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「解雇規制を緩和したら正社員が増えた!」 イタリアで労働市場改革に成果、首相も自画自賛

派遣社員や契約社員といった非正規雇用ではなく、「正社員」を増やそうとしたとき、国の規制はどう定めたらよいのでしょうか。解雇規制を厳しくし、正社員を辞めさせないよう会社に求めた方がよいと主張する人もいるでしょう。

しかしその真逆の手を打って、正社員の数を見事に増やした国があります。イタリアでは労働市場改革に関する法律を今年3月に施行したところ、正規雇用者が大幅に増加するという成果が現れたとメディアが報じています。(文:パッタナカーン山崎)

「金銭解雇OK」で新規正規雇用が36%増加

イタリアの成功例は事実

イタリアの成功例は事実

8月11日付けイタリアのデジタル英字紙Italy24などによると、レンツィ首相によって進められた労働市場改革「jobs ACT」によって、企業は差別的な理由による解雇を除き、労働者の解雇問題を賠償金で解決できるようになったそうです。

日本では不当解雇とされないためには、「企業の維持存続が危うい」状態でなければなりませんし、非正規雇用を解雇し新規採用も抑制、配置転換などの経営努力をしたうえで、最終的に裁判所の判断にゆだねられます。不確定要素が多いといっていいでしょう。

これと比べると、イタリアの「jobs ACT」は企業にとって明らかに都合のよいことで、報道でも「企業にとっては以前よりも解雇が容易にできるようになった」としています。

このような規制緩和が起こると「社員のクビ切りと使い捨てが進み、失業率は上昇する」と考える人もいるかもしれません。しかし結果は逆で、実際には2015年上半期の新規正規雇用者数は前年同期比で36%も増加し、非正規雇用者数も減少傾向になっているそうです。

非正規雇用から正規雇用への切り替えを果たした労働者も、前年同期比で30%(約33万人)増加。雇用全体における正規雇用の割合は前年の33.6%から40%に伸びました。10の仕事に占める正規雇用の割合が、3つから4つになったというわけです。

イタリア首相はデータ示し「非正規雇用者の削減がうまくいった」

具体的なケースとしては、自動車大手フィアット・クラスラー・オートモビルズは、イタリア南部の工場での数百人に上る短期雇用契約者を、正規雇用者にすることを労働組合と合意しました。また高級スポーツメーカーのランボルギーニはボローニャ地域に古城建設を決めるなど、雇用が増えています。

フルタイムの仕事も2015年上半期は新規雇用全体の63.4%を占め、前年同期比で1.1%伸びています。この伸びはわずかではありますが、少なくとも解雇規制の緩和によって減ってはいません。

レンツィ首相は「我々の非正規雇用者を削減するための取り組みがうまくいっているということが、この統計によって明らかになった。この法律を上手に利用して欲しい」と述べて成果を誇っています。記事によると、このイタリアの改革はIMFをはじめ各国の注目を集めているということです。

労働者の保護法制が強くない国は、人口に占める就業者数の比率である「就業率」がかえって高く、逆に規制が強いと、いちど職を失った人の失業期間が長期化しがちであるということは以前から指摘されていたことです。まさに日本で起こっている問題そのものであり、そろそろ考え方を転換すべきときなのかもしれません。

(参考)Italy’s permanent work contracts increase by 36% in the first half (Italy24)

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