三越伊勢丹のTポイント導入に困惑 老舗百貨店の「ブランド力」はどうなる
最近、どこへ行っても、何度通っても、ポイントカードの提示を求められる店があまりに多すぎる。店員も義務で言ってるわけだし、その都度文句なんか言うつもりはないけど、「ポイントカードお持ちですか?」や「当店のメンバーズカードは?」だの、もういい加減辟易している。
ポイントカードを使わない、持たない人間としては、いちいちレジであのレスポンスを要求されるのが結構なストレスになる。(文:松本ミゾレ)
宝飾品は除外されるっていうけど、そこまで消費者に擦り寄る必要ある?
そういえば、三越伊勢丹ホールディングスが、先日こんな声明を出した。同グループの国内百貨店全店で、5月25日よりTポイントカードの導入がスタートするというのだ。付与されるポイントは200円ごとに1ポイントとなっている。レートはコンビニエンスストアと同じだ。
率直に「これ、要る?」と思ってしまった。だって三越と言えば日本初の老舗百貨店で、年配の小金持ちには絶大なブランド力を堅持しているし、伊勢丹も伊勢丹で、三越に吸収されて以降もネームバリューは衰えていない。言わば金持ち御用達の百貨店に、Tポイントなんて似合わないように感じるのだ。
一応、美術品や宝飾品、レストランの利用にはポイントの付与が適用されないという一点で、「らしさ」は残しているけど……。なんというかこう、そこまで消費者に擦り寄る必要があるのかと、軽くショックを覚えた。
ネット上でも「ガッカリ」の声が相次ぐ
今回の三越伊勢丹の、ある意味では思いきった英断に対して、ネット掲示板の2ちゃんねるでも懸念と心配の声が挙がっている。
「安っぽいデパートになった」「ブランドイメージダウンとしか思えんわ」
「こんなハナクソみたいなポイントもらってうれしいやつがいるのかよ。2万円買い物して100円てアホか」
「三越伊勢丹くらいのデパートなら、せめてJALかANAのマイルに交換するくらいの高級感が欲しい」
と、こんな感じで、三越伊勢丹の格が落ちたように感じている人の声が目立つ。逆に、Tポイントカードが使えるようになったことへの喜びの声は、ほとんど見つからない。
確かに三越で買い物してTポイントカードは出しにくい。いくらレジで提示を求められても、三越伊勢丹では、たとえ持っていても出したくないという利用客も絶対出るはずだ。
そもそも「200円=1ポイント」って嬉しい?
そもそも論として、Tポイントカードというものに、自分は一切ありがたみを感じない。元々このカードって、TSUTAYAでレンタルソフトを借りるために作るものだったし、レンタル店をそんなに利用しない僕には、無用の長物だった。
それがいつの間にか物販ポイント機能が付いて便利になり、今では大手コンビニや全国各地の商業施設、果てはネット通販でも使うことができるようになっている。Tポイントカードは便利だろうけど、正直熱心に活用してポイントを貯めたいと思うほどではない。
たかだか数百円ごとに数ポイント付与されるだけのカードを、取り扱い店舗でいちいち所持確認されるのは面倒だ。個人情報の流出や漏洩についてのセキュリティだって、100%確実であるとは言い切れない。
僕は臆病なので、あんなに便利なネットバンキングすら使っていない。徹底して、少しでも「ここが分からない」と感じるものには手を出さない。みんながみんな使っているものだからこそ、なおさら警戒してしまうものである。
貯めて使って、それはそれで便利かもしれないが、一庶民である僕ですら不要に思っているのだ。これまで三越伊勢丹を贔屓にしてきた顧客が、「わあ、嬉しいな!」と喜ぶとは、到底思えない。
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