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「35歳なのにまだ夢を追ってる夫が嫌いになってきた」妻の怒りに注目集まる 日本の研究職の不遇をあぶり出す結果にも

「35歳なのにまだ夢を追ってる夫が嫌いになってきた」

「35歳なのにまだ夢を追ってる夫が嫌いになってきた」

妻は、私だけが犠牲になっているという苦い思いを噛みしめながら生きているようだ。出産のとき命に係わるトラブルを経験し、夫には「そろそろ将来のことを考えて欲しい」と必死にお願いしたという。しかし夫は、「自分のことをやる時間がなくなるから」という理由で、非正規雇用のままのようだ。

投稿は、始めこそ「夫は…」と第三者に説明する口調だったものが、やがて「お前」と直接なじるようにヒートアップしている。まあ、妻の怒りと悲しみはよくわかる。自分はやりがいのある仕事を諦めたが、子どもの将来のために仕事を辞めるわけにもいかないという、切実な思いがあるのだ。

ところが夫は、おそらく自身の研究のために、妻いわく「楽な仕事」を選んだ。研究者として真っ当な姿勢だが、妻にしてみればそれが「いい年をして夢を追ってる」ということになる。

この投稿にブックマークには800以上つき、様々なコメントが寄せられた。多いのは「何故子供を作ったのか、結婚したのか」という非難や、結婚に対する後ろ向きの感想だ。だが、今さらそれを責めても仕方ない。コメントには、

「女性が犠牲になりがちなのは不幸だなと思う。それにしても日本で博士の人はほんどだめだからやめなされ(自分を見ながら)」
「大学での研究職を続けるという事がこの扱いというのが今の日本の状況をまさに現しているリアルな文章」

といった指摘も見られた。

「日本の科学は空洞化する」危機的状況をあぶり出す結果に

夫が何を研究しているかは不明だが、35歳は研究者とすれば若手のほうだろう。研究は何年も先を見据えて取り組んでいるはずで、成果がすぐに出るとも限らない。

だが、今の日本は博士が山ほどいるわりに、国立大学の運営費は削られポストは激減している。2009年からの7年間で750億円も予算が削られているのだ。1年契約の非正規雇用で働く人が多く、「安定」を確保するのは容易ではない。2016年にノーベル賞を受賞した大隅良典さんは、「日本の科学は空洞化する」と危機感を訴えている。

妻の投稿は、図らずもこうした憂うべき現状をあぶり出すことになっている。妻側にも言えることだが、夢を追うことと家庭生活は両立しづらいという現実が2重に見えてきて辛い。

ただ、研究職の就職先がないわけではなく、文科省の調べによれば、民間企業が博士課程修了者を採用する割合は増加している。専門分野によって需要の差はあるだろうが、高い専門知識と研究者特有の探求心は民間企業でも重宝されるものではないだろうか。

しかしこの夫、家族のためにその方面へ行く気はない上に、妻からみるとどうも優秀な方ではないらしい。妻は夫の仕事上の欠点をズバズバ挙げて絶望に拍車をかけていた。コメントには、

「夢を追ってる夫が嫌なんじゃなくて、自分と子供をないがしろにする夫が嫌なのかな、と思った」

と、妻の心情を推し測る声もあり、筆者も同感だ。

結婚生活はお互いに協力し合えるかが重要で、「私だけが犠牲になっている」と片方が思い詰めれば生活は暗くなる。夢を追ったとしても、お互いに思いやりを示せるかどうかがカギになるだろう。

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