霞が関「ゆう活」の完全実施が早くも危機に? 野党の質問に備えた「国会待機」を懸念
東京・霞が関の中央省庁で、7月1日から早出勤務を推進する「ゆう活」が始まった。国家公務員22万人を対象に、8月末まで出勤を午前7時半から8時半に早め、午後4時15分から5時15分には退庁を促す。
TBSのニュースでは、普段より早く登庁した厚生労働省の職員が「きょうは5時半起き」と眠そうな目でコメント。その一方で「明るいうちに子どもと外で遊んだりできたら」「ビアガーデンにでも行こうかな」と答える職員もいた。
国会会期の150日延長は「想定外のはず」
キャリコネニュースがある省庁に勤める国家公務員に取材すると、出勤時間の前倒しで「朝の山手線はガラガラ。通勤は快適でした」とのこと。早出しても早く退庁できないおそれはないか尋ねると、その心配はないということだった。
「20時には庁舎が完全消灯するそうなので、残ることはできないです。仕事の持ち帰りも許されていませんし、素直に早く帰りますよ」
ただし通常国会の終了日が、6月24日から戦後最長の150日間も延長したことは「ゆう活の推進担当には想定外だったはず」と語る。当初、国会のない7月と8月に「ゆう活」を行うはずだったのが、会期が9月27日まで延びてしまったからだ。
国会会期中は大臣の答弁資料を作成するために、各省庁の職員が「国会待機」を余儀なくされることが少なくない。国会で大臣に質問する議員が、ギリギリまで内閣参事官室に質問内容を明かさないことがあるためだ。
与党議員については昨年4月から「質問2日前の午後6時まで」に提出するルールができて、残業はやや減っているが、野党議員の中には直前になって大量の質問を出してくる人が依然として存在するという。
このため、国会中は「ゆう活」の完全実施は難しいのではと懸念する見方もある。これを意識したのか、政府首脳は「ゆう活」の取り組みをアピールするため、午後5時までに首相官邸を離れることにしているようだ。
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