マツコさんは、働き方改革によって残業規制が厳しくなり、特にテレビ業界は努力して対応していることに触れつつ、取り締まる立場である省庁自体の働き方がおかしいという苦言を呈した。
「まさしくそれが今影響出てきちゃってると思う。霞が関なんて、けっこう近く通るけどさ、まあ、ずっと電気ついてるよ」
と、官庁の残業が常態化している現状を指摘した。霞が関の国家公務員、とくに厚生労働省の残業時間の多さは以前から問題になっている。マツコさんは「だから多分、状況は何も変わってないと思うのよ。これだけ今民間が頑張っているのに」と状況を憂えた。
出演中の同局を初め、テレビ局はスタッフを倍くらいに増やして頑張っていると語り、
「そういう流れになったんだからしょうがないじゃない。文句言ってられないしさ。民間は今、そうやってやってるわけよ、お金ないのに。なんでやんないんだろうね。公務員だけ」
と疑問を投げかけた。
「若い人たちは本当に大変な仕事をしてる。もうちょっとケアしてあげないと」
さらに、マツコさんが問題視するのは転職もさることながら「希望者が減っている」という点だ。
「昔はさ、第一種のエリートと呼ばれる人なんてさ、ほとんど東大法学部みたいな人が固めてたわけよ。でもいまそれだけだと来ないんだって。だから、大変なお仕事なわけよ」
と語り、天下りの問題などがあるため、とかく霞が関の人は悪く言われがちだが
「若い人たちは本っ当に大変な仕事をしてるわけなのよ、みんな。だからもうちょっとケアしてあげないと。最初の希望する人が増えるように労働環境を改善しないと」
と、最前線で働く若手公務員たちの苦労に理解を示し、労働環境改善を訴えた。
最後には、「普通の会社が人が集まらなくて潰れても、他の会社があるからいいけどさ、霞が関が機能しなくなったら……。だから早急にやって欲しい」と語った。まったくその通りだ。
「『働き方改革』の旗振り役の省庁において過重労働が蔓延している」
安定した職業として人気のはずの公務員だが、労働問題を扱う明石順平弁護士は、著書『人間使い捨て国家』(角川新書)の中で、公務員を「公営ブラック企業」と呼んでいる。霞ヶ関で働く国家公務員の月平均残業時間は36.9時間で、過労死ラインを超える80時間超の残業しているのは9.8%。「この割合を全体の数字に引き直すと3332人が過労死ラインで働いている計算になる」として、
「『働き方改革』の旗振り役の省庁において過重労働が蔓延しているという恐ろしい事態になっている」
と批判。厚生労働省の非効率的な国会対応業務など、悲惨な実態を明かし改善を訴えている。
行政機関で働く人たちから優秀な人材が流出、または集まらないとなれば、マツコさんの危惧するように国家の危機だろう。早急に本当の意味での働き方改革が求められている。