最もお金を使うオタク「アイドルオタ」の実態 年間60万円の支出でも「できるならもっと使いたい」
アイドルオタクとはどういう人達なのか。矢野経済研究所の松島勝人主席研究員によると、平均年齢は30.6歳で、男女比率はおよそ1:2。属性としては「未婚かつ今まで恋人がいたことのない人」が39.6%と最も多く、次いで「未婚かつ今は恋人がいない」(25.5%)、既婚者(22%)、「未婚かつ恋人がいる」(12.9%)と続く。
年間消費額が高額になるのは、コンサートなどで外に出かけて楽しむコンテンツが多いからだろう。消費の内容まで聞いていないため、はっきりしたことはわからないが、松島研究員も「人によっては交通費を含めて回答している可能性がある」と分析していた。
調査では「自分をオタクだと思っている、または人からオタクと言われたことがある人」をオタクと定義している。アイドルオタクの数が増えたのは、ライトなユーザーが増えたためと考えられる。
「客観的には『オタク』と呼べるほどのヘビーユーザーでなくても、アイドルファンの裾野が広がった、ライトユーザーが増えたことで、ライトユーザーでも自身をオタクと称する人が増えていると推察されます」
「推しがこの世に存在しているだけで幸福で尊い」
年収の1割をアイドルに費やす人もいる。現在は元ハロプロのソロアイドル、鈴木愛理さんを推している、アイドルオタク歴15年のシズカさん(29歳・東京在住)は、年に60万をアイドルに使う。ライブと握手会への参加がメインで、去年の参戦回数はライブが25回、握手会は10回だ。
最もお金がかかるのは、やはり遠征の交通費。去年行った最も遠い場所は大阪だ。費用としては、「大阪宿泊からの名古屋が一番諸々かかった」という。副業で収入を増やし捻出しているものの、
「行く時間が捻出しきれずこのくらいになっているので、できるならもっと行きたいしお金は使いたい」
と、現状の支出額には満足していない。数年前、秋葉原の地下アイドルにハマっていた時は年収400万円ながら、活動費として年100万円を工面していたという。シズカさんに言わせれば年10万円の支出が「割とライト」という感想になるのも納得できる。
決して安くない金額を使ってでもライブや握手会に行くのは「好きだから会って感想とかを伝えたい、笑ってほしい」という思いからだという。
「推しがこの世に存在しているだけで幸福で尊いですが、歌って踊るのを生で見られるだけで幸せです」
アイドルオタクが増えた理由については、
「人を応援することが好きな人は増えているかなと思います。以前は割と愛を押し付ける系のオタクが多かった気がしますが、推しがかわいいのが幸せ、な人が増えたかな」
と見ていた。