人はたいてい「自分は差別なんかしていない」と思いがちだが、言われたほうが「差別的」と感じれば、否定するのは難しい。お悩み解決掲示板に2月中旬、
「妻の両親が私の東北弁が嫌だったようで、関東の言葉で(孫を)育てて欲しいと言われました」
という相談が寄せられた。スレ主は、妻が里帰り出産をして1か月経ったという30代の男性。妻の実家は近距離のため頻繁に通っていたものの、義両親からのこの一言で、円満だった家族仲は一変したという。
差別的で許せないと感じたスレ主は、こんな考えの人たちに子どもを預けておけないと、子どもを連れ帰ろうとしたという。結局妻に止められたが、「私が怒ったのは間違いだったとは思いません」と主張し、意見を募っていた。(文:篠原みつき)
応援の声「どんな言葉で育てるのか、義両親には関係ない」
スレ主の追記によれば、妻は両親の発言をおかしいと認めつつ、それほど問題だとは思っていない。「実は私も東北弁は嫌い」とまで言っているという。しかも、妻に話した義両親への批判は向こうに筒抜けで、逆にスレ主が義両親に激怒されているとのこと。相手は「そんなことで怒るなんて」と憤り、話は平行線だ。妻は帰宅予定の日を過ぎても実家から帰ってこないというから、問題は思いのほかこじれている。スレ主は今後の子育てに不安を漏らしていた。
スレッドの回答は、夫に対する賛同や応援、義両親を批判するコメントが多数入っている。
「確かに差別的だと感じますね。方言は個性を感じさせ日本語の豊かさを再認識させるものだと思います。(中略)主さんは怒っていいと思いますよ。理解を得られるといいですね」
「親は主さんと奥様ですので、どんな言葉で育てるのかも、義両親には関係ないと思います」
このほか、親が東北弁訛りでも、子どもは周りの環境に合わせて自然と標準語を話すようになるという指摘も多い。
関東圏で標準語で育てるのは「べつに普通の要望」という声も
一方、義両親の言い分に理解を示す声もある。
「別に普通の要望だと思いますよ。自分は関西出身ですけれど、子どもと話す時は標準語を意識しますよ。(中略)したくなければ聞き流せばすむ事だと思うし、そんな騒ぐことですかね」
以前ダウンタウンの松本人志さんもトーク番組で「娘とは標準語で話す」と明かしていたが、地方出身で関東圏に暮らす人には、よくあることのようだ。また、「子どもは残酷だから」と周囲との違いでいじめられる心配も複数寄せられた。
また、「自分の怒りよりも妻と子を優先にして、嫌な気持ちを飲み込んであげて」と諭す声も少なくない。親が怒っているのが子どもに一番よくないし、産後1か月の母親はまだ心身ともに万全ではないため、余計なストレスを与えないようにという助言だ。
正直、夫婦ともに埼玉育ちの筆者はスレ主の憤りを本当には理解できない。決して東北弁がダメと言っているわけではなく、関東圏で暮らす子どもには標準語で話したら?と提案した義両親の考えが、そんなに悪いのかと思ってしまう部分もある。
「差別なんてしていない」という自負は危険
しかし、スレ主は東北弁が否定された気がして辛かったのだろう。「息子が方言で話す事を想像しただけで、かわいいと感じます」とも書いているので、それを楽しみにしていた気持ちも踏みにじられたのだ。スレ主は最近問題になった森喜朗氏の女性蔑視発言にも触れ、悪気がなければ言ってもいいという問題ではないことも綴っていた。相手の気持ちが本当には理解できないからこそ、「差別なんてしていない」という自負は危険だ。
義両親は、せめて自分たちが傷つけたという反省の色を見せてもらえないものだろうか。母子優先は当然とはいえ、子育ては基本的には両親2人でするものなので、父親の気持ちも大切にしてほしい。【参照:お悩み解決掲示板 https://onayamifree.com/】