介護職員の98%が「利用者から暴言・暴力を受けた」と回答 「噛まれた」「下着を外されそうになった」という人も | キャリコネニュース
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介護職員の98%が「利用者から暴言・暴力を受けた」と回答 「噛まれた」「下着を外されそうになった」という人も

「暴力」が認められない辛さ

「暴力」が認められない辛さ

高齢化が進む日本で、需要が高まる一方の介護職員。賃金の低さや仕事の大変さがたびたび指摘されるが、現場の実態は想像以上に苛酷なようだ。

介護職の人材紹介サービス「介護のお仕事」(運営:ウェルクス)が実施した「介護職が受ける暴言・暴力」に関する実態調査によると、98.0%の人が「介護サービスの利用者から暴言・暴力を受けたことがある」という結果が出た。

「認知症の周辺症状」は暴力とはいえない辛さ

調査はウェブサイト「介護のお仕事」の利用者など、全国の20~70代の男女100人に対して実施。どのような暴力・暴言を受けたか尋ねたところ、

「利用者に噛まれた」(20代・女性)
「つねられる・引っ掻かれるのはしょっちゅうです」(30代・女性)
「認知症の方から暴言や叩かれたり、引っ掻かれたりと常にされてます」(40代・女性)

といった声が寄せられた。暴言・暴力以外に、セクハラや介助拒否といった「困った行為をされたことがある」人も99.0%と、ほぼすべての人が経験している。

中には「居室に入った途端、壁に押し付けられ、胸を触られたり、下着を外されそうになった」という30代の女性からの訴えも。「それを外から先輩職員が笑いながら見ていた」というから、辛い話だ。しかしベテラン職員と思われる40代男性からは、

「暴力と言われれば暴力だが、認知症の周辺症状だから、暴力というより職員の対応の悪さから暴力になったケースがほとんど」

という指摘もある。「職員の対応の悪さ」というには厳しすぎるかもしれないが、認知症特有の症状などから、他の仕事では考えられないことが少なからず起こっているようだ。

上司に相談しても「認知症だからね」と笑って終わり

暴言・暴力を受けた人に「上司や職場の仲間など周囲の人間に相談できたか」を尋ねたところ、87%が「相談できた」と回答。しかし、相談した結果「問題は解決できた」と答えた人は15.6%にとどまっている。

また、「問題の解決には至らなかったが、相談したことで気持ちが楽になったか」を聞いたところ、「楽になれた」が49.3%、「楽になれなかった」が50.7%と拮抗する結果に。「相談できなかった」と答えた人の方からは、こんな諦めの声があがっていた。

「信頼できる仲間や上司がいなかった」(40代・男性)
「前に話した時に、認知症だからね。と笑って言われたから」(40代・女性)
「(相談)したところで仕方ないし、利用者からすると私達は世話してなんぼ。上司も馬鹿なんで守ってもくれない」(40代・女性)

介護職は人材不足が深刻な問題となっている。2015年8月に介護労働安定センターが発表した「2014年度介護労働実態調査」によると、59.3%の事業所で従業員が不足している。

人材不足の理由は「採用が困難であるため」(72.2%)。その背景には「賃金が低い」(61.3%)、「仕事がきつい(身体的・精神的)」(49.3%)という問題があると事業所側も把握している。解決は難しいかもしれないが、まずは問題を認識し、「きつくて当たり前」という感覚を減らさなければ介護職の人手不足は解決しないのかもしれない。

あわせてよみたい:「介護殺人」増加の深刻さ

 

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