「FF VIIリメイク」切り売り商法には疑問だけど実際にプレイしてみると… しっかりと “神羅感”のあるゲームになっていた
数日前に『FINAL FANTASY VII REMAKE』(FF7R)の分作のリリースと、続編がいつ発売され、いつ完結するかに焦点を絞ったコラムを公開した。すると、実に大勢の方々から「遊んでもないのに文句言うな」という反論をいただいた。
オリジナル直撃世代が1本で完結しないことに対して「いつ完結すんだよ、俺もう35だぞ」と危惧することに、遊んだか否かは関係ないはずだが、どうにも理解されなかったようだ。
と、いうことで。実際遊ぶつもりではいたので、ここ数日は他のゲームをちょっと休止してFF7Rばかりやってみた。(文:松本ミゾレ)
ちょっと気を抜くと戦闘不能になるボス戦
本作において、個人的に一番面白いと感じたところはボス戦だ。そりゃあ、ファイナルファンタジーでは歴代名作のボス戦はそれぞれ気合いが入るもんなんだけど、今回の戦闘は難易度が一般向けになったフロム・ソフトウェアのボス戦っぽくなっていると感じた。
『ダークソウル』ほど死にまくる難しさではないんだけど、ボスの弱点を突いたり、強力な技にはちゃんとガードか、回避しないと効率が著しく悪くなる。例えば、エアバスター戦ではオリジナルのカンタムロボみたいだったポリゴンが、グレートジオングみたいにリメイクされてたし、なんなら腕も切り離して自律攻撃ができる。
「ジオングに寄せ過ぎでしょ」と思っちゃったけど、腕をさっさと撃破しないと本体を倒すまでの時間もかかるので、無視できない構図になっている。こういうのは、オリジナルのボス戦ではなかったものなので遊んでて楽しいと思えた。
キャラクターを切り替えて遊ぶパズルみたいな戦闘
FF7Rでは、基本的にクラウドを操作してストーリーを進めるんだけど、戦闘中に味方がいる場合は任意で操作キャラを切り替えることができる。
例えば、高所にあるタレットとかはバレットの射撃で削るのが効率が良い。エアリスは、一定の条件を満たすと「れんぞくま」が使えるので、魔法攻撃するときだけでもエアリスに切り替えるのはアリ。
という感じで、別にクラウド1人操作してればそこまで問題ないんだけど、切り替えることで戦いが楽になるという要素がいくつかある。
あと、拘束されてるキャラは一定時間動けないので、すぐに切り替えて別のキャラで助ける、とかも可能。こういう遊び方はパズルとか、テトリスみたいな頭の切り替えも要求されるのでボケ防止になりそうだった。
「ティファがかわいい」だけではない! 神羅幹部も魅力的に
それとこれは僕が一番感じているリメイクの恩恵なんだけど、敵対している組織「神羅カンパニー」の絶対的なミッドガル掌握力。この表現については、はっきり言ってオリジナルよりもかなりパワーアップされている。
神羅兵一つとっても、オリジナルにはなかったバリエーションが追加されている。こういう末端の充実は組織の潤沢さを想像させるので大変そそられる。タークスのルードにいたっては、替えのグラサンを常に携帯している。タークスメンバーのお財布事情も想像させてくれるし、「儲かってるんだろうなぁ」と思わせるイイ演出になっていた。
敵メカのスイーパーもいい感じにディテールアップしているし、立体映像を投影できる雑魚メカやら、マスコミを上手く使ってアバランチのテロの被害を余計に大きくして印象操作をするのも白眉。
しかも、アバランチを敵国ウータイの手先だと喧伝するといった、マッチポンプにプラスアルファするやり口を街頭モニターなどを用いて民衆に見せつけるのだって、オリジナルの時代ではやりたくてもできなかった表現だったことだろう。
神羅の幹部、ハイデッカーやスカーレット、パルマーなども元の印象を崩さずにリメイクされていて気に入った。巷では「ティファがかわいい」「エアリスがかわいい」といった声も多いけど、僕としては断然プレシデント以下、神羅幹部が魅力的に思える。
なるほど、神羅の強力な組織実態を存分に表現するには、ミッドガル編だけに集約するというのは必要な措置だったのかもしれない。分作という売り方には相変わらず納得していないけど、クラウドたち対神羅の前哨戦がしっかり描かれているわけだから、これはしょうがない。こんなにちゃんと神羅神羅してたら、この部分には文句は言えない。
あと、一番うれしいのはプレシデントの声が大御所の若山弦蔵さんだったことだ。これについてはキャスティングした人が天才だと思う。ばっちりハマってるもん。