保育士を辞めたくなる瞬間1位「人間関係に悩んだとき」 同僚の陰口やモンスターペアレンツのクレームに疲弊
どんなときに辞めたくなったか聞くと、ダントツ1位は「人間関係に悩んだとき」(68.5%)、2位が「給料に不満があるとき」(61.8%)、3位は「休暇が少ないとき」(48.3%)となっている。ちなみに4位は「残業が多いとき」、5位が「結婚・出産」で、労働条件に関しての不満が2~4位を占めている。
しかし最も多いのは「人間関係の悩み」なのだ。人は多少ツライ労働環境でも、一緒に働いている人との関係が良好ならば、なんとか耐えられるということがままある。ましてや保育士は、おそらく子ども好きで、国家資格まで取って就いた仕事だ。それなのに辞めたくなるのは、同僚同士・保育園・親との関係に悩むからだ。具体的には「保育士間の陰口が多い」という嫌な話だ。
「ほかの保育士の仕事ぶりやミスについて、本人がいないところでグチグチ言う。そういう場面を見ると、周りにどう思われているかばかり気になり、信念をもった保育ができなくなる」(30歳・女性)
雇用形態の違いも人間関係にヒビを入れる。保育士の賃金は低いイメージがあるが、公立保育所に勤める公務員保育士ならば全産業の平均給料よりも高い場合もある。そんな中でも、非常勤と正規雇用は待遇が大きく変わってくるため、こんな不満も出てくる。
「汚いことややりたくないことは全部パート任せで、それなのに正社員ですからっていわれるところ」(27歳・女性)
子どもの体調が悪いのに自分勝手に子どもを預けに来る親も
その他、自分の子どもの行事に休みを貰えない、方針がコロコロ変わるなど、園長との摩擦を挙げる人も。しかしとりわけ辛そうなのが、保護者との関係だ。「親との対応は苦手で、日々悩んでいます」という声をはじめ、
「保護者が休みなのに嘘をついたり、子どもの体調が悪いのに自分勝手に子どもを預けに来るところ」(30歳・女性)
「子供のために一生懸命保育しているのに、クレームがくること」(27歳・女性)
など、わがままな親に振り回されて疲弊する様子が伝わってくる。
調査では74.5%の保育士が「保育業界への転職経験がある」と回答している。保育士は続けるものの、より良い環境で働きたい、もしくは「ここ以外のどこか」を激しく求めた結果だろうか。
また、「保育業界以外に転職をしたいですか」という質問には、「はい」と答えた保育士が41.2%。裏を返せば、およそ6割の人は保育士を続けたいという思いがある。仕事自体は嫌いではないのだろうが、厳しい労働環境の中、人間関係まで悪ければ、そりゃあ辞めたくもなるというものだ。
「教育が、人が好き」な保育士たちがのびのびと働くには
ちなみに、どんな他業種への転向を考えているか聞くと、1位は「人材・教育関係」で、その他の業種を見ても「販売員」「飲食」「レジャー・エンタメ」「公務員」など、基本的に人と接する機会が多い仕事に興味があるようだ。
人間関係に悩んで転職したいと思っている一方で、人と関わることが好きな傾向を感じる。矛盾するようだが、子どもの命を預かるプレッシャーやモンスターペアレンツがいない状況でなら、サービス業の多い昨今、もっとのびのびと働けると考えてもおかしくないだろう。