四国電気保安協会のサイトによると、ネズミやヘビなどの小動物が電気室に侵入し、充電部に接触して停電事故になることがある。電力会社や保安協会のサイトを見ると、ヤモリによる停電も少なからず発生しているようだ。
九州電力が管轄する長崎県雲仙市の一部で2012年10月に停電が発生した。停電自体は数分後に解消したというが、その約2か月後に
「変電所建屋内の6000ボルト開閉装置に小動物(ヤモリ)が侵入し、接触したことによるものと判明いたしました」
と発表している。侵入箇所を特定し、防止策を講じたという。
沖縄ではエアコンの室外機に「ヤモリガード」を装着
北陸電気保安協会の広報誌「でんきほあん」(2012年夏号)にも、ヤモリが原因の漏電トラブルの事例が紹介されている。
漏電ブレーカーが切れるという連絡を受けて保安技師が向かったが、故障原因は特定できなかった。しかし、エアコンの室外機のカバーを外すと、電源の端子台の上に「灰色のゴミ」があった。
「そのゴミを取り除こうとドライバーの先でそっと触ったところ、その灰色のゴミが動いて逃げて行くではありませんか。そのゴミの正体は端子台にちょうど乗る体長3センチぐらいのヤモリだったのです」
ヤモリが漏電ブレーカーを作動させていたという。また2016年にも京都市で停電によるぼやが起こったが、そのときも地下変電室でヤモリの死骸が見つかっている。可愛らしいヤモリだが、電気設備界隈ではかなりのトラブルメーカーだ。
「でんきほあん」誌も
「ヤモリは、他の小動物と違い小さいため、わずかな隙間や通風孔などから侵入してねぐらや 餌場とするので、このような故障には十分注意が必要です」
と呼びかけている。
また、ヤモリの多い沖縄県ではエアコンの室外機にヤモリが侵入して故障することが多いという。そのため、沖縄では端子台部分にヤモリの侵入を防ぐカバーを設置する”ヤモリガード”仕様のものが多いそうだ。今回の京急線のヤモリによる停電は珍しいが、ヤモリによる被害は日本中で少なくはなさそうだ。