パチンコ業界は”変革期”をどう乗り越える? 高射幸性の人気2機種が一斉撤去、来春からは全面禁煙へ
先頃、全国津々浦々のパチンコホールにおける看板機種のパチスロ機が一斉に撤去となった。それが『バジリスク~甲賀忍法帖~絆』と『アナザーゴッドハーデス‐奪われたZEUSver.』である。
パチスロをしない人にとっては「なんだその変な名前」って感じだろうが、要はこの2機種、射幸性が著しく高いとされていた人気機種なのだ。ツボにはまれば、一撃で10万円ぐらいは出ちゃう台で、それだけに多くのユーザーがこれらの2機種に大金をつぎ込んでいた。
そんな台だったが、12月に入ってから、一部地域を除き全国的に一斉撤去となった。と同時に、全国のホールには閑古鳥が鳴いているという。
なぜ撤去したか、については別に大した話ではない。ホールに設置できる台には有効期限があり、この期限が最長6年間なのだ。つまり、前述の2機種はその期限を迎えたのでお役御免ということになっただけだ。
しかし、射幸性の高い機種であったので、それらが失われるということはホールにとっても痛いところ。実質的には2枚看板を外すわけだから、理解するのも難くない。
では、代わりに何が導入されるのかというと、これが通称6号機と呼ばれるマシン群。一言で言うと、お金を飲むスピードは従来のマシンよりも遅く、投資がかさみにくい。そして、どんなに大当たりが連発していても、最大2400枚ほど(お金に換算すると48000円)で当たりが終わってしまう。
そういった射幸性の低い台が導入されることになったわけで、これにはホール関係者もいろいろと苦慮していそうだ。当然、ユーザーの中には「もういいや」とパチンコ屋から遠ざかる人も出るだろう。しかし、遊技の健全化という意味では、喜ばしいところか。
加えて、20年4月からは、全国のパチンコ店で禁煙が義務付けられることになっている。「パチンコ、パチスロにタバコのセットは基本だった」というチェーンスモーカーもこれでタバコは遊技中には吸えなくなり、都度冷静になる瞬間に恵まれることになる。
交換率も下げて”庶民の娯楽”に回帰すべきでは
さて、先日SNS上をちょっとざわつかせたニュースがある。厚生労働省がカジノや競馬、パチンコなどのギャンブル依存症治療のために、来年度から公的医療保険の適用対象とする方針を示したのだ。
ギャンブル依存症は、WHOでも生活に弊害をもたらす障害であると定義しているが、これにはちょっと思うところがある人もいるはずだ。ネット上でも
「そもそも依存症になったのは当人の節制心のなさにある」
という声は多く見受けられた。そういう人たちに対して「なぜ保険適用させてまで治療するのだ」という声が出るのも理解できないこともない。
それより僕が好意的に感じるのは、前述の射幸性の低い機種の導入と、禁煙化の徹底だ。これによって、これまでのヘビーユーザーたちは減り、本当に仕事帰りにチョロっと打つだけのお父さんたちが戻って来やすい環境になる(戻ってくるとは言ってない)。
そもそも、パチンコは遊技産業なのだ。そして、元々遊技産業は庶民の娯楽。今のように、知識のない素人がやめた後の台をハイエナのように嗅ぎ回るスロニートや、輩が軍団を結成して釘の開いたパチンコを占領するような風潮は一蹴されるべきである。
そして、究極的には交換率だってもっと下げてしまえばいいと思っている。「パチンコは稼げないが、遊びとしては楽しい」と思ってもらえてこそではないか。そこまでして初めて、パチンコ屋は本当の意味での原点回帰を果たすんじゃなかろうか。