「全社員がリモートワーク」ニューノーマル時代に先駆けるイーブックイニシアティブジャパンの取り組み | キャリコネニュース - Page 2
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「全社員がリモートワーク」ニューノーマル時代に先駆けるイーブックイニシアティブジャパンの取り組み

イーブックイニシアティブジャパン人事総務グループ エンゲージメントチームリーダーの安達 美都穂さん(同社提供。以下同じ)

電子書籍サービスを展開する株式会社イーブックイニシアティブジャパンは、全社員のリモートワーク推進に注力している。

コロナ禍が本格化し始めた2020年3月よりオンライン面接による新卒採用をスタートするなど、ニューノーマル時代の一歩先を行くイーブックイニシアティブジャパン。その取り組みの裏側を、人事総務グループマネージャーの白石和秀さんと同グループエンゲージントチームリーダーの安達美都穂さんに聞いた。(文:千葉郁美)

コロナ禍の新たな生活様式にいち早く対応

イーブックイニシアティブジャパン人事総務グループ グループマネージャーの白石和秀さん

イーブックイニシアティブジャパンは2000年に創業。ヤフー株式会社と協力して運営している電子書籍サービス「ebookjapan」と、紙書籍をオンラインで販売する「bookfan」を展開している電子書籍業界のリーディングカンパニーだ。

2020年初頭から猛威を振るい、人々の生活を一変させた新型コロナウイルス感染症。リモートワークやオンライン会議などの新たな生活様式を導入することに対し、多くの企業が苦戦する一方で、イーブックイニシアティブジャパンは迅速に適応してきたという。

「コロナ禍に入ってすぐ、経営陣が”何よりも社員や家族の健康を第一に守る”という方針を打ち出し、緊急事態宣言中の出社は”禁止”になりました。
社員を出社させることなく、且つ事業を止めないための環境整備は、スピード感を持って進めましたね」(白石さん)

そもそもイーブックイニシアティブジャパンは、電子書籍というオンラインサービスを提供しているだけあって社員のITリテラシーは高い。創業当初からDXへの意識は比較的高く、ペーパーレス化やコミュニケーションツールの活用、決裁フローの電子化等は早い段階で取り組んでいたという。

一方でコロナ禍以前は出社が前提の仕組みがあった。たとえば、商談や会議は対面で行うことが当たり前であったり、請求書や経費精算などは紙でやり取りすることを前提としていたり、という具合だ。

「リモートワークの体制を大急ぎで整えなければいけない状況でしたが、普段からノートPCを利用していた多くの社員はスムーズに移行できたと思います。しかし、なかにはPCスペックの都合上デスクトップPCで作業をしなければいけない社員もいましたし、取引先企業との関係で出社が必要という場合もあり、完全なリモートワークを実現するには難しい部分もありました」(安達さん)

職種ごとにブレークダウンしてリモート化を実現

全社員がリモートワークできる環境を整えるため、イーブックイニシアティブジャパンは職種ごとにブレークダウンした施策を実施した。

システム開発などのエンジニア領域では、すべての業務がオンラインで完結するように各種ツールをフル活用することで解消。また、書籍データの登録や作成は、スペックの高いデスクトップPCにセキュリティの仕掛けを導入してリモート接続することで、出社して作業をするのと同様のパフォーマンスを実現した。

「エンジニアの場合はどこにいても成果を出しやすい職種ではあるため、環境さえ整えばスムーズにリモート化できたと思います」(白石さん)

また、営業職においては取引先との商談や打ち合わせなど、コロナ禍以前は対面が前提だった業務のリモート化を実現した。出版社とのやり取りが多い電子書籍事業は、業界の慣習的に商談や打ち合わせは対面で実施しており、夜遅くまでかかることも少なくなかったという。

「オンラインでの会話に難色を示されるイメージがありましたが、当社が打ち出していた”従業員の安心安全のために”というメッセージを理解していただけて、すべての商談や打ち合わせをオンラインに切り替えることができました。
夜間になりがちな出版業界とのやり取りもコンパクトになり、移動時間もなくなったことで残業時間の減少にもつながりました」(白石さん)

コロナ禍の採用活動もすべてオンライン

さらに、採用や育成もオンライン実施へと完全移行。多くの企業が新卒採用活動を延期や取りやめに舵を切った2020年の初頭だが、イーブックイニシアティブジャパンは3月からオンラインでの採用活動をスタートさせた。

「オンライン通話の環境では、お互いの肩から上しか見えていません。どんな雰囲気がある人なのか、どのくらい大きな動作をしているかも分からない、いわゆるノンバーバルが伝わらないのです。採用するこちら側も応募者の方も、お互いが解消したい部分でした」(白石さん)

平時の選考のようにお互いを知り合えるようにするにはどうすればいいかを考え、トライ&エラーで取り組んだ白石さん。採用活動を成功させるために重要と位置付けたのは「コミュニケーションを密に取ること」そして「複眼で見ること」だ。

「面接のスタイルや内容は対面時とさほど変えることはなく、応募者を複眼でみることや、適性検査などのツールを導入して多角的に見られる仕組みを整備しました。内定後のコミュニケーションを密に取り続けることで、お互いを知り合うことができたように思います」(白石さん)

いい人材を採用しようと考えると難易度が高いと思われるオンライン採用だが、イーブックイニシアティブジャパンが2020年3月から7月に実施した採用活動での内定者は、一人も取りこぼすことなく2021年度に入社した。

「(新入社員が)入社して3ヶ月が経過し部門配属を前に、各部門で取り合いになるほど優秀な人財を採用できたと感じています」(白石さん)

2021年度もオンラインの採用活動は継続していくという。

年間の在宅勤務率97%を達成

オンライン忘年会の様子

日本がコロナ禍の混沌に包まれ始めた2020年初頭から迅速に全社員のリモートワークを推進したイーブックイニシアティブジャパン。職種別にブレークダウンしたリモートワーク施策が功を奏し、1年間(2020年4月から2021年3月)のオフィス出社率は3%未満(在宅勤務率97%)を達成した。また、四半期の売上高が前年同期比で141%と高い成長率を見せた。こうした結果からも、新しい生活様式での業務が滞りなく進行したことを物語っている。

「全社員のリモート化に向けて、この1年間でひと通りの仕組みを整備できたと思います。ここからは、サービスを利用していただくユーザーにもっと価値を届けていきたいですね。今あるサービスを、どうより良くしていくか、より良い体験をどう届けるか、この働き方でも実現し続けていくことがこれからの課題です」(白石さん)

マンガや書籍で多くの人の人生を幸せにしていく決意を掲げ、業界変革をけん引するイーブックイニシアティブジャパン。さらなる飛躍に期待が高まる。

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