くと色んなシーンにいて、どの角度から見てもいい表情なので気に入っている。

それから本郷奏多がめちゃくちゃやりたい放題のキャラとして演じている花山天皇もいいね。公家顔とか皇族顔の役者さんだし『麒麟がくる』でも近衛前久役をやっていたけど、今回の役は史実にも残る、性に奔放な描写がしっかり反映されている。単純に顔もいいし、役柄とも合っているように感じる。

あとはやっぱり、先にも書いた玉置玲央の藤原道兼かなぁ。やっぱり顔の芝居というか、“形相”の芝居が鬼気迫る感じがあって、ヒール役としても映え過ぎている。男前だ。

性格も幼稚かつ悪質そのものだし、そんなのが三郎の兄貴ってのも怖いし、コンプレックスも相当抱えているし、気になって道兼の生い立ちとか調べたらめちゃくちゃ面白いし。
ドラマでも絶対今後大暴れするに違いないから、推すなら今のうちから推しておくべきかもしれないぞ!

そんでまたこの人はまひろのお母さんを殺してるっていう本作オリジナル設定も付与されていて、色んな意味で美味しい存在。28日放送回ではついにまひろが三郎と道兼が兄弟だと知ってしまったところで次回予告。このヒキのベタさ加減もシンプルに興味を引くので嬉しい。

『光る君へ』は本当に、登場人物らそれぞれに立場と思惑があって、それらが徐々に絡み合って繋がりがあちこちに見えてくるようになってきた。

今後もますます面白くなる予感しかしないので、「ちょっと平安時代はなぁ。合戦とかもないし退屈だ」って人も、悪いこと言わないから来週からでも観よう!

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