霊感があると認識したのは小学生時代。他の友達が見えていないものが見えたり、夢が当たったりした。嫌な空間に行くと腕の産毛が逆立って、鳥肌が立ち、目からじわっと涙が出る。
これが筆者の「霊感バロメーター」で、だいたいヤバい場所かどうかはこれで判断するようになった。他者から心霊話を聞いた時も本物かどうかを判断する材料になる。本物なら他者を通じた話でも、テレビ越しでもこの3点セットが反応する。
あまりにも気持ち悪いものに出会ってしまった時は、「私は気がついてません。知りません。こっちに気がつかないでください」と心の中で唱えながら無視して歩いたりする。父はこれ以上に大変なようなので筆者自身は大したことはないが、今から14年前、社会人になって上京した時に強烈な体験をした。
当時、筆者は都内に住んでいた。超不規則&激務な業界で働いていた筆者は、深夜に帰宅することもしばしば。かなり深い時間帯にファミレスを利用することがよくあった。
深夜のファミレスで自分にしかみえていなかった髪の長い女性
筆者の友人も同じように不規則な仕事をしていて、しかも近所に住んでいたため、よく深夜にファミレスで集まることがあった。そのその日も仕事終わり、2人で某ファミレスへ。深夜ということもあり、客はまばらで店は静かだった。
4人掛けのソファ席で、友人はソファ側、筆者は椅子側に座った。隣の席にはソファの奥側に、女性が1人で座っていた。黒っぽい服でロングヘアの20代後半から30代前半くらいの女性だ。
筆者と友人は食事しつつお酒も飲んで、ぐだぐだと2時間くらい長居していた。その間、女性はソファに座っていたのが見えていた。「そろそろ出るか」と筆者はお手洗いに。戻って来ると女性は帰ったようで、いなかった。
会計をすませ深夜の大通りを友人と歩いていると、ふと先ほどの女性のことが気になった。2時間近く店にいたが、女性はその間、何も食べていなかった。店員さんは筆者たちの席には来たが、隣の席で注文をとることも、水を配ることもしていなかった。
「さっき隣の席に座ってた女性いたじゃん。あの人いつ帰ったの?」と聞くと、友人はポカーンとした表情で、
「何言ってんの? 隣の席は誰もいなかったよ?」
と言う。「私たちが座る前から隣にいたじゃん! あんたが座ってたソファ側に!」「あそこのソファ席の並びは、俺らだけだった」……と、友人との会話で、その女性が筆者にしか見えてなかったことがわかった。
自衛のため心霊スポットには行かないようにしていたが……
これは大学時代の話。当時、四国で一人暮らしをしていた。近くには超有名な心霊スポットがある。詳細を書くと面白半分で行ってしまう人がいるかもしれないので省くが、山奥に工事途中のままになっている古い建物と、その建物に続く橋があり、一帯に霊が集まっているという。
防空頭巾を被った人が出るとか、車に手形がいっぱいつくとか、いろいろな噂話があった。筆者は自衛のため心霊スポットは絶対に行かない。しかし4年生のある時期、なぜかその心霊スポットに関する話を頻繁に聞くことが続いた。
大学の友達、バイト仲間、行きつけの美容院の美容師さんなど、さまざまな人からその場所の噂話や、実際に行ってきた話などを2週間に1度くらいのサイクルで耳にした。「忘れた頃に別の誰かから話を聞く」という感じだ。
中には、実際に行ってきた写真を見せてくれた人もいて、真っ暗闇の中に手のようなものが写っていたり、写真越しでも恐ろしいのが伝わってきた。本物だ、と思った。話を聞くだけでも嫌な場所だったので警戒していたが、5回目くらいになると警戒心が解けた。
そしてバイトの日、バイト仲間から「今度一緒に行ってみようよ」と誘われた。普段なら絶対に断るのだが、その時人生で初めて「行ってみよう」という気持ちになり、承諾した。ところがバイトが終わって家に帰ると、実家の父から電話が。
「お前、どこかに行こうとしてるだろ。やめておけ。呼ばれとるぞ!」
と突然怒られた。父にその心霊スポットの話をしたことは一度もない。父は筆者よりも霊感が強く、「何か」を察して電話してくれたようだった。その電話で我に帰り、心霊スポットに行くのは断った。行っていたらどうなっていたのだろう。
「幽霊」が本当にいるのかはわからない。心霊現象を信じない人ももちろんいるだろう。筆者も幽霊とはなんなのか、なんのために見えるのかはわからない。しかし、「世の中には説明のつかない不思議なことがある」というのは、身にしみて感じている。
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