「うちは派遣だろうと平等に扱う」ボーナスも出ないのにリーダー的な役割をさせる現場
男性は「今の部署に正社員がいないわけではないのですが、(上長は)『あいつらはあてにならない』とか平気で言ってきます」と現状を語る。
「ついこの間などは、不良の取り扱いに関する会議なるものにまで参加させられました。なんで派遣が会議に出なきゃならないんでしょうね。一度上長に『こんなことは派遣がする仕事ではない』と言ったら、普通に『うちは正社員だろうがバイトだろうが派遣だろうが、分け隔てなく平等に扱うから』と言われました」
「平等」といえば聞こえはいい。しかし、社員と派遣社員では雇用形態が違うのだから、分け隔てなく仕事を振るのは筋違いだ。男性は、
「派遣の私にリーダー的役割を任せて、仮にうまくいったとしても、会社の方針として、あるときに『派遣はこれ以上契約しない』となったらどうする気なのでしょうか。そうなったら今の部署の仕事が回らなくなる可能性もあるというのに」
と首を傾げる。上長は社外の人に部署のリーダーや重要な仕事を任せるリスクについて、ピンときていないのだろう。
「リーダー的役割をこなしたところで給料は変わらない」
違和感を抱く点はほかにもある。男性がいる部署は「手作業で部品を組みあわせて完成品とする工程」を担当しており、1日あたりの生産数のノルマが決まっているが、いわく「上の方々は頭数さえ揃えればノルマが達成できると勘違いしてる」という。定年退職で足りなくなった人員を派遣でまかなっているのだが、
「(上の人は)『人数が揃ってるのになぜ予定数が上がらないんだ?』などと言ってきます。私のいる部署は“手作業”なので早く作業するにはちょっとしたコツであるとか、どうやったら効率良くできるかなどをちゃんと教育しないと数をこなせるようにならないのに、まともに教えることもなく、作業者のやりたいようにやらせるので困ります」
ノルマの達成には、人数を揃える以前にマニュアルの整備や作業の教育が必要なのは明らかだ。しかし、会社側はベテラン社員が抜けた穴を派遣で補填すればどうにかなると考え、教育もろくにしないようだ。
男性は今の仕事について「リーダー的役割をこなしたところで給料が変わるわけではありませんし、正社員のようにボーナスがあるわけでもありません。そもそも派遣契約にない仕事です」と不満をもらす。派遣会社の担当者に相談しても、「それも業務のうちじゃないの?」と「寝ぼけた答え」が返ってくるだけだそうで、男性は、
「こっちの身にもなってほしいものです。毎日めちゃくちゃ気を遣うので大変です」
と嘆いていた。
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