トピックへの書き込みは「2016年卒だけど、すごく共感」「子供はいらないよね」と共感するコメントが相次いだ。
「結婚、出産がメリットになる世の中じゃないもんね」
「今のところ共働きで子供作ると女のほうが大変なとこ多いからなあ」
と結婚・出産は”女のほうが大変”という意見が多く寄せられた。男性が一人で家族を養える時代は終わり、多くの人が「共働き前提」を分かっているため、仕事のほかに家事・育児・介護など、女性の負担感を訴える人が多かった。
また、新型コロナウィルス感染防止の対応で、働き方が左右された人のがほとんどが女性であることを指摘する人もいて
「日本社会は共働き世帯で子育て出来るようにはできていないよ」
「女性が生みたくないっていうのは、寄り添った政策が出来ていない証拠だよね」
という政策批判も散見できた。
男性に対する期待感の薄さも一因だ。記事中の「育児休業は取らないが夫婦で子育てはしたい、と回答した男子が32.2%」という部分を引用して「結婚する前はやる気満々だろうけど現実お前らなんもしないからな」などと怒りを書き込む人も。「自分たちが生きていくだけで精一杯」という声もあり、「日本終わってる」「絶滅危惧種日本人」などと低賃金や少子化に対する無力感が広がっていた。
「子どもを持つのは嫌じゃないけど、全て親の責任にされちゃうのが重い」
これに対し、少数派だが「気持ちはわかるけど、子どもって、かけがえないくらい可愛いよ」と書き込んだ人もいる。しかし、即座に「かわいいだけじゃ育てられない」などと批判がぶつけられる事態になっていた。本当に子育てに興味がなく、欲しくない人もいるだろうが、問題は、「欲しい人が産み育てやすい社会とは言えない」という点ではないだろうか。育休や保育園不足などの社会システムはもちろん、
「子供を持つのは嫌じゃないんだけど、何かあったら全て親の責任にされちゃうのが重いなって思う」
という声に、現代の親、特に母親にかかるプレッシャーの重さを感じずにはいられない。
精神科医の香山リカ氏の著書『母親はなぜ生きづらいか』(講談社現代新書)によれば、子育ては、江戸時代にはむしろ父親の責任が大きかったという。明治期の近代化の中で「良妻賢母」「母性愛」が登場し、日本の母親たちが社会に振り回され、孤立を深めてきたことが本書を読むとよく分かる。
そのツケが少子化の一因というわけだが、そもそも、この調査では7割以上の女子が「積極的に育休を取得したい」と答え、子育てに前向きな姿勢を見せている。男女とも子どもが欲しい、欲しくない人はいるし、10年後も同じ価値観のままとも限らない。せめて、欲しい人が欲しい時に産み育てやすい社会になってほしいと願うばかりだ。