復職後「希望通りに働けている」と答えた人は62.3%と、半数以上。出産後およそ6割の女性が離職しているという日本で、半数以上が希望通りというのは意外でした。しかし考えてみると離職しなかった約4割の中の数字です。ほとんどの人がうまくいったとはいえない状況を感じます。
対して、復職後に転職した経験のある人は39.5%。理由として「働きづらくなった」「仕事と育児の両立ができなくなった」「休職前のような働き方ができなくなった」などが上位にあがり、やむなく退職したことが分かります。
復職後の収入は「下がった」と答えた人が約6割。年代別に見ると若いほど下がっており、20代が70%、30代は59.7%、40代は49.2%でした。「時短勤務」で働いている人が全体の45.1%で、異動などもあれば仕方ないかもしれません。しかし給料が70%も下がれば働き続けるモチベーションも当然下がることでしょう。
子育ては一人ではできなかいからこそ周囲と調整するスキルが大事
そんな中でも仕事を続けた人の意見として興味深いのは、「育児しながら働く上で必要と感じたもの」です。この調査では下記のような意見があがりました。
1位:幅広い人間関係
2位:コミュニケーションスキル
3位:専門能力
次いで「資格」「語学スキル」など、となっていたました。時短勤務や子どもの発熱などで休むことが多い場合、人材として必要とされ職場に居続けるために、高い実務能力が必要だと思いがちです。もちろんそれは大前提かもしれませんが、人間関係やコミュニケーション能力がより大事だと思われているようです。
「幅広い人間関係」は、祖父母以外に近所の知人やママ友でしょう。急きょ子どもを預かってくれたり、幼稚園の代休や夏休みに一緒に遊びに連れて行ってもらえたりすれば、早退や有休を減らせます。行けなかった懇談会の内容や学校の情報を聞くなども大事です。
職場では普段から周囲と良好な関係を築き、自分がいない間の引継ぎをきちんとするにもコミュニケーションスキルは大切です。子どもの状況などもさりげなく伝えておけば、ある程度の配慮というか、無用な恨みを買うことなく時短勤務ができるのではないでしょうか。
ここから分かるのは、「子育てはひとりではできない」ということです。仕事をしていなくても、多くの人の手が必要な子育てですから、復職した女性ならばなおさらのこと。子どもが小さいうちは両立が難しくても、手が離れてくれば仕事を続けてきて良かったと思えるはずです。もちろん夫婦で協力し合い、周囲の助けも借りながら、「復職後希望通り」の職場がもっと増えるといいと思います。
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