教員の負担軽減のため「業務改善アドバイザー」派遣 文科省の施策に「手伝わずに口だけ出してくる姑か」の声
「ブラック部活」など学校現場の過重労働が問題になる中、文部科学省は1月6日、「業務改善アドバイザー」を希望する教育委員会に派遣することを発表した。
専門家が現場の効率化などを指導して教員の負担を減らす、という内容だが、ネットでは批判的な声が相次いでおり、施策の効果に注目が集まりそうだ。
「アドバイザーのアドバイスを聞く時間で更に勤務時間が長くなりそう」
文科省初等中等教育局の担当者によると、「業務改善アドバイザー」は、大学教授や民間企業のコンサルタントなどから約20人が選定される予定。選定されたアドバイザーは、派遣を希望する教育委員会の元に、年間で数回ほど派遣される。
教育委員会は、アドバイザーに助言を受けながら、様々な負担軽減策に取り組む。事務処理を効率化するシステムの導入や、学校ごとに行われている事務の共同化などの対策が実施される見込みだという。
これが朝日新聞などで報じられると、ネットでは批判が噴出。コラムニストの小田嶋隆氏は、「貧困家庭の生活を支援するために、生活保護費を支給せずに『貧困生活アドバイザー』を派遣するみたいな話だな」と疑問を呈した。
自身が教員だという男性も、「現場に必要なのはアドヴァイザー(ママ)ではなく単なる規定定員の増員です」と訴える。公立中学校では教員がクラスを受け持ちつつ、部活の顧問まで担当する、というケースが多い。まずは人を増やしてくれ、というのが本音だろう。
またアドバイザーの不要な助言が教員の負担を増やしかねないという声もあった。
「これって育児に忙殺されてる時に手伝ってくれないけど口だけ出してくる姑や小姑を派遣するのでもっとがんばってねみたいなもんじゃないの」
「このアドバイザーのアドバイスを聞く時間で更に勤務時間が長くなりそうですね」
このようにアドバイザーの派遣を疑問視する声も少なくない。今後、どの程度教員の負担軽減に貢献するのか検証が必要になってくるだろう。
新任教員の残業時間が過労死ラインを超える
もっとも、文科省は教員の負担を軽減するために、アドバイザーを派遣するだけでなく、部活動の休養日制定などにも取り組んでいく意向だ。
現在、土日に運動部の休養日を設けていない中学校が全国で4割にも上るという。そのため6日、部活動に休養日を設けるよう求める通知を教育委員会に送付した。
また全国で約20か所を「モデル地域」として指定し、様々な負担軽減策を試みるという。教員の勤務実態を把握するだけでなく、教員以外のスタッフとの連携強化や保護者対応への支援などが実施される見通しだ。
昨年も愛知県の中学校に勤務する新任教員の残業時間が、過労死ラインの月80時間を超えていたことが県の教職員労働組合協議会の調査で明らかになった。今回の文科省の一連の対応は教員の負担軽減に繋がるだろうか。
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