画像はイメージ

パチンコホールでは、通常あり得ないような事件が発生することがある。たとえば2016年には、埼玉県に店舗で無職の当時52歳の男がハンマーを持ち出し、同店の遊技機を破壊するという暴挙に出た。

男は直前にこのホールで遊技していたことが分かっており、自分のお金が失われたことに苛立って犯行に及んだことが分かっている。また、この店舗では2010年にも刃物沙汰が勃発し、死人が出ている。この事件は強盗目的で起きたとされている。

また、2018年には名古屋のパチンコホールで客同士のいざこざによる殺人事件も起きている。こういった具合に、パチンコホールというものは大なり小なり遊技者のなけなしの金が掛かっているわけなので、時折、常識では考えられないような事件が起きるものなのだ。金が絡むと、人はその大小を問わずおかしくなるのかもしれない。（文：松本ミゾレ）

負けた腹いせにジュースこぼす人は昔からいたが……

そして先日も、またまた異常な事件が発生した。ミヤギテレビなどが3月11日に報じたところによると、仙台市のパチンコホールで48歳の男が器物損壊の容疑で逮捕されたのだ

その内容が異様だ。男は9日午後1時すぎ、遊技台に尿をかけて故障させたという。そして今回の事件の犯人は、無職とかその辺のいわゆる「無敵の人」ではなく、国家公務員と報じられている。

ちゃんとした仕事に就いているはずの、50手前の男ですら自制が効かずに台におしっこを引っかけちゃうのだから恐ろしい。詳しい経緯は報じられていないものの、調子よく当たっている台にわざわざションベン掛けるやつはいないので、大方負けて負けてイライラした挙句、突発的にやっちゃったとか、そういうことなんだろう。

さすがに放尿をするレベルは今まで耳目にしたことはなかったが、昔から負けた腹いせに、パチンコ台の上皿やパチスロ台の下皿にジュースをわざとこぼす奴っていたからね。

今回はその過激版ということになるのだろう。当然、監視カメラも設置されていることは誰もが分かっているような施設なので、それでも放尿するということはそれだけ苛立ちもマックスだったのかもしれない。

個人的にもこういう事例がまさか起きるとは思わなかった。それこそ以前、「もう介護が必要なおじいちゃんじゃん」って感じのヨボヨボの高齢者が、ホールをふらふらしながら失禁しているのを目撃したことがある。
ただ、意図的に放尿した今回の事件は、それとは全く別物で、なんかこう、人間としての最低限のモラルもないのかな？　と恐ろしくなった。

最低限のモラルがあれば起きないような事件が起きる

ちょっと前にこちらのコラムでも書いたんだけど、僕は以前、津田沼駅前にある小さなホールで遊技中に、隣に座った若い男が突如罵声を発し、台を強打しながら遊技しはじめて戦慄したことがある。

「こいつが刃物持ってないほうが逆に不自然」と思える狂乱っぷりで、いつでも逃げられるように警戒しながら、しかし刺激しないように振舞ったものだ。結局この狂乱男はその後すぐに当たりを射止めて沈静化してくれたんだけど、あのまま負けてたら、どうなっていたんだろう。

昔。それこそ20年ぐらい前って、パチンコホールは今と別の意味でちょっと怖い場所だった。恐喝だとか、中国人ゴトグループの来襲だとか。しかし今は、客同士のトラブルや、放尿など、最低限のプライドがあればやらないような犯罪、事件も増えている。

恐らく、警察沙汰になっていないだけで、異様な事件ってのは色々と起きてるんじゃないだろうか。まあこのご時世にパチンコやってる時点で人としての品格はわりかし低層に位置するのは、僕自身もよく理解するところではあるんだけど、それにしたって最低限のモラルとかあったらそもそも起きない事件群だ。

パチンコションベン男なんて公務員をやっているわけだし、そんな人間ですら負けてしまうとおかしくなってしまうわけで、本当にパチンコって恐ろしいよね。にしても、パチンコホールの客層の中では、恐らくかなり給与も良い水準であろう人物が、ここまでやるとは。よほど腹に据えかねる事態が起きたのかもしれないが、普通はだからと言って放尿しないし。

とにかく、放尿被害に遭った機種はもう稼働できないだろうし、台に放尿する奴が通っていたホールというだけで敬遠する客も出てくる可能性がある。なんとも踏んだり蹴ったりだよね。このホールさんも。泣きっ面にションベンだ。