あなたは何歳まで働きますか? 早期リタイヤか、それとも「夢への情熱」を持ち続けるか
2015年4月15日の「モーニングCROSS」(TOKYO MX)は、視聴者に「あなたは何歳まで働きたいですか?」というアンケートを取っていました。60代までが28.9%。70代までが18.5%、80代までが14.0%でした。
しかし最も多かったのは、「働きたくない」の38.6%。できるだけ早くリタイヤして、仕事との関わりを絶ちたいと考える人が少なくないようです。しかし、本当にそれで満足できるのでしょうか。英BBCは「100歳まで働きますか?」というタイトルのコラムを掲載し、オーストラリアで生き生きと働くシニアの例を紹介しています。
99歳のボタン店主「店に来ることが最大のセラピーよ」
100歳になる2週間前に亡くなったフェイさんは、シドニー郊外でボタン店を営み、亡くなる前日まで店に立ち続けたそうです。彼女は「店に来ることが最大のセラピーよ」と語っていたといいます。
65歳のハワードさんと67歳のハンナさん夫妻は、2010年にニュージーランドからオーストラリア・メルボルンに移住しました。ドイツの出身でティーサロンをやりたいというハンナさんの想いを実現するため、2003年にニュージーランドに移住。さらなる事業拡大を図るハワードさんは、こういいます。
「今の60代は、昔の40代のようなものですよ!」
シニアが働き続ける理由には、彼ら自身が「夢への情熱」を持ち続けていることや、「社会との交流」を持ちたいと願っていることがあります。
金銭的な事情もあるようです。オーストラリアでは2035年までに定年を70歳へと引き上げる法案が可決。あわせて1965年以降に生まれた人は、70歳まで年金を受け取れなくなりました。シニアが働き続けないと生活水準が維持できないのは、少子化で人口減少が進む先進国共通の問題といっていいでしょう。
経験豊富で仕事熱心なシニアは「貴重な労働力」
シニアが働く場は、企業の中にも広まっています。経験豊富なシニア従業員を雇用することは、企業にとってもメリットがあるようです。ブリスベンにあるメリノウールのメーカーはシニア従業員を積極的に雇用しており、社員の平均年齢は60歳以上。45歳の社長は「私と夫が40代で一番若いんですよ」と笑います。
雇用しているシニア従業員は、10代の頃から長年にわたって織物業に従事するなど経験豊富なうえ、正確で熱心な仕事をするので信頼できるといいます。
実はシニアを雇用する企業には豪政府から助成金が出ているのですが、この会社の場合、お金目当ての雇用ではなさそうです。実際にメリットがあるからこそシニアを雇用しており、シニアにとっても経験を活かせる働きやすい職場となっています。
日本でも働くシニアは増えています。総務省の統計によると65歳以上の高齢者の就業者数は10年連続で増加し636万人(2013年)と過去最多です。冒頭のアンケートとは異なりますが、60~64歳のうち「65歳以降も仕事をしたい」と答える人は44.0%にのぼります。
少子高齢化で人口構成が変化する中、「生涯現役」のシニアは今後も増えるのではないでしょうか。オーストラリアの例のような海外のシニアによる起業事例や雇用事例も、参考になるかもしれません。
(参照)Will you work to 100?(BBC)
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