人気ゲームがリメイク! でも正直、音楽に関してはガッカリすることが多くないですか?
リメイクブームというものはゲームの世界でも同様だ。スクウェアエニックスはここ最近『ファイナルファンタジー7』のリメイク三部作に傾注しているし、サガ部門では『ロマサガ2』のリメイク版をリリースし大好評を得たばかり。
僕はどちらもプレイしたが、やっぱり映像表現が当時のハードと比べてかなり進歩した手前、BGMもそれに沿う形でアップグレードするのは、方向性として間違ってないということは、理屈では理解できる。
ただ、ちょっとアレンジするにしても原曲とかなり離れたものになっていると、なかなか「おお、懐かしい」と素直に思えない部分もあって……。
リメイクタイトルを遊ぶ人って、オリジナルをプレイした層も結構多いと思うんだけど、そういった人にとって当時耳にしていたBGMって憧憬というか原体験。やっぱり、あんまり崩さずに最低限のリメイクで抑えてほしいと考えてしまいがちなんだけど、進化したハードで展開されるリメイクとなるとそう簡単にはいかない。
『FF7R』では「更に闘う者達」がかなりかっこよく生まれ変わっていたが、個人的にはあれもちょっと行き過ぎだったように思える。というか、そもそもボス戦なのに「更に闘う者達」じゃないようでずっと聴いてるとそれっぽいフレーズが入ってる新曲が流れることもあった。
個人的には、「ボス戦になると流れる曲を、色んなアレンジ用意せずに1つに固定してくれた方が嬉しいな。ジェノバ戦でのBGMと区別することでボスの格も判断できるし」と思うことしきりであった。リメイクに関しては、通常ボス戦は毎回エアバスター戦のアレで良かったのに。
ってかスクエニのリメイクタイトルって、戦闘BGMが誇張されたロックアレンジもしくは誇張されたオーケストラアレンジになることが多くない? 荘厳、豪華すぎて映像に合ってないようなリメイクもあったような。
だが、『FF7R』へのこの不満など、実は些細な問題ではある。あくまでも本作のボス戦BGMは「更に戦う者達」の派生であり、アレンジされまくっていようと、原曲の良さは失われてはいないためだ。
でも、あるんだよね。時にはリメイクされたことで、原曲の良さを殺したどころか、原曲なんかそもそもろくに使わなかったってタイトルが。
PSP版『ペルソナ』で旧作ファンが感じたこと
1996年。アトラスは『女神異聞録ペルソナ』というゲームをリリースしている。言うまでもなくペルソナシリーズの元祖であるが、初代プレステ対応のソフトであるために作品人気は高かったものの、やはりハードの進歩と共にリメイクが待ち望まれるようになった。
アトラスがこれに応じてリリースしたのが、2009年にリリースとなったPSP版のリメイクタイトル『Persona』だった。
戦闘シーンのもたつきやロード時間の問題といったゲームのテンポがかなり改善され、エンカウント率の高さも調整が入った、システム面だけ見るとかなりの良リメイクだった。
元々『女神異聞録ペルソナ』とは、世界観に見合ったBGMの数々も相当に評価が高く、通常戦闘、ボス戦、イベント戦で流れる楽曲ファンも多かった。リメイクするにあたってのプレイヤーのストレスになるであろう欠点を軒並み改善した『Persona』だったが、一方でオリジナルに収録されていた楽曲の9割ほどはオミットされている。
代わりに挿入されたのが、『ペルソナ3』以降のアトラスゲーでよくあるような、ポップでおしゃれなボーカル入りの楽曲の数々。通常戦闘では毎回「と~けていく~♪」みたいな歌詞をバックに戦う羽目になった。
ボス戦ではあの冒頭の荘厳な雰囲気から一転し、コマンド入力した瞬間に激しいギターサウンドに移行する流れが丸ごと消失。オシャレにリメイクされた楽曲が代わりに流れるが全然緊張感がなく、ボス戦が楽しく感じられなくなってしまった。
ことにこのリメイク、BGMの変更に関しては往年のファンを相当がっかりさせており、もっと言えば新しい楽曲が初代ぺルソナの世界観とは水と油だったのである。
あまりにも脳内に「改悪」のワードが浮かんでは消えていくためにちょっとパブサしたら、本当にこのBGM変更だけは解せないという声が出るわ出るわ。もしかしたら、リメイク版は『ペルソナ3』で本シリーズに触れた人向けに音楽面をガラリと変更したとか、そういった事情もあったんだろう。
まあ、その割には続編の『罪』、『罰』両タイトルのリメイクでは、原曲を相当流用しているしつじつまが合わな過ぎる推論にはなるが。
人気タイトルとは言え、せっかくリメイクされるのなら、隠しダンジョンだの新規イベントだのの追加要素を盛り込むより前に、オリジナルのプレイヤーが遊びながら耳に焼き付けた楽曲をもっと大事にしてほしいな。