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成功の鍵は「上下関係を作らず対等でいられるか」 大企業にベンチャー企業と手を組む動き

10月9日放送の「ワールドビジネスサテライト」は、ベンチャー企業の力を取り込む大企業の動きを特集した。ベンチャーが持つアイデアやスピードと、大企業のブランド力と資金力を合体させ、互いの強みを生かすことでイノベーションが生まれるという。

これまでにいくつものベンチャー企業と大企業をマッチングさせてきた「ゼロワンブースター」の鈴木規文社長は、このような取り組みが増えた背景をこう説明する。

「プロダクト(商品)のサイクルが高速になり、1社だけの発想・技術力だけでは勝てなくなってきている。ベンチャーと大企業の組み合わせは非常に相性がいい」

大企業特有の悩みに「外部の力」を借りる

森永製菓ウェブサイトより

森永製菓ウェブサイトより

創業116年、従業員1300人を超える老舗大企業の森永製菓(東京・港区)。根強い人気のロングセラー商品に支えられ、ここ数年の売り上げは右肩上がりだ。しかし、安定した大企業ならでは危機感もある。長い歴史と大きな組織の中で、社員が自分の仕事の範囲を狭めがちな傾向や、時代の変化に対応できないなどの問題があるという。

新規事業部を立ち上げ、企画案を社員全員に募集しても、新規事業に結びつく企画はなかった。新領域創造事業部の大橋部長は「売れなくても毎月給料が振り込まれる中で働く人と、売れなかったらご飯が食べられなくなる緊迫感の中で仕事をしている人との違い」と問題点を語る。

森永は創業以来初めて、外部の力を借りることにした。昨年末ベンチャー企業などに対して食関連の事業計画を公募し、5つの案を採用。森永のお菓子を学童施設向けに販売する企画もその一つだ。

この企画を提案した「ウィライツ」(東京・港区)の村上竜一社長は、「一人で営業に行くと門前払いされるが、森永のブランド力で会ってもらえる数が増えた」と明かす。商品を安価で仕入れたり、資金などの支援を受けたりすることで、急速に事業が拡大。年内に30施設ほどの契約拡大が見込めているという。

入社11年目で「ベンチャーに留学」

ベンチャー企業のアイデアやスピード感覚を学ばせるため、森永製菓はウィライツに入社11年目の中堅社員である澤田さんを出向させている。社員は澤田さんを含め2人だけ。ゴミ捨てから営業、お菓子の配達などすべて自分で行っている。澤田さんは「森永製菓に籍を置きながらベンチャー企業に留学しています」と語った。

法政大学が開発した拡張現実「AR技術」で新しい販促手段も試みた。チョコボールの箱をスマホで写すとキョロちゃんの映像が浮かびあがり、ゲームが楽しめる。大学側は誰もが知るキャラクターで技術を実社会で活用できると喜び、会社は外部の力を取り入れることで開発コストを抑えることができた。

ベンチャー企業を積極的に支援し成功を収めているというNTTドコモは、「ベンチャーというパートナーは必要不可欠」という。人気グルメ店の検索アプリなどベンチャーと共同開発したものも多く、海外を含めた86ものベンチャーへ出資している。

NTTドコモ・ベンチャーズでシニアディレクターを務める安元さんは、「既存ビジネスを切り崩すだけでなく、(ビジネスを)新しく創ることもチャレンジすべきアプローチ。ベンチャーというパートナーは、必要不可欠だと思っている」と語った。

大企業が「業者扱い」しないことが可能性を広げる

コメンテーターで経営共創基盤代表取締役CEOの冨山和彦氏は、補完関係にある大企業とベンチャーは本来は相性がいいが、「問題は文化的な相性」とコメントした。大企業は物事をきっちり進めるが、ベンチャーはよくも悪くも「いい加減」。逆に言えばスピード重視のベンチャーに対し、大企業は動きが遅すぎる。これが長期的にはストレスになる場合があるとしたうえで、こうクギを刺した。

「大企業はベンチャーを業者扱いしがち。それを乗り越えられないと本物にならない」

対等な立場でのビジネスが、イノベーションの可能性を広げるということだ。大企業病に危機感を持っているのなら無意味な上下関係は作らないはずだが、見栄やプライドが邪魔をするのだろうか。正直、うまく行っているとは思えない事例もいくつも頭に浮かんでしまう。(ライター:okei)

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