「申し訳ないけど、東京にはもう戻れないです」――山梨・清里はいま、移住者に人気の街に
冨家さんが住む高根地区から、絶景の清里高原まで車で15分。リゾート複合施設「清里の森」に、3年半前に移住してきたATA企画の多田さん(45歳)がいます。4年前に東京の本社にかけあい、建築CGを制作する清里支社を設立しました。
東京とはネットでつながり、連絡はスカイプでやりとりするため「どこで仕事をしても自由」とのこと。南アルプス山脈の絶景を望み、ラベンダーなどの花々が咲き誇ります。緑豊かな自然に囲まれストレスのない環境の中、多田さんを含め社員2名で働いています。
「こういう環境なので、仕事は東京のときより捗ります。外へふらっと行っちゃいますし、新たなインスピレーションも湧いてきて、疲れも取れて、また作業できる」
元々海外に移住したいと思っていた多田さんですが、夏に清里へ遊びに来てから、この地が気に入りました。「東京まで2時間で行けるのも大きいです。もう、申し訳ないけど戻れないです」と笑って語ります。
清里といえば1970~80年代には「高原の原宿」といわれ、若者で賑わった地。それがいまではこう変貌しているとは……。多田さんはこの夏、清里にオフィスシェアリングの「森のアジト」をオープンする予定。話を聞いた冨家さんは、こう感嘆していました。
「いいなー! やっぱり環境だよね。環境で、人って絶対変わるな!」
2LDKが月8万円、新規就農者も移り住む
近所のスーパーには、トレビスやマスタードリーフなど珍しい地元野菜が売っていました。パッケージには「アパレル業界から農業に身を投じた男の奮闘野菜」の文字が。東京から移住してきた西川さんが作った無農薬野菜です。
清里は昨年20人もの新規就農者が移り住み、農業を始めたい人に人気の地。西川さんは20種類もの珍しい野菜を栽培しています。スーパーでは30代くらいの男性が、威勢のよい掛け声で自分がつくった野菜を売り込んでいました。
料理好きの冨家さんはごっそり買い込み、初体験の野菜でグリーンサラダを作りご満悦。2LDKで家賃が月8万円、森の中の綺麗なログハウス。近くには別荘や関東圏から移住してきた中高年が多い様子で、ごみ集積所は分担金や班ごとの会費で管理しています。
セカンドライフを満喫したい人にも住み心地が良さそうに見えた清里。憂鬱になる日曜日の暮れ方、翌朝には満員電車に揺られて出勤することを思い出し、壮大な大自然の麓へ移住する夢を誘う番組でした。
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