この記事はガールズちゃんねるでも物議を醸し9000近いコメントが入っています。多かったのが、「何で学校に腹立ってるのかが分からない」をはじめとする、専業主婦の母親への批判でした。
「暇そうに見えるんだね」「働けば解決する。パートに出ましょう」
「働くのが面倒くさい、という本音を隠そうとするからややこしい」
「自分は働いてないくせにこんなこと(娘の将来に口を出す)してるから悪いんだよ」
などのほか、自身の母に対して、「そりゃあんな視野狭窄になりたくないもん。 大人になってからは(専業主婦の)有り難い面も理解できるようになったけど、憧れの人生だとは微塵も思いません」といった手厳しい言葉が並びました。いまの時代、娘にとって母親は働いているほうが自然だし尊敬できる、という人が多いのでしょう。
共働き世帯の数は1980年以降増え続け、1997年を境に逆転しています。2015年には専業世帯641万人に対して共働きは1188万世帯と、この20年ほどで共働きが圧倒多数となりました。専業主婦が決して悪いわけではありませんが、相談者は少数派となり、娘をはじめ理解を得にくい状況になっています。
娘を「生意気」と感じた人も 時代の変化に翻弄される母と娘
一方、コメントは「生意気な娘だな」と娘へのバッシングも相次ぎました。
「普通に生意気だよね。母親が働いても家の手伝いはしないんだろ? まず、家事に協力するからおかあさん働いてじゃないか?」
という不満を書く人も。確かに、家事と仕事の両立の大変さも知らない子どもから、「母親も働くべき」というニュアンスの言葉を言われれば、カチンと来るのも分かります。
精神科医・斎藤環氏の著書『母と娘はなぜこじれるのか』(NHK出版)には、「母娘問題は時代の産物」という章(社会学者の水無田気流さんとの対談)があります。要約すると、夫が外で働く専業主婦世帯が多くなったのは歴史的にみてごく最近のことであり、「良妻賢母」という概念も、明治以降の植え付けとのこと。かつて、日本はほとんどが農漁業者で女性も働くのが当たり前だったとあります。子守りは引退した祖母や、一番年上の子どもの役目でした。
それが、高度経済成長期に急激に社会構造が変わり、女性は体力仕事から解放された代わりに、人格形成から勉強までみる「子育て」という責務が増えたとしています。
コメントには、「学校のせい、家族のせい、社会のせい、聞き飽きた」との批判もありましたが、女性の生き方は時代の変化で影響を受け、母娘の間に葛藤が産まれるのはよくあることのようです。しかし親としては、将来の仕事について真剣に考えだした子どもに対して、例え「生意気」と思ったとしても、これも成長だと受け止める寛容さが必要ではないでしょうか。