男性が家族と暮らすのは10階の3LDK。これまでも虫は少なかったがゼロというわけではなかった。
「蚊やハエ、クモは時々部屋に出ることはあります。どこから紛れ込んだのかはわかりませんけど。ただ、数は決して多いありではありません。蚊やハエが夏場に数度、クモが月に2、3度くらいです」
ところが、そんな男性の自宅にゴキブリが現れたのは今年9月のこと。
「夜9時頃のことです。洗濯物を洗濯機に歩折り込もうとしていると、洗濯機の横をカサカサと通り過ぎていくゴキブリがいたんです」
色は茶色で、そんなに大きくなかったというからチャバネゴキブリだろうか。この10年間、ゴキブリなど一度も目にしたことのない男性は硬直してしまった。
「昔だったら、新聞紙やスリッパで叩きつぶすんでしょうけど、どうしてよいのかわからなくて。リビングにいる妻に“おーい!!おーい!!”と叫ぶのが精いっぱいでしたね。後から妻に“なんですぐに退治しないの?”と怒られましたが」
その後、妻と二人で洗濯機の裏や下を探索したがゴキブリを見つけることはできなかった。
「ちょっとしたパニックですね。どこから紛れ込んだんだろう。自分が掃除のローテーションをサボって部屋が散らかっているのが原因じゃないか。それに、もしかして家の中のダンボール箱のあちこちには、もうゴキブリが卵を産み付けまくっているんじゃないかと」
その日から1週間あまり、男性は平日の帰宅時間を早めて必死に掃除をした。台所を隅々まで拭き掃除し、押入の段ボール箱もすべて処分した。
「それから、あちこちに、ごきぶりホイホイを設置しました。それから、ゴキブリが出たことはありません」
そのうちネズミも出るんじゃないか……
それでも、男性のゴキブリへの恐怖は続いている。
「ゴキブリが1匹いたら100匹はいると思えというでしょう。もしかして、マンションのどこかで増殖しているんじゃないかと不安なります。おまけに妻には“せっかくゴキブリがいないマンションだったのに”と、自分の掃除がいい加減だったのではないかとチクチクと嫌味をいわれてます」
こうして、この秋を「人生でもっともゴキブリについて考えた期間」と語る男性は、こんな不安も感じるようになったという。
「築地市場が移転した時に、市場のネズミは周囲に移動するんじゃないかという話があったでしょう。実際、最近の勝どきあたりでは夜中にネズミが道路を走っているのを見かけることが多いんです。いつかは、ネズミがマンションに巣作りを始めるんじゃないかを、とても気になってます」
一匹のゴキブリが男性の平和な日常を脅かしているようだ。
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