はてな匿名ダイアリーに8月上旬、「お金持ちはお金を使うところと使わないところで雲泥の差がある」というエントリがあった。年収380万円だという投稿者は、年収1000万円超の友人が数人いて、金銭感覚の違いに困惑している。
彼ら彼女らはコンビニでの金遣いは良く、2000~3000円はなんの迷いもなく払うが、引っ越し費用や家電量販店では「友人の私まで胸が痛くなるほど値切る」という。家賃や礼金を極限まで値切り、引越し業者へも「50%以上のディスカウント」を求める。一緒に家電を買いに行けば、「これいくらまで値下げできますか?」と聞くのは当然のこと、提示された金額から更に値下げ交渉を進めるため、投稿者は気が気ではない。
「彼ら・彼女らは何を基準に値引き交渉するのかしないのかわからないし、結局金持ちと一般庶民とでは思考の格差があるのだろう」
と、胸の内を吐露していた。(文:okei)
「それを見込んだ値付けをしてる商売で掛け値なしで買うのはあほ」
この投稿は300以上ブックマークが付き、「金の使い方」や「本当の金持ちとは」など、様々な意見が飛び交った。
「まあコンビニの価格に交渉の余地無いしなあ」
「コンビニで数百円節約するのを何回繰り返せば家電で値切った数万円に届くか考えてみれば」
「値切れば下がるし、それを見込んだ値付けをしてる商売で掛け値なしで買うのはあほやないすかね」
確かにコンビニで値下げ交渉しても仕方ない。日用品や日々の食品でちまちま節約するより、大きな買い物のときコスパよく入手するほうが、賢い節約の仕方だという節約術の考え方もある。
流通ジャーナリストの金子哲雄氏の著書『学校では教えてくれないお金の話』(河出書房新社)では、モノの値段は、「開発コスト」「部品代」「人件費」「企業のもうけ」で構成されており、需要と供給のバランスによっても変わってくる、としている。恐らく投稿者の友人たちは、この辺のコスト感覚を熟知しているのではなかろうか。それに加えて、強気の交渉力を持っていることが、「年収1000万円超の実力」なのかもしれない。
なかには「年収1000万円はたいした金持ちとは言えない」という声もあったが、日本のサラリーマンの平均給与は441万円ほど。そこから見れば、年収1000万円超が「お金持ち」に見えるのも致し方ない。
本当の”金持ち”とは?「倹約家で無駄遣いはしない」「言い値で払ってくれる」
一方で、投稿者の「お金持ち」の定義に疑問を呈するコメントも多かった。
「私の知っているお金持ち一族に生まれたお金持ちの人は、わりと倹約家で無駄遣いはしない一方、他人からよけいな恨みを買ったり侮られたりしないようにお金を使ってるなぁという印象」
「自分の仕事のお客さんは、ほんとに金持ちな人は言い値で払ってくれたよ」
という証言も。値切りなどをしてくるのは、「自分は何も生み出さない中間業の人たち」だという。やはり相手の儲けを平気で削る交渉がしつこい人は、イメージが良くない。
前述の金子氏の著書では、お金持ちとは「お金を回せる人」だとしている。
「ただ資産を握り締めて通帳に貯め込むだけの人は、単なるケチ。世界的に見れば、持っている資産に見合ったレベルの生活と社会貢献をしなければお金持ちとは認められません」
本当の金持ちとは、経済を回すために雇用を生み出す仕事をし、どんどん消費する人のことだという。
とはいえ、年収1000万円超の人が「私は金持ちです」と自慢しているわけではないし、値下げ交渉自体が悪いわけでもない。コメントの中には、「金持ち云々は関係なく、大阪人は値下げが当たり前」という声もあり、地域文化の違いもあるようだ。投稿はただの感想だが、年収1000万円超の人たちにしてみれば、言いがかりみたいなものかもしれない。