男性は「いくつになっても子どもが持てる」と考える節があるが、出産する女性からみれば、違和感のある認識だ。ガールズちゃんねるに4月中旬、「夫が子どもをあきらめない」という悩みが寄せられた。トピ主は、昨年結婚した42歳女性。夫は47歳で、結婚するまでは子どもに興味がない”自由人”だったが、最近になって「子どもを作りたい」と言い始めたという。
昨今、40代前半の女性が出産することは珍しくない。だが、初産ではいろいろと厳しい年齢でもあるのは事実だ。「正直、この年齢でこれから出産・育児をするつもりはありません」というトピ主は、何とかして夫を諦めさせたいと同じ経験のある人に意見を求めていた。(文:篠原みつき)
「そんなに欲しいなら光ってる竹を切りに行けば?」
トピックに寄せられたコメントには「無理だね、諦めた方がいい」など、夫に対して批判的なコメントが相次いだ。
「本当に欲しければ自由に遊んでないで作れたハズ。普通の人が育児頑張る時期に遊んでいた、ただの無いものねだり」
「今から産めたとして、子どもが20歳になる頃にはあなたは70歳だよ!?って聞いてみる」
病院で現実を見せるという声や、高齢での子育ては金銭的に相当余裕がないとダメという意見も相次いだ、子どもの立場で「大学時代から介護が始まった。就活どころじゃなかった」などと警鐘を鳴らす人も。「そんなに欲しいなら光ってる竹を切りに行けば?」とその歳の男性が子どもを欲しがるのは、もはやファンタジーだとみなす厳しい声もあった。
さらに「どうせなにもやらない」といった声からは、40代男性に対する育児参加の信用度が、かなり低いこともうかがえる。トピック内は、出産・育児・教育費に対して、現実を見ていない男性への苛立ちが渦巻いていた。
子持ちの筆者も経験があるが、不妊治療をすれば金銭的、精神的、身体的な負担が大きく、その負担の多くは女性が負うことになる。妊娠したとしても高齢出産は合併症などのリスクが高く、育てるにも気力・体力が必要なのは言うまでもない。子どもを望んでいない42歳の妻にとっては「そんな無茶な」という感想しか出ないだろう。
不妊治療の助成「妻の年齢43歳未満まで」の弊害
もちろん子どもは可愛いし、人生の宝だ。今さら言っても仕方ないが、夫は本当に子どもが欲しいなら、もっと自分が若いうちから考えるべきだっただろう。
政府は1月から不妊治療の助成措置を拡充し、所得制限などを撤廃。だが、「妻の年齢が43歳未満」という年齢制限は変えなかった。つまり、それだけ「不妊治療をしても女性が43歳以上だと妊娠する確率は高くない」ということだ。早めに治療を促す意味もあるだろうが、このように「妻の年齢」だけが規定される状況は「(女性さえ若ければ)男性はいくつになっても子どもが持てる」という、危うい認識を支えている面があるのではないだろうか。
婚活の話題でよく「子どもが欲しいから30代前半までの女性と結婚したい(できれば20代)」という40~50代男性の声を聞くことがある。だが、男性にとっても、初婚年齢が上がるほど出生率が下がるというデータもある。女性側から考えても、一緒に子育てする相手に経済力だけでなく気力・体力を求めるのは自然なことだ。「子どもが欲しいなら出来るだけ若いうちに」は決して女性に限った話ではないだろう。
結局のところ、妻が「子育てしたくない」と言う以上、離婚するか諦めてもらうしかない。だが、コメントには「若い女性と浮気、再婚しようとするだろう」という指摘も多数ある。50歳前になってやっと結婚した人が、出産希望の再婚相手を一から探すなど、それこそ甘い考えというものではないだろうか。