霊感の強い家系に生まれた筆者は、昔から不思議な体験をよくしている。それなりに恐ろしい経験はしてきたが、筆者よりも父の方が圧倒的に強い力を持っている。父は幼い頃からいろいろなモノが見えていた。
例えば父が小学生の頃、親戚のおばさんが挨拶にやってきた。「おばさんとおじさん何しに来たの?」と聞く、祖母に「おじさんは来てないんだよ、死んだんだよ!」と言われたという。おばさんは葬式後のあいさつに来ていたのだ。
こんな感じで、父の話は筆者以上にいくらでもある。今回も父とのエピソードや体験談を紹介したい。(文:コティマム)
テレビ越しでも霊が見える 「あの跳び箱のところに男の子が座ってる。見えるか?」
霊感家系なので、家族で心霊番組を見ている時は盛り上がる。筆者が「父の霊感はやっぱりすごいなぁ」と思ったのは小学生の頃。家族で心霊番組を見ていたら、幽霊が出るという噂がある小学校の体育館がテレビに映った。
筆者は「跳び箱のあたりに気配があるなぁ」と感じた。霊が本当にいるなら、写真や動画、時には会話の中でも”そこにいる”と感じることがある。
その時、父がいきなり跳び箱を指差し、「あの跳び箱のところに男の子が座ってる。見えるか?」と聞いてきた。筆者には見えなかったが、父にはハッキリと見えていたようだ。
また別の心霊番組で、ある美容室に霊能者が霊視に行く場面を見ていた時のこと。そこは1階が美容室、2階が美容師一家の自宅になっていた。テレビ越しに「1階ではなく2階に何かいる」と思った。
一緒に見ていた父も「1階は大丈夫だが、2階に何かあるな」と同じことを言った。すると、美容室を霊視していた霊能者も全く同じことを言ったのだ。そのまま霊能者が2階に上がると、和室に薄緑色の男性用の着物がかけてあった。
「原因はこれだ」と直感でわかった。筆者にはその着物の気味悪さしかわからなかったが、隣で見ていた父は、
「おい、見えるか? 着物の左側の裾のところ、おじいさんの顔が浮かんでる」
と画面を指差した。霊能者も父と同じ事を言い、除霊のようなものをし始めたのだが、その時、着物が風に揺られたように勝手にふわ~っ、ふわ~っと動き出したのを今でも覚えている。
父と筆者は普段から心霊トークをすることが多く、その様子を霊感のない母と弟が青ざめた様子でよく見ていた。次に紹介するのは父から聞いた体験談の中でも、筆者が忘れられない話だ。
「この部屋、なんかあっただろ」と聞くと、「お代はいりません」
父は20代の頃、仕事仲間とよくツーリングをしていた。宿は予約せず、移動した先で空いている安いモーテルで仮眠をとり、またすぐに旅に出るというのをよくしていたそうだ。
西日本に住む父とツーリング仲間の同僚が、遠出して石川県まで行った時だ。深夜に石川県に入り、疲れ果てていた父と同僚は田舎町のモーテルに入った。シャワーを浴びて少し仮眠したら、また明け方から出発する予定だった。
通された部屋へ足を入れた時、父は薄気味悪さを感じた。だが疲労感が強く、また同僚を怖がらせたくないため、意識しないようにしていた。同僚も疲れていてすぐにベッドに倒れこみ、父は先にシャワーを浴びることにした。
浴室に入った時も、何ともいえない重苦しさを感じた。気にしないように椅子に腰を下ろし、髪を洗う。流すために目を閉じた瞬間、目の前に壁も浴槽も一面血だらけになった浴室の光景が飛び込んできた。
「なんだ!?」と目を開けるが、浴室に変化はない。もう一度目を瞑ると、やはり血しぶきが飛び散っている壁面や浴槽の光景が映る。今まさに父がいる、この浴室の風景だ。ジトッとした嫌な空気が体中を這う。
「とんでもないところに来てしまった」と父は、泡がついたままなのも気にせず浴室から飛び出した。体も拭かずに洋服を着ると、ベッドで寝ている同僚をたたき起こし、「おい出るぞ! こんな所いられない!」と出ていった。
入室して15分も経たないうちに受付にキャンセルしたいと伝えた。父は「この部屋、なんかあっただろ」と聞くと、受付の人は青ざめ「あぁ……そうですね。すみません。お代はいりませんので、このまま出られて結構です」と答えたという。
その浴室で何があったのか明かされることはなかったが、父は「女性が自殺したか殺されたんだと思う」と言っていた。この話を初めて聞いた時、父の話越しに血だらけの浴室の映像が飛び込んできた。あの場、数分でも留まってしまった父は、相当怖かっただろうと思う。みなさまも旅先での宿選びは慎重にしていただきたい限りだ。
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