「ブスは幽霊になれないの?」細身の美形ばかりなJホラーのルッキズム 一方で妖怪の世界では醜女が活躍しているぞ!

画像はイメージ
突然だが、ちょっとオーソドックスな幽霊の姿を、頭の中に描いていただきたい。その幽霊、白装束で髪が長いってイメージを創出する人は結構いるんじゃないだろうか。
なんなら顔立ちもどっちかと言えば生前は美人という印象を無意識に付与してたりは、していないだろうか。
邦画のホラー作品についても、『リング』に『呪怨』、『死国』はその代表格だが、どちらの作品も登場する幽霊は、メイクを差し引くとちょっと綺麗な女性だったりするんだよね。やっぱり、ある程度幽玄さを発揮させようとすると、そこにはある種のルッキズムが働くのが当然というか。
変な顔のおばさんが幽霊だと締まらないので、最低限、しっかりと生前は綺麗だったであろう女性が土台になっているという傾向。あるんじゃないかなぁ。Jホラー作品の幽霊は、基本的に女幽霊はどっかしら美人が演じており、男幽霊は痩せた男性が、というパターンが多い。
なんかここ数年でこういうことも書きにくくなったが、ブスやデブでは幽霊が締まらないのだ。(文:松本ミゾレ)
「デブスやハゲ中年ジジイの幽霊は出てこない」
先日、ガールズちゃんねるに「ブスは幽霊になれないのか?」なるトピックが立っていた。トピ主は「幽霊といえば、美人です。ブスは幽霊になってはいけないのでしょうか?」と、恐らく創作世界の幽霊の容姿を念頭に入れた質問を投げかけている。
ただ、創作の世界であっても、幽霊が必ずしも美人であるわけではない。たとえば『サユリ』では、物語の根幹に関わる幽霊はめちゃくちゃ太った女性だった。なのでちゃんと例外はあるんだけど、そうは言っても前述のとおりJホラーの幽霊と言えば、どこか儚げな美人の幽霊というのが多い。山村貞子だって、あれは美人だし。なにせドラマ版では木村多江が演じてたしなぁ。
そこにルッキズムがどこまで作用しているのかについては判然としないが、やっぱり美人の幽霊の方が結局様になるのは事実だよね。田舎者のような、もっさりとした芋い女性の幽霊が出てきても、正直そんなに怖く見えないし。
トピックでも「確かに、イメージする幽霊にブスとデブはいない」という書き込みもある。逆に「じゃあ、お岩さんはどうなんだ」という声もあるが、あれも下地は美人で、その顔立ちが崩れてるところに怖さがあるわけで、純然としたブスではない。なので美人が特殊メイクで怖い顔になった、みたいな範疇の話でしかない。
ブスは幽霊にはなれないが、妖怪としては輝ける!
ブスの幽霊の話がそこまで認知・浸透されていないのは、やっぱりブスでは話がそこまで怖くなくなるというか、「その幽霊の顔がブスで~」みたいなくだりがあると、話が冷めるからだろう。
ルックスによって物語のクオリティが変動するのは悲しいことだが、それはもう仕方がない。ブス同士の恋愛ドラマは需要がないように、ブス幽霊の出る怪談には需要がないのだ。
しかし、これが幽霊でなく妖怪の話題になったとなると話は変わる。妖怪の世界は幽霊ほどルッキズムに依存していないので、普通に醜女(しこめ)の出番は多い。たとえば八丈島には、でっちという全身瘡だらけの、ほとんど裸でうろつく老婆の妖怪の伝承がある。この妖怪は見た目がブサイクだからこそ印象的な存在であるため、今の今までその情報が口伝され続けている。
また否哉(いやみ)という妖怪も、遠くから見ると美しい女性に思えるが、実際には顔がシワシワで老人のように衰えた容姿をしていたとされる。この醜い容姿があまりにインパクトが大きいので妖怪として現代にまで伝わっているわけで、こと妖怪の話題となると、ブス・ブサイクの出番は枚挙に暇がない。
他にも山の神様は大抵女性であるとされるが、どれもこれもがやはり醜い容姿をしていると伝わる。あまりにブスなので、オコゼを海から釣って来て奉納することで「この魚よりはあなたは美しい」みたいな慰めをする文化も昔はあったんだとか。
ほかにも思いつく限りでも、姥が火、お歯黒べったり、おさかべ、濡れ女……大体が文字通り化け物丸出しの姿をしているわけだし。逆に容姿が美人として伝わる妖怪となると雪女、川姫とか、石妖ぐらいではないだろうか。
凄く単純な結論だが、幽霊は美人で描写する一方で妖怪となると本来のグロテスクさ、気持ち悪さをダイレクトに容姿に反映させているのが、この国の創作の特色と言える。
まあ、そこまで妖怪にブスが多い理由としては、本当にかつてこういう妖怪が存在していて、みんながみんな口伝のとおりブサイクだった可能性はあるが。
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