渋沢栄一は第一国立銀行や東京証券取引所など500社以上の企業育成に携わるなど、その功績から「近代資本主義の父」とも呼ばれる。『論語と算盤』は1916年に発表された著書で、「道徳経済合一説」を唱え、倫理と利益の両立を主張するなど、渋沢の代表作として知られている。
同書のビジネス書としての人気はこれまでも高かった。昨年のドラフトで1位指名の根尾昴選手(当時は大阪桐蔭高校、現在は中日)が愛読書として紹介した際にも注目されていた。
KADOKAWAの編集部では新紙幣の発表直後、2冊の需要増を予想し重版に備えた。正確な数は把握していないが、今ある在庫では足りない量の注文が来ているという。
担当者によると、『論語と算盤』と同じく重版が決まった『渋沢百訓』もお勧めだが、同時代の別人物の作品としては福沢諭吉の自伝『福翁自伝』も勧めたいそうだ。福沢諭吉は現行の1万円札に描かれているが、変更を受け、福沢の1万円札は今後製造が停止される。担当者は「日本の夜明けを作った2人なので、読み比べると面白いかも」とのことだった。